子どものどもり具合がどんどん酷くなると体を揺らしながら話そうとしませんか?ママはその動きに目がいってしまいついついその動きを正そうとしてしまいます。しかし、その対応…実は間違っているのです!専門家でもなくママにできることを考えてみませんか?
【目次】
1.体の動きにばかり目が向き、娘の話が耳に入りませんでした…
吃音症状のあるお子さんのママは、お子さんのどんなところが気になりますか?
私には当時、3歳で吃音を発症した娘がおり、4歳の頃にはブロックまで症状が進んでいました。
しばらくして随伴運動も出始め、ブロックが出ると、腕をブンブン振って勢いをつけて話すようになっていきました。
「ママ、‥‥‥‥(腕をブンブン、ブンブン、ブンブン)かわいいね!」
一つの単語を言うだけなのにとても苦労していたのです。
この時の「かわいいね」の「か」は爆発するような言い方なので、ようやく発っせられた言葉も不自然で、かわいそうで、かわいそうで仕方ありませんでした。
私の気持ちに余裕がない時は、あまりにも娘の姿が痛々しくて目を逸らしてしまったこともあります。
そんな自分自身にさらに落ち込み、娘を憐れんでいる自分が嫌で嫌で仕方ありませんでした。
私は子どもの症状が苦しそう、かわいそうと言いながら、(そんなことはないとわかっていながらも)「言語聴覚士のくせに、娘を吃音にしてしまうなんて、育て方が悪いのではないか」
と親戚や園の先生が思っているのではないかと勝手に疑い、一定の距離を置いて接する時期がありました。
そしてある時からできることなら体を動かす動きを止めさせたいと強く思うようになったのです。
2.体を動かすのは止めたくても止められない
吃音の原因は体質、つまり生まれもったものであり、決して育て方のせいではありません。
ですから、ママがが罪悪感を持つ必要はない!ということを最初にお伝えしておきます。
そして、情報として知っておいて欲しいのですが、吃音はいきなり体を動かして話すようになるのではありません。
幼児期から発症する発達性吃音の症状は、どの言語の人でも、どの人種の人でも同じ症状の経過をたどっていきます。
まずは、「お、お、おはよう」と音を繰り返す繰り返しという症状から始まり、
次に、「お〜はよう」と音を伸ばす引き伸ばしが現れます。
この時期はまだ吃音が出たり、出なかったり波があるのですが、徐々にその波が少なくなり、毎日出ているな〜、となってきます。
そして、言葉が詰まって声すら出なくなるブロックという症状が出てきます。
このブロックはなかなか辛いもので、ブロックから抜け出そうと、子どもでもいろんな工夫を始めます。
詰まった状態から抜け出そうと意図的にしていると考える人と、無意識的にしていると考える人で専門家の意見も分かれているところですが、話す時に体を動かすようになります。
これを「随伴運動」と言いますが、意図的にしろ、無意識的にしろ、止めろと言われて簡単に止められるものではない!ということをぜひ知っておいて欲しいのです。
随伴運動の動きとしては、
・腕を動かしたり
・足を貧乏ゆすりのように動かしたり
・頭を動かしたり
・上半身を前後に動かしたり
などといった動きがあります。
他にも、
・眉間にシワを寄せたり
・チックのように顔面の筋肉の一部を動かしたり
などの独特な動きをする子もいます。
このような症状が目につくようになると、見ている側も不自然な動きの為に見ているのが辛くなってきます。そうすると、つい止めさせようと言葉をかけてしまいます。
「ブラブラしないで」
「体動かさないで」
「きちんと話してごらん」
と、その動きを止めるように言ってしまうのです。
ただでさえどもって話すことが大変な子どもに対して、「体を動かすな」、「きちんと話しなさい」、というのはとても酷です。
子ども自身は、動かないと言葉が出ないと思っているし、そうすることで言葉が出しやすいと思っているのです。
それなのに、このような言われ方を頻繁にされたり、または親以外の大人や友達などに話し方を指摘をされてしまうとメンタル面に影響が出てくるのは安易に想像できます。
3.吃音が及ぼす心への影響
子どもは吃音を発症してどのような心境の変化をたどっていくのでしょうか?
子どもは最初、吃音を軽く繰り返すくらいであれば、自分の症状に気づかないことがほとんどです。しかし、5歳で約8割の子どもは吃音を自覚すると言われています。
うまく言葉が出ないことが続くと周囲の人から指摘されることが増え、子どもは自分のことばの出づらさをはっきりと意識するようになっていきます。
話す前に不安を感じたり、吃音が出ることを恥ずかしく思ったりするようになります。
次第に、話す場面に恐怖を感じるようにもなります。
このような心理は、成長の過程で「うまく話せない」という経験が増えれば増えるほど強くなります。
子どもは「うまく話せない」という体験を重ね、ストレスを溜め込み、話すことに自信を失い、更にどもりやすくなっていきます。
吃音は、否定的になればなるほど症状が悪化します。
周りの大人が否定するような言葉かけをすることで、子どもは「吃音は恥ずかしいことなんだ…」という偏見を持ってしまうので心の傷は深くなるばかりです。
本人が言葉を発することにネガティブなイメージを持ってしまわないよう気持ちの面でのサポートも重要となります。
では、それも踏まえてママが今やれることとは何でしょうか?
それについては次で説明していきます。
4.自分を責めるのはもう止めた!マルっと受け入れます!
一番最初にママに止めて欲しいことがあります。
それは、ママ自身が子どもに対して罪悪感を抱くこを止める!ことです。
発せられる言葉の耳障りの悪さ、さらに体の一部を不自然に動かす見た目の悪さ、それが気になることに罪悪感を感じていると思います。
そう感じるママの心の裏には、
「吃音のある子に産んでしまって申し訳ない」
「私の育て方が悪くて吃音になったのでは?」
「何がいけなくて、何がいいのかわからない」
という母親ならではの葛藤が隠れていると思います。
「随伴症状を止めさせたい!」という気持ちはよくわかります。
しかし、無理強いすると悪化するので、ここはジッと辛抱の時期なのです。
子どもがかわいそう、人の目が気になる、自分も辛い、色々あると思いますが、吃音の症状をマルっと受け入れてみてください。
そしてきっとよくなると信じて見守ってください。吃音は離れようとしたり、隠そうとしたりすればするほどついてきます。
しかし、開き直って吃音を受け入れ、抵抗することを止めると徐々に、徐々に減っていき、なくなっていきます。
吃音症という症状そのものは実はそれほど頻繁に起きるものではないのです。
吃音を隠そうと工夫を重ねることで話し方が不自然となり、どんどん悪化していきます。
まずママから変わってください!
「吃音があっても大丈夫!大好きよ!」と吃音を受け入れ、笑顔で穏やかに子どもに接することができれば、吃音はいつの間にか離れていきます。
ママも子育てを勉強していく時代です!ぜひこちらから。
執筆者:おざわ つきこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)