発達障害の自転車は危ない!?ADHDの子どもの事故を防ぐ秘策

 

発達障害・ADHDの子どもは自転車運転でよそ見や飛び出しをしたりと、思わず「危ない!」とヒヤヒヤすることありませんか?大切な我が子の交通事故だけは防ぎたいですよね。子どもが安全に自転車運転できるように交通ルールを身につける方法をお伝えします。
 

【目次】

 
 

1.息子の自転車運転…危なくて交通事故を起こしそう

 
 
我が家の小学3年生の息子は、発達障害の注意欠如・多動症(ADHD)の傾向があります。
 
 
自転車が大好きで幼稚園の頃から運転していたのですが、不注意の特性があるため、運転しながらも工事や緊急車両の音に反応し、ジーッと音のする方向を向いてしまい、電柱にぶつかりそうになることがありました。
 
 
また衝動性の特性もあるため、早く行きたい気持ちが先立ち、交差点や一時停止線を見落として飛び出してしまい、そのままスピードを出して走行してしまうこともありました。
 
 

 
 
そんな我が子の危ない自転車運転を目の当たりにして、いつもヒヤヒヤしていました。
 
 
そのときの私は後ろから自転車で追いかけながら、交通事故が起きないように息子を観察し続け、危ないときは「前見て!」「止まって!」と声をかける日々でした。
 
 
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2.発達障害・ADHDの子どもの自転車が危ない理由

 
 

自転車を安全に運転するためには、様々な認知機能が必要です。

 
 
交通ルールを覚えておく記憶力
 
周りの状況(信号、交差点、歩行者、対向車)を認識する注意力
 
見通しの悪い交差点で車や歩行者がいるかもしれないという想像力
 
運転しながらとっさに状況を理解し判断する力
 
 
などです。
 
 
子どもの場合は前方の狭い範囲しか見ない傾向があるため、大人に比べて事故を起こしやすいと言われています。
 
 

 
 
それに加えて発達障害・ADHDの子どもは、より事故を起こすリスクが高くなると言われています。
 
 
なぜならADHDの子どもは自分の注意や行動をコントロールする前頭前野とよばれる脳の働き(実行機能)にかたよりがあると考えられているからです。
 
 
そのため衝動性や不注意の特性が出ることがあります。
 
 
衝動性という面では、思い付いた行動について、行ってもよいかを考える前に行動してしまうことがあります。
 
 
自転車運転では具体的には
 
 
・安全を確認する前に思わず進んでしまう
 
・信号が青になる前に進んでしまう
 
・右左を確認しないで進んでしまう
 
・スピードを出しすぎてしまう
 
 
などの危ない行動があります。
 
 
また不注意という面では、注意できる視野も狭く自分の目的の方向にしか視線がいかないことや、自転車を安全に運転するために確認すべきことに同時に注意を向け続けることが難しいところがあります。
 
 
具体的には
 
 
・信号や一時停止の線を見落として止まれない
 
・右左の確認が不十分で歩行者や車に気づいていない
 
・歩行者が多い場所でも気づかずにスピードを落とさない
 
・自転車の運転をしている途中にボーッとしてしまう
 
・ちょっとした音に気が向いてよそ見をしてしまう
 
などの危ない行動があります。
 
 
このように発達障害・ADHDの子どもは衝動性や不注意の特性から、自転車運転で危ない行動が増えるため、交通事故の危険性があります。
 
 
大切な我が子が事故を起こして怪我をしないためにも、そして歩行者のかたに怪我をさせないためにも、安全に運転できる技術をぜひ身につけていきたいですね。
 
 
ADHDの子どもの特性に合わせた練習方法があるのでお伝えしていきます。
 
 
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3.ADHDの子どもが安全に自転車運転できる方法

 
 

◆①子どもに身につけさせたい交通ルール

 
 
自転車を運転するために身につけておきたい交通ルールがいくつかありますのでご紹介します。
 
 
信号を守る
 
 
一時停止を守る
 
 
交差点では右左を確認して渡る
 
 
前を向いて走る
 
 
ちょうど良いスピードで走る
 
 
自転車は左側通行
 
 
並ばず1列になり走る
 
 
歩行者がいたらゆっくり走るか自転車をおして歩く
 
 
ヘルメットを装着する
 
 
夜は必ずライトをつける
 
 
これらは基本的な交通ルールですので発達障害の有無にかかわらず身につけておかなければなりません。
 
 
発達障害・ADHDの子どもにはこの10項目に加えて
 
 
気になるものがあったら、端に止まり、止まってから見る
 
 
というルールを身につけさせましょう。
 
 
衝突を防ぎ交通事故を防ぐために大事なことです。
 
 

 
 

◆②自転車運転の成功体験を重ねよう

 
 
では次に、これらの交通ルールを身につけさせていくための具体的な方法をお伝えします。
 
 
まず身につけるためのポイントは自転車運転で成功体験を重ねることです。
 
 
発達障害・ADHDの子どもは母親から注目された行動が増えていく特性があります。
 
 
肯定されるという注目をたくさんされるとその行動を繰り返すようになります。
 
 
そのため、自転車運転において、良い行動をたくさん肯定し成功体験として記憶に残すことで、その行動が定着していくのです。
 
 
より肯定する機会を作るためには、事前に守ってほしい交通ルールについて話しておくことも大切です。
 
 
例えば、今日は信号を守れるようにアプローチしようと決めたら、自転車に乗る前に信号について話します。
 
 
「青信号のときは進む?止まる?」
 
「黄色のときはどうする?」
 
「赤信号のときは?」
 
 
と質問します。
 
 
答えられたら、「うんうん、そうだね。赤信号のときは止まるんだよね。答えられたね。」と交通ルールについて確認し、笑顔で肯定します。
 
 
実際の信号がある交差点でも、信号を見ていたら「信号を見れたね。」「右左を確認してから渡れたね。」と伝えます。
 
 
赤信号で止まっていたら「きちんと赤のときは止まれたね。さすが!」などと、子どもの行動に合わせて褒めます
 
 
そして、自転車を降りたあとは
 
 
「◯◯ちゃん、ちゃんと信号見ていたね。」
 
「右左も確認してから渡れたね。」
 
「赤信号で止まれたね。」
 
「安全に自転車運転できたね。」
 
 
などと目一杯褒めて、子どもの記憶に成功体験を残していきます
 
 
不注意からくる、よそ見に関しては、「前を向いて走ること。気になるものがあったら端に止まり、止まってから見る」ということを伝えておき、前を向いて走っていたら、「前を向いて走っているね。」と伝えます。
 
 
よそ見していたら、「一度端に止まろうね。」と伝え、止まれたら「きちんと止まれたね。」「止まってくれたからゆっくり見れるね。」と行動を肯定していきます。
 
 
事前に交通ルールを話す守れていたら褒める終わったあとにも再度褒めることを繰り返すことで、その行動が定着します。
 
 
これらの声かけを続けた結果、息子も安全に自転車を運転できるようになってきました。
 
 
発達障害・ADHDの子どもが交通事故を起こすことなく安全に自転車を運転できるよう、お母さんの声かけでしっかりと交通ルールを身につけさせてあげましょうね!
 
 
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執筆者:菅野 美香
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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