来年度から特別支援学級への転籍を考えているお母さん!転籍を嫌がっていた小学校4年生の境界知能の息子が小4の壁をきっかけに通常学級(普通学級)から特別支援学級(支援学級)への転籍を決めた次男の成長の記録をお伝えします。
【目次】
1.普通級から支援級への転籍に積極的ではありませんでした
2.小4の壁を機に自信をなくしてしまった息子
3.小学校に通わせる目的を夫婦で話し合いました
4.はっきりと伝えたことで迅速な対応が実現しました
5.支援級転籍でネガティブな発言がなくなりました
◆少人数の対応で「わからない」が減りました
◆子どもたちとの交流が刺激になっています
◆自分で決めて行動ができるようになりました
1.普通級から支援級への転籍に積極的ではありませんでした
我が家の次男は現在、通常学級(普通学級)に通う小学校4年生です。小学校1年生の終わりに発達検査を受けIQ76、境界知能と診断を受けています。
息子は境界知能で特に言語理解とワーキングメモリーが低いため
・一斉指示を聞いても何をしていいのかわからずワンテンポ遅れる
・学習面でも問題を解くのに時間がかかる
・板書を写すのに時間がかかる
など授業のペースについていけない苦手さを抱えていました。
進級ごとに支援の面談を行い担任の先生とご相談しながら息子への対応を考え、自宅でも宿題などの学習のサポートをしていました。
▼漢字の宿題のサポートはこちらの記事でご紹介しています▼
もともと、私達夫婦は学習面ではゆっくり自分のペースで進めていければいいと考えていて次男にも転籍をすすめていました。
ところが、「本人が嫌だ」と言い続けていたことや担任の先生も「周囲の助けが必要にはなるがなんとか通常学級でやっていけるだろう」とのお話だったので支援学級への転籍について積極的に動くことを躊躇していました。
2.小4の壁を機に自信をなくしてしまった息子
しかし、小学校4年生になると変化が現れました。
4年生といえば高学年への仲間入りです。学校でも責任のある役目が増えたことを楽しそうに話してくれ、やる気満々だったのですが…。
「僕はダメだよね」
「僕のいいところってある?何?」
「絵しか上手じゃないよね。算数できないし…。」
などの発言が増え始めました。
急にどうしたんだろうと驚いたのですがだんだん自己否定が強くなり、学校への行きしぶりもみられるようになりました。
次男は「小4の壁」にぶつかり自分に自信をなくしてしまったのです。
よく言われている「小4の壁」とは「10歳の壁」とも言われ、小学4年生の時期に多くの親と子どもが直面する悩みのことをいいます。
小学4年生は学習面では勉強の量が増えることや内容の難易度も上がっていくためにつまづきやすいと言われています。
気持ちの面では発達段階として自分を客観視できるようになってくるため、人と比べて自分が劣っていると感じることが増え、自己肯定感が下がりやすくなる時期でもあるんです。
3.小学校に通わせる目的を夫婦で話し合いました
学校では、4年生になったことで授業内容の難易度も上がり、授業中の先生の問いや指示がすんなりと理解できないことで息子が困っているのは明らかでした。
次男の急な心の変化を考えると、通常学級から支援学級への転籍を考える時期に来たのではないかと私は考え始めました。
ちょうどGW明けに担任の先生にお願いしていた個人面談が予定されていたこともあり、面談で学校にお願いすること・伝えたいことを夫婦で話し合うことにしました。
皆さん「学校は何のために行っているの?」って考えたことがありますか?
私は自分が子どもの頃にそんなことを考えたこともありませんし、学校は勉強するところ、毎日行くものだと信じて疑う気持ちもありませんでした。
境界知能で集団行動に苦手さを抱える息子を「親として何のために学校に行かせるのか?」という学校に通わせる目的を夫婦で話し合ったのは初めてのことでした。
改めて夫婦で話し合ったことによって親としての考えがまとまり、そして学校にお願いすることを決めることができました。
学校にお願いすることは2つ!
・勉強はゆっくり自分のペースで学ばせたい
・学校では「家族以外の大人に助けを求める・頼ること」を学ばせたい
親の私達が学校に対して望むことをはっきり伝えたことで、担任の先生も行動に移しやすかったのだと思います。
次男の転籍に向けて学校が動き始めました。
4.はっきりと伝えたことで迅速な対応が実現しました
面談の後は驚くべき速さで転籍の準備が動き始めることとなりました。
金曜日に行った面談の後、翌週からは支援学級に抵抗感のある次男への誘導作戦が始まりました。
みんなと違うことをするのを嫌って支援学級に行くことに抵抗があった息子は、親の私たちからの転籍の誘いには全く納得してくれなかった過去がありました。
そこで今回は、担任の先生が息子に支援学級の話をしてくれることになりました。
支援学級は特殊な場所ではないこと
他の子どもたちが学んでいる様子
「息子には2つ教室ができて、担任の先生も2人になっていいことが増えるよ。」と息子にもわかりやすい言葉でお話してくださいました。
支援学級に行ってみることにまだまだ不安もある息子でしたが 、翌日には担任の先生と一緒に教室を見学 。その翌日、面談4日後には支援学級で授業を受けることができたんです。
担任の先生が息子の気持ちに寄りそって確認しながらステップを踏んでくださったことで、体験授業を受けるまでの過程がうまくいきました。
実際に支援学級を体験することで
「思っていたより悪いところじゃなさそう」
「みんなと同じ通常学級じゃなくても、自分はここ(支援学級)で勉強してもいいんだ」
と息子自身が納得できたことが転籍を後押ししてくれたと思っています。
5.支援級転籍でネガティブな発言がなくなりました
正式な支援級への転籍は来年度からですが、移行期間としてすでに支援学級で学ぶことができています。
現在は主に苦手な算数と国語の授業を支援学級で受けるようになりました。支援学級に通うようになった次男の変化をお伝えします。
◆少人数の対応で「わからない」が減りました
支援学級では先生と少人数の生徒で対応できることで先生の指示も通りやすくなり、何をしたらいいのかわからないという時間が減り、課題に取りかかる時間も早くなりました。
ゆっくりではありますが算数の問題を解いたり、お友達との意見交換など自分から発言する姿が見られるようになり、自分のペースで落ち着いて授業に取り組めるようになりました。
◆学年の違う子どもたちとの交流が刺激になっています
次男は自閉症スペクトラム(ASD)傾向もあるため自分から積極的に話しかけることはあまりないのですが、少人数教室であるため周りの子どもたちが次男に話しかけてくれるようになったそうです。
学年の小さい子ども達が次男の絵を褒めてくれて「欲しい!」と言ってくれることもあるそうで、次男は絵を描いてあげるなど自分より年下の子どもたちとの交流ができるようになってきたようです。
◆自分で決めて行動ができるようになりました
現在は支援学級と通常学級を行き来する形で授業を受けています。
担任の先生が「この授業は〇〇先生(支援級の先生)とやる?」と聞くと、授業の内容によってどちらの教室で受けるかも自分で決められるようになりました。
支援学級は基本的には宿題はないのですが、普通学級の宿題を「今日はやる!」とか「やらない」と決めたり、やる量も「今日は全部!」「今日は疲れたから半分」などと自分で決めて前向きに取り組めるようになりました。
今では自己否定するようなネガティブな発言を一切しなくなりました。
親の私達が学校に対して望むことをはっきりと伝えたことで、転籍の準備が迅速に進み子どもに合った環境を手に入れることができました。
自治体や学校ごとに支援学級の規定や運営の仕方に多少の違いもあります。
また通常学級、支援学級どちらを選択する事になっても親の私達がはっきりとした意思を持って学校や自治体と協力し合えば我が子が過ごしやすい環境を作り出すことは可能です。
ぜひお子さんにあった環境を整えてあげてくださいね。
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執筆者:嘉山葉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)