ADHDの子どもの衝動的な行動を強みに変えるたった1つの秘訣

 
衝動的に動きまわったり、空気を読まずに話し続ける…。日々振り回されるADHDのお子さんの困った行動の裏には、得意なことが隠れているかもしれません。困りごとの見方を変えて、本人も自信を持てるような強みに変える秘訣をご紹介します!
 
 

【目次】

1.自己中心的?ADHDの子の空気を読まない行動
2.衝動的な行動は脳の発達状態によるもの
3.困りごとの裏に隠れている「得意」
4.困りごとが強みに変わった「行動の裏を見る」という秘策とは

 
 

1.自己中心的?ADHDの子の空気を読まない行動

 
 
授業中じっとしていられなくて衝動的に動きまわったり、空気を読まずに自分の言いたいことを話し続ける。
 
 
注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さんに振り回されて、周りの人に謝り続けて毎日ヘトヘト…そんなお悩みをお持ちのお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか?
 
 
 
 
私の9才の息子は、それほど動きがダイナミックではないので追いかけまわすようなシーンはありませんが、おしゃべりが止まらない、いわゆる多弁な特性を持っています。
 
 
こちらが仕事や読書に集中していたり、ほかの家族と話していたりするときでも、自分の言いたいことがあるとお構いなしにこちらが話を聞くまで話し続けます
 
 
空気を読まず相手の都合を考えないこういった行動は自己中心的のように感じるかもしれませんが、本人に悪気はありません
 
 
そのような行動をしているのは、脳の発達に原因があるのです。
 
 
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2.衝動的な行動は脳の発達状態によるもの

 
 
ADHDの人の衝動的な行動は、脳の前側にある「前頭葉(ぜんとうよう)」という部分の働きが関わっています。
 
 
前頭葉は、運動や思考などの機能をつかさどる部分で、ADHDの人はここの機能の発達が未熟なことが原因で、目立った行動特性として現れます。
 
 
たとえばこのようなことです。
 
 
・ものをすぐになくす
 
 
・期限を守れない
 
 
・長時間じっとしていられない
 
 
・思ったことをすぐ口にする
 
 
・相手が話をしている途中でも話し始める
 
 
これらの行動は本人がコントロールすることは難しく、決して自己中心的な行動ではないのです。
 
 
コントロールすることが難しいので、何度も同じことで非難や注意を受けて自信をなくし、場合によってはうつ病や不安障害などの二次障害に発展することもあります。
 
 
 
 
困りごとばかりが目立ってしまうADHDの人の特性ですが、周囲の人の関わり方・接し方次第では、本人も自信を持てる強みにしていくことができます。
 
 

3.困りごとの裏に隠れている「得意」

 
 
ADHDの人の目立った行動は、周囲の人の感覚からすると「困った行動」と感じてしまいますが、その裏に実は本人の得意な特性が隠れているかもしれません。
 
 
この困った行動の裏を見るというのが、困りごとを強みに変える秘訣になります!
 
 
 
 
たとえば、何度指示をしても動かない・間違える、といった困りごとを抱えた人がいるとします。
 
 
その人は、耳からの情報処理が苦手で口頭の指示が脳に届きづらいだけで、目からの情報処理は得意かもしれません。
 
 
そのような人の場合は、イラストや写真を映像として記憶することが得意なので、視覚的な指示だと別人のようにさっと動けるかもしれません。
 
 
別のケースとして、空気を読まず相手の都合を考えずに話し続ける、といった困りごとの場合は、伝達系(コミュニケーション)が得意な脳を持っているかもしれません。
 
 
多弁な特性を持った私の息子の困りごとから見つけた得意なことと、それを本人も自信を持てる強みに変えたお話をご紹介します。
 
 

◆息子の行動特性:「多弁」と「刺激を求め続ける」

 
 
私の息子は、先ほども書いたように自分の都合・自分のタイミングで話し続けるという多弁の特性があります。
 
 
それに加えて、楽しむことに貪欲で、その欲求は底なしじゃないかと思うほど刺激を求めてエスカレートします。
 
 
ほかにもいくつか特性はあるのですが、これら2つが特に目立ちます。
 
 
そんな息子をよく観察していると、割って入ってくる話題は、YouTubeで観た面白いシーンや、楽しそうなレジャー施設、面白そうなゲームのことなどが多いことに気が付きました。
 
 
刺激を求めて新しい情報を仕入れ続けている息子は、いっしょうけんめい私にいかにそれが楽しそうかを伝えてきていたのです。
 
 
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4.困りごとが強みに変わった「行動の裏を見る」という秘策とは

 
 
息子のことを改めて観察して見えてきた、目立った行動特性の共通点。その行動の裏を見てみると、このようなことが見えてきました。
 
 

◆困った行動の裏から見えた「エンターテイナー性」という強み

 
 
①   多弁 → コミュニケーションが得意
 
 
②   面白いと思ったことを多弁する → 人と楽しみを分かち合いたい
 
 
コミュニケーション力と、人を楽しませるマインドをかけあわせると、エンターテイナー性という強みになる可能性があるのではないかと私は気が付きました。
 
 

◆エンターテイナー性を磨く

 
 
それ以降、息子のエンターテイナー性を磨くサポートとしてこのようなことをしてみました。
 
 
①   YouTube配信
 
 
保育園児の頃から息子の夢はYouTuberになることで、小学生になってもその夢は変わらず持っていました。
 
 
それならということで、本人が以前からやりたがっていたゲーム実況のチャンネルを立ち上げてみました
 
 
そうすると、元来のコミュニケーションスキルの高さが発揮されて、シナリオも原稿もない実況を、スラスラとNGシーンもほとんど出さずにやってのけたのです。
 
 
その後は視聴者からの反応を見ながら、こんなことを配信したら受けるんじゃないか、こういう効果音を入れた方が楽しく見える、など、どうすればもっと人を楽しませられるか考えながら配信を続けています
 
 
②   ゲーム製作
 
 
保育園児の頃からゲームが大好きだった息子が、ある時「ぼくもこんなゲーム作れるようになりたいな」と言いました。
 
 
 
 
どこまで本気かはわかりませんでしたが、試しにオンラインのプログラミング教室の体験受講をしてみたところ、とても楽しそうに受けていて、落ち着きのない息子が1時間のレッスンを集中して受けている姿を見て、入塾を決めました。
 
 
決まったことをコツコツとやり続けるのが苦手な息子ですが、プログラミングに関しては毎週決まった時間に受講して、プログラミング技術だけでなく、持ち前のコミュニケーション力を活かして製作した作品のプレゼン大会に出るなど意欲的に取り組んでいます
 
 
そして1年半経った今では、上級コースにステップアップすることを自ら決めて、3Dゲーム製作のためのプログラミング言語を習い始めるなど、高みを目指して前進しています
 
 
いかがでしたか?日々お子さんの困った行動に振り回されている状況かもしれませんが、困りごとも見方を変えて、伸ばすサポートができれば強みにすることができます
 
 
お子さんの目立った行動の裏にも、誰にも負けない特技となるような強みが潜んでいるかもしれませんよ。
 
 
 
 
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執筆者:大谷聡志
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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