子どもが「寝るのが怖い」「暗い部屋が怖い」と言って眠れず、寝る前に癇癪やゲームがやめられないことに悩んでいませんか?夜の不安が強くなる理由と、寝る前のマッサージで安心して布団に入れるようになった対応を紹介します。
【目次】
1.子どもが「寝るのが怖い」と言い、夜になると眠れない
2.寝る前に不安が強くなる子どもの脳の理由
3.「大丈夫だよ」よりも子どもに必要だった安心の届け方

監修者:吉野加容子
発達科学コミュニケーション創始者/パステル総研主宰/発達科学ラボ代表
脳科学をベースに、発達障害・発達グレーゾーンの子どもの発達支援を専門とする。広島大学教育学部卒業後、東京学芸大学大学院修士課程、慶應義塾大学大学院博士課程で学び、民間企業での脳科学研究、医療機関での発達支援、大学での教育に従事。
15年以上にわたり発達に悩む親子と向き合う中で、「子どもの発達を本当に伸ばすのは、家庭での365日の関わりである」という結論にたどり着く。
病院や学校だけでは支援が届きにくい発達グレーゾーンの子どもたちに対して、家庭で再現できる支援を確立するため、脳科学・教育学・心理学を融合した独自メソッド「発達科学コミュニケーション」を開発。
これまでに数多くの親子の変化を生み出し、“ママが変われば子どもが変わる”という発達支援の新しい当たり前を広げている。
著書に『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』『脳を育てる親の話し方』『脳が喜ぶ子育て』など。
1.子どもが「寝るのが怖い」と言い、夜になると眠れない
私の子どもは小学校1年生のときに不登校になったことをきっかけに睡眠に関する困りごとが悪化しました。
発達検査を受けると発達障害グレーゾーン、人一倍敏感な子(HSC:Highly Sensitive Child)と診断されました。
実は睡眠に関しては産まれたときから悩んでいました。産まれつき寝ない子で、夜泣くので徹夜で抱っこをし、昼間に抱っこで寝るような子でした。
徐々に眠れるようになってきても夜泣きが続き、夜泣きが無くなったと思ったら、夜驚症を起こすようになりました。
夜驚症が起きなくなってからは、「怖い夢を見るから寝られない」と言い、睡眠に関しての困り事はずっと続いていました。
そして、小学校1年生のときの不登校をきっかけに、怖い夢を見る恐怖から寝ることを強く拒否するようになりました。
寝室で寝たくない、暗いのが怖い、寝る前にゲームをしたい、DVDを観たいと言うようになり、少し強く寝ることを促すと癇癪を起こすようになりました。
寝る前にブルーライトは浴びさせたくないですが、ゲームをして満足して眠れるならと思い、「10分だけね」と、約束をしてゲームをさせてもやめることができず、0時を過ぎてもやめないこともありました。

どうすれば子どもが眠れるようになるのか医師に相談もしました。
メラトベルという薬を処方され服用しましたが、自分の意思に関係なく眠くなることに強く拒絶反応を示し、2日で飲んでくれなくなりました。
子どもの怖い夢への恐怖はなくならず、寝たくなくて癇癪を起こす日々に親子で苦しみました。
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2.寝る前に不安が強くなる子どもの脳の理由
子どもが「寝るのが怖い」と言うと、大人はつい「大丈夫だよ」「怖くないよ」「早く寝よう」と声をかけたくなります。
けれど、子どもにとっては本当に怖いのです。
怖い夢を見た記憶。
暗い部屋に入る不安。
寝室に行くとまた怖くなるかもしれないという緊張。
こうした記憶が重なると、寝る時間そのものが「安心できない時間」になってしまいます。
なぜ寝るのが怖いのでしょうか?その理由は、
・ネガティブな記憶を溜め込みやすく忘れにくい
・扁桃体の過活動
・前頭前野の発達が未熟
があります。
発達の特性があると、ネガティブな記憶を溜め込みやすく忘れにくいのです。
人間も動物の為、危険な目に合うと次は危険な目に合わないように記憶するように備わっています。それが発達の特性があると強い傾向があります。
なので、夜寝る時間になると、夢が怖い、暗いのが怖い、寝室が怖いとネガティブな記憶が蘇り、不安が強くなって寝るのを拒否していました。
ここでいくら「大丈夫だよ」と言っても効果はありません。それは、扁桃体が過活動になっているからです。扁桃体は感情を司り喜怒哀楽を生み出す脳の中心的な領域です。
そして、安心安全を最優先するため、怖いと感じるとSOSとして不安な気持ちが出てきます。
扁桃体が過活動になると感情のコントロールも難しくなります。
扁桃体の興奮を抑える働きをしているのが前頭前野ですが、子どもの脳の発達は後ろから前へと進むため、おでこ側にある前頭前野の発達は未熟なままです。
なので、「大丈夫だよ」と声をかけても不安な気持ちはなくならないのです。

以上のことから、寝るのが怖い子に、ただ「寝よう」と声を掛けるだけでは寝られないことが分かります。
子どもも寝るのが怖いと不安が強くなり眠れない状況に自分ではどうにもならずに苦しんでいます。
3.「大丈夫だよ」よりも子どもに必要だった安心の届け方
私がこの状況を変えるためにしたことは、「早く寝なさい」と促すことではなく、寝る前に子どもの体をゆるめる時間を作ることでした。
それが、寝る前のマッサージです。
寝るのが怖い子に必要だったのは、説得ではなく「安心してもいい」と体で感じる時間だったのだと思います。
マッサージで子どもの体に触れることで幸せホルモンのオキシトシンが分泌されます。
このオキシトシンは安心や幸福を感じることができ、不安感や恐怖心を和らげる効果もあります。
更に愛着も深まるのです。愛着が深まるとコミュニケーション力もアップします。
オキシトシンが分泌されるのはお子さんだけでなく、ママにも分泌されます。なので、ママにも効果があります。
やり方は簡単です。横になっている子どもの体に指圧をするように指で押すだけです。
強さは子どもに確認しながら行いました。心地良い強さが本人でないと分からないからです。
マッサージする箇所は、本人から希望があった場合にはその箇所を行いました。
指で押す以外にも、さする、揉む、叩くなどがあるので、お子さんが好む方法で試してみてください。
マッサージの間は他愛のない話をしました。
時折、不登校になる前学校で嫌だったこと、今日あった不安なことなども話してくれるようになり、親子のコミュニケーションの時間にもなりました。

毎日寝る前に子どもにマッサージをすることで、夜のマッサージを楽しみにするようになり、言ってもやめられなかったゲームが自分でやめられるようになりました。
今日は少しゲームが長いなと思う日には、「マッサージはいつする?」と聞くと、「あと10分」と決められるようになりました。
「マッサージして」と言い、自ら布団に入るようにもなりました。
初めの頃はマッサージをして寝るまで1時間かかっていたのが、今では長くても15分程で寝られるようになりました。
現在は小学校3年生になり、怖い夢もほとんど見なくなり、楽しかった夢を話してくれるようになりました。
寝るのが怖い子は、わがままを言っているのではなく、安心して眠る力を育てている途中なのかもしれません。
「寝なさい」と言っても動けなかった子が、「マッサージして」と言って自分から布団に入れるようになったのは、寝る前の時間に安心できる記憶が少しずつ増えていったからです。
夜の親子バトルを減らす第一歩は、子どもを無理に寝かせることではなく、眠る前の脳と体に「安心していいよ」を届けることです。
まずは今日の夜、お子さんの好きな強さで背中や足をさすりながら、「怖かったんだね」「ママがそばにいるよ」 と短く声をかけるところから始めてみてください。
夜寝るのが怖い子どもによくある質問
Q1.子どもが「寝るのが怖い」と言うのは甘えですか?
いいえ、甘えとは限りません。怖い夢を見た記憶や、暗い部屋への不安、寝室に行くとまた怖くなるかもしれないという緊張が重なると、子どもにとって寝る時間そのものが「安心できない時間」になることがあります。
特に発達の特性がある子や人一倍敏感な子は、不安な記憶を強く残しやすく、夜になるとその記憶がよみがえりやすいことがあります。
「怖くないよ」と否定するよりも、まずは「怖かったんだね」と受け止め、安心できる関わりを増やしていくことが大切です。
Q2.寝る前に怖いことを考えてしまう子どもには、どう声をかけたらいいですか?
「大丈夫だよ」「早く寝よう」と言いたくなりますが、不安が強いときの子どもには届きにくいことがあります。おすすめは、短く安心を伝える声かけです。
「怖かったんだね」「ママがそばにいるよ」「体をゆるめてから寝ようね」このように、怖さを否定せず、安心できる感覚に意識を向ける声かけをしてみてください。
言葉だけで落ち着かないときは、背中をさする、手を握る、足をマッサージするなど、体から安心を届ける関わりも効果的です。
Q3.子どもが寝る前にゲームをやめられないときはどうしたらいいですか?
寝る前のゲームを無理に取り上げると、癇癪や親子バトルにつながることがあります。ゲームをやめられない背景には、「もっと遊びたい」だけでなく、「寝るのが怖いから寝る時間を先延ばししたい」という不安が隠れていることもあります。
その場合は、ゲームをやめさせることだけをゴールにせず、ゲームの後に安心して布団に入れる流れを作ることが大切です。
たとえば、「あと何分にする?」「終わったらマッサージしようね」と、子どもが自分で区切りを決められる声かけに変えてみましょう。
寝る前に安心できる習慣ができると、少しずつゲームから布団への切り替えがしやすくなります。
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我が子に合った子育てが知れます!
執筆者:安室ゆう
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)




