3歳の子が癇癪で叩いてくるのは乱暴なのではなく成長の過程です。しかし、対応を間違えるとクセになることもあります。脳科学の視点から、癇癪を起こしにくくするママの対応3選を紹介します。
【目次】
1.3歳の子が癇癪を起こして叩いてくる理由
2.癇癪で叩いてくる子へのNG対応
3.癇癪はクセになる⁈早めの対応で子育てがラクになる
4.癇癪が落ち着くようになる声かけ3選
1.3歳の子が癇癪を起こして叩いてくる理由
思い通りにならずに癇癪を起してママやお友達を叩いたり、物を投げたりする…。
このようなわが子の様子を見て「どうしてこんなに乱暴なんだろう?」「このままで大丈夫?」と不安になることはありませんか?
3歳頃の癇癪は、発達の特性や感情コントロールの未熟さが原因で起こります。
「性格が乱暴だから」ではなく、成長の過程で一時的に表れる自然な行動です。
◆言葉で気持ちを表現できない
3歳になると語彙は増えてきますが、まだ自分の複雑な気持ちを言葉で伝えるのは難しい時期です。
「悲しい」「悔しい」「やりたいのにできない」といった気持ちをうまく説明できず、叩いたり投げたりと行動で表してしまうことがあります。
◆自我が芽生えて「思い通りにしたい」気持ちが強い
3歳は「自分でやりたい!」という気持ちがとても強くなる時期です。
しかし実際には手先の器用さや運動能力がまだ発展途上で、思い通りにいかないことが多いです。
頭で思っていることと現実にできることの間にギャップからフラストレーションが爆発して癇癪につながります。

◆感情をコントロールする力が未発達
大人なら「イライラしても落ち着こう」と考えられますが、3歳児はまだ脳の感情や行動をコントロールする部分が未熟で、感情を抑えるのが難しい状態です。
そのため、言葉よりも手っ取り早い「叩く」「手が出る」「物を投げる」といった行動でイライラを表現してしまいます。
◆疲れや空腹などの身体的要因
遊びすぎて疲れて眠かったり、お腹が空いていたりすると、癇癪はより起こりやすくなります。
大人でも疲れているとイライラしやすいように、子どもも体調によって感情を抑えにくくなります。
このように、3歳の癇癪は成長の中で自然に現れるものです。
ママにはしんどい子どもの癇癪ですが、背景にある子どもの気持ちや状況を理解しながら適切に対応をすることで、癇癪を起こしにくい脳に育てていくことができます!
2.癇癪で叩いてくる子へのNG対応
癇癪を起こしにくい脳に育てるか、癖にしてしまうかはママの対応によって変わってきます。
この章では子どもが癇癪を起こし、「叩いてくる」「物を投げる」などの行動をしたときのNG対応を紹介します。
◆感情的に叱る
「いい加減にしなさい!」と叱ったり怒鳴ったりすると、一時的には止まるかもしれませんがこれは根本的な改善にはつながりません。
叱られても、子どもは「自分の気持ちをどうしたらいいか」までは学べないからです。
結果として、今まで通り叩いたり物を投げたり、よくない行動で気持ちを発散するしかない状態が続きます。

◆子どもの要求を通す
「泣き止んでほしいから」「癇癪を起こされるのがしんどいから」と、子どもの要求をすぐに叶えてしまうことも要注意です。
子どもに「叩けば思い通りになる」という学習をさせてしまうからです。
NG対応が続くと、癇癪や叩く行動は「脳のクセ」になってしまいます。
脳のクセとは何か?次の章で解説します!
3.癇癪はクセになる⁈早めの対応で子育てがラクになる
なぜ、NG対応が続くと癇癪がクセになってしまうのでしょうか? それには脳の仕組みが関係しています。
◆脳が「癇癪モード」を記憶しやすくなる
脳は「学習する臓器」で、繰り返した行動を「学習」します。
しょっちゅう癇癪を起こすことが続くと、癇癪を起こすときに使う脳のルートを繰り返し使うことになるので、些細なことでも癇癪を起こしやすくなってしまうんです。
「イヤな気持ちを叩いて発散する → 要求が通る」という経験も、子どもにとっては成功体験として記憶されます。
繰り返すことで記憶が強化され、無意識に癇癪を起こし、叩いて要求を通そうとする行動を選ぶようになってしまうのです。

◆脳がやわらかい今のうちに正しい対応を!
逆に言えば、対応の仕方次第で「言葉で伝える」「気持ちを落ち着ける」という回路を育てることができます。
3歳の今はまだ脳がやわらかく、声かけが素直に入りやすい時期です。
だからこそ、「早めに正しい対応を知る」ことで子育てがグッとラクになります。
子どもにとってもママにとってもとてもしんどい時間を減らし、笑顔で過ごす時間に変えていきましょう!
4.癇癪が落ち着くようになる対応3選
癇癪を起こしにくくなるママの対応を紹介します!
◆①癇癪が起きていない時間に注目する
実は、「癇癪を起こしていない時」こそが最も大切な対応の時間です。
穏やかに過ごしている時に「すでにできていること」を積極的に見つけて言葉で伝えてあげましょう!
「元気に起きられたね!」
「自分でお着替えできたね!」
「もう靴履いたんだ!」
「歯磨きバッチリだね!」
というふうに、行動をそのまま言葉にして伝える「実況中継」のような声かけが簡単で効果的です。
子どもの行動を肯定することで自信が育つとともに、癇癪ではなく「良い行動で注目される」経験を積んでいくことができます。
◆②癇癪には注目しない!いったんスルー
子どもが叩いたり物を投げたりするなどのよくない行動を始めても、反応せずにいったんスルーして落ち着くのを待ちます。
表情を変えず、「注目していない」という姿勢を見せることがポイントです。
もし、相手がお友達であれば、さっと移動して周囲の安全が確保できる環境を作ってから対応をしてくださいね。
この「スルー」が効果を発揮するには、①でお伝えしたように日頃から肯定的な注目をしていることが大切です。
自分で落ち着くことができたら、すかさず褒めましょう!
「落ち着けたね」と伝えたりギューッと抱きしめてあげたりして肯定することで、「叩かないで落ち着く」脳の使い方を覚えていきます。

◆③ 感情に名前をつけるラベリング
「○○が嫌だったんだね」「もっと遊びたかったんだね」と感情を代弁することは、子どもが言葉で気持ちを表現できるようになる大事な練習です。
ママの言葉で「この気持ちはこういう言葉で表せばいいんだ」と学んでいきます。(感情のラベリング)
続けていくことで少しずつ「叩く」ではなく「言葉で伝える」に切り替わっていきます。
いかがでしたか?癇癪はママも子どももしんどいものです。
だからこそ!癇癪を起こしている時ではなく穏やかに過ごしている時間に注目して、癇癪を起こしにくい脳に育ててあげていってくださいね!
癇癪に振り回されない対応をお伝えしています!
執筆者:若月綾
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)