1歳を過ぎても親の模倣をしないわが子に発達の不安を抱えていませんか?実は、無理に模倣させようと教え込むのは、脳を緊張させるため逆効果です。子どもの脳が安心し、話したい!という意欲を育てるために、おうちで言葉の土台を作る方法をお伝えします。
【目次】
1.1歳で模倣しないのは発達障害?親の真似をしない子に悩むママへ
1歳を過ぎて、周りの子が「ママ」「ブーブー」と話し始めたり、バイバイの真似をしているのを見ると、「どうしてうちの子は真似しないの?」と焦ってしまいますよね。
1歳半健診で「大人の真似をしますか?」という項目にチェックができず、
「もしかして発達障害なのかな…」
「私がもっと話しかけてこなかったから?」
と、自分を責めてネットを検索しては、不安でいっぱいになっているお母さんは少なくありません。
実は、発語が遅い・模倣しないと感じるお子さんほど、「子どもに真似をさせる」よりも、「ママが子どもの声やしぐさを真似して返す関わり」が大切になります。
なぜなら、言葉は「教えられたから出る」のではなく、安心できる人とのやりとりの中で育っていくものだからです。
発語がゆっくりな子や模倣が少ない子には、次のような特徴が見られることがあります。
・声をかけても反応が薄い
・音や言葉を聞いてもすぐに真似しない
・視線が合いにくく、人よりも物への興味が強い
・言葉よりも動きや音で気持ちを伝えようとする
ですが、このような様子があるからといって、決して「話す力がない」「できない」わけではありません。
今は「聞く」「理解する」「真似する」といった、話すための土台が育っている途中であり、「まだ話さない=遅れている」ではなく、今は言葉を育てる準備をしている段階です。
この時期に大切なのは、「ママが自分をわかってくれた」と感じる体験なのです。
癇癪を止めようとするほど
親子バトルが長引く子へ
まず指示をひとつ減らして、
子どもの脳が安心して
動ける状態をつくる
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2.模倣しない子が話さないのは「教え込み」による脳の緊張が原因でした
わが子の言葉の遅れが気になると、「もっと私が話しかけなきゃ!」と、一生懸命に言葉を教えようと頑張ってしまいますよね。
「ほら、ママの口を見て!」
「アーって言ってごらん?」
こんなふうに真似をさせようとするとき、お母さんのお顔は少し真剣になりすぎているかもしれません。
実は、一生懸命になればなるほど、その「教え込み」が子どもの脳を緊張させていることがあるのです。
発達科学コミュニケーションの創始者である吉野加容子の著書にも、以下のように書かれています。
「なんでできないの?」と何度もキツく叱り、プレッシャーを与えながら練習させるようなことは、絶対にしてはいけません。こうした苦手をつつくような取り組みは、子どもに強いストレスを与え、子どもを萎縮させるばかりで、脳を健全に伸ばすことにはならないからです。
(引用:『発達障害・グレーゾーン 子育て大変だと思ったら これ、言ってみて!』吉野加容子著/東洋経済新報社)
子どもの脳は、「安心しているとき」に一番よく育ちます。
さらに、脳は「自分がわかる言葉」や「楽しいこと」を聞いたときに、ぐんぐん成長していくという特徴を持っています。
そのため、大人が一方的にまだ知らない言葉を教え込もうとしても、子どもの脳にはスムーズに届きにくいのです。
では、どうすれば子どもが安心して「楽しい!」「もっと聞きたい!」と心を動かしてくれるのでしょうか?
そのヒントは、「お母さんが子どもの真似をすること」にあります。
「え?真似するのは子どもじゃないの?」と驚くかもしれません。
ですが、子どもは安心できる人、好きな人のことはよく観察しようとするものです。
興味のない言葉を教えられるよりも、自分が発した声や動きをママがそのまま返してくれる方が、子どもにとっては「自分のことをわかってくれた!」と感じるずっと楽しい体験になります。
大好きなママが笑顔で同じことをしてくれる。この「楽しい」という気持ちが、子どもに大きな安心感を与えます。
そして、その安心感が積み重なることで、「もっとママと関わりたい」「ママの言葉を聞きたい、話したい!」という意欲の土台がグングンと育っていくのです。
次では、発語が遅かった娘が笑顔で話し出すようになった、わが家の実践をお伝えします。
3.発語が遅く模倣しなかった娘が、自ら話し出した「ママが真似する」関わり
わが家の知的障害と自閉スペクトラム症のある娘も、かつては発語が遅く、単語は出てきたものの「おかあちゃん」「せんせー」など数個だけでした。
言えていた単語が消えてしまったり、一度だけ言えた言葉が次には出てこないこともあり、なかなか単語が増えませんでした。
私が「りんごだね〜」「バナナだね〜」と声をかけて真似させようとしても、娘は見ているだけで、なかなか口に出すことができなかったのです。
私は「どうしたら言える言葉が増えるんだろう…」と悩んでいた時に出会ったのが、『子どもに真似をさせる』のではなく、『ママが子どもの真似をする』という関わり方でした。
最初は半信半疑でしたが、娘が「おーでー(おいで)」「こっち」と言っている時に、私も「おいで〜だね!」「こっちだね!」と真似して返してみました。
くるくる回っている時には、一緒にくるくる回ってみたりもしました。
すると、娘は笑顔でもう一度「こっち!」と教えてくれたり、私が「妹ちゃんどこだろう〜」と言うと、「妹ちゃん?」と真似して返してくれたりと、少しずつ、言葉が定着する場面が増えていったのです。
この経験を通して、「ことばを教える」よりも、「気持ちが通じ合う」経験の方が、子どもの中に「話したい気持ち」を育ててくれるのだと確信しました。
4.今日からできる!おうむ返しで言葉を引き出す関わり方
発語が遅い・模倣しない子には、ママが「教える人」ではなく、「言葉を楽しむ相手」になること。それが、発語を伸ばす一番の近道です。
ここでは、毎日の生活の中でできる「おうむ返し」の関わり方を2つ紹介します。
◆①子どもの「声」や「しぐさ」をそのまま返す
お子さんが「あうあうあう」と喃語を言ったり、「バナー(バナナ)」「おかー」など少し不明瞭な発音をしていたら、ママも「バナーだね〜」「おかーだね〜」とそのまま返してあげましょう。
もしも「今、言えたかも?」と思う瞬間があったら、すぐにおうむ返しで受け止めてあげてください。
ここで正しい発音に直す必要はありません。
「ママが聞いてくれた!」という経験が、言葉を話す自信と安心を育てていきます。
◆②曖昧でも受け止めて、やりとりを楽しむ
「何を言っているんだろう?」と思う声でも、ママが「そうだね〜」「そう言いたかったのね」と笑顔で返してあげましょう。
うまく言えたかどうかよりも、「伝えようとしている気持ち」を受け取ることが大切です。
このやりとりの積み重ねが、「ママと通じ合えた!」という嬉しさになり、発語の土台を育てていきます。
ママのおうむ返しは、言葉の練習ではなく、心をつなぐやりとりです。
ママが子どもの声やしぐさを真似して返すことで、「ママと話すのって楽しい!」という気持ちが育ち、言葉は自然に増えていきますよ。
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模倣しない子のことばの力を、ママの関わりと笑顔で伸ばすヒントを動画でご紹介!
模倣しない子についてのよくある質問(FAQ)
Q1:模倣しない子の言葉は、これから増えていきますか?
A1:結論、言葉は「脳が育つ関わり」で伸びていきます。言葉の遅れは能力の問題ではなく、安心や「うれしい!」が足りていないだけの場合も多いもの。
詳しくは おうち療育で言葉を増やすママのほめ方 を参照。
Q2:模倣しない子は、どうしたら自分から言葉で伝えられるようになりますか?
A2:「伝わった!」という成功体験を積み重ねることが大切です。言葉は教え込むよりも、ママに思いが伝わった経験から伸びていきます。詳しくは 言葉が遅い子の言葉が伸びる!『おうち療育』2ステップ を参照。
Q3:話しかけても無視されるのは、言葉がわからないからですか?
A3:声そのものに気づけていない状態です。 自閉症の子は、耳よりも目から入る情報を優先して処理するため、背後からの声や長い声かけが届かないことがあります。目の前に行き、短い言葉で伝えることで、反応が変わる場合があります。
具体的な関わり方は 話しかけても無視!?3歳自閉症児がママの声かけに応えるコツ にまとめています。
執筆者:白浜そら
発達科学コミュニケーショントレーナー
重度知的障害と自閉症のある長女は、5歳までことばが出ませんでした。要求が伝わらず癇癪を起こして泣きじゃくる娘に、「もう言葉で言ってよ!」と毎日必死で、どう関わればいいのか途方に暮れていました。
発達科学コミュニケーションに出会い、「脳が育てばことばが増える」という視点でおうちでの声かけを見直しました。すると、3ヶ月で言葉の理解力が伸びて指示で動けるようになり、4ヶ月後には念願の「おかあちゃん」を聞くことが叶いました。
今では娘とおしゃべりをしながら、笑顔で外出を楽しんでいます。かつての私のように悩むママへ、「自閉症や知的障害があっても、おしゃべりを諦めなくていい」という希望を手渡したくて発信しています。
脳を育てて「話したい!」を引き出す。ことばが伸びるおうち療育を発信しています!
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