発語が遅い・模倣しない子も、ママの声かけで言葉は伸びます。ママが子どもの声やしぐさを真似すると、「ママがわかってくれた!」と感じて安心し、話したい気持ちが生まれます。今日からできる、言葉を引き出す「おうむ返し」の関わり方を紹介します。
【目次】
1.発語が遅い・模倣しない子が話さない理由と言葉が遅い子の特徴
2.ママが真似すると子どもの脳が安心して発語が育ちます!
3.発語が遅かった娘が笑顔で話し出したストーリー
4.今日からできる!おうむ返しで言葉を引き出す関わり方
1.発語が遅い・模倣しない子が話さない理由と言葉が遅い子の特徴
自閉スペクトラム症(ASD)や知的障害のあるわが子に、
「言葉を増やしたいけれど、どう関わったらいいかわからない…」
「“あけて”って言わせようとしても、全然言ってくれない…」
そんなふうに悩んでるママはいませんか?
実は、発語が遅い・模倣しないと感じるお子さんには、「ママが子どもを真似る」ことで、言葉が伸びていきます。
言葉が出ないのは「教え方が足りない」からではなく、「安心して模倣できる脳の準備」がまだ整っていないだけなのです。
子どもの言葉の発達には順序があります。まずは「どんなステップをたどって話せるようになるのか」を知ることで、今できるサポートが見えてきます。
◆①言葉の発達のステップ
子どもの言葉の発達は、順序をたどります。
・0歳では「あー」「うー」などの喃語
・1歳前後には「ママ」「ブーブー」などの一語文
・2歳前後になると「ママきた」「これちょうだい」などの二語文が出始め
・3歳以降では会話や質問が増え、語彙もぐんと広がっていきます。
しかし、このスピードには個人差があります。
「まだ話さない=遅れている」ではなく、今は言葉を育てる準備をしている段階なのです。
◆②発語が遅れる原因は?
言葉の発達がゆっくりな背景には、いくつかの要因が関係しています。
・発達のペースがゆっくりしている(個人差)
・言葉を理解する力がまだ育っていない
・音や言葉を聞く機会が少ない
・おとなしい・慎重などの性格傾向
・聴覚や発達の特性による影響
お子さんによって、話す準備が整うタイミングはそれぞれ違います。
無理に言葉を引き出そうとせず、安心してやりとりできる環境を整えることが、発語が遅い子どもの言葉の発達を支えます。
◆③発語が遅い子が共通して見せるサイン
発語がゆっくりな子や模倣が少ない子には、共通する特徴が見られます。
・声をかけても反応が薄い
・音や言葉を聞いてもすぐに真似しない
・視線が合いにくく、人よりも物への興味が強い
・言葉よりも動きや音で気持ちを伝えようとする
こうした様子があっても、「話す力がない」わけではありません。
今は「聞く」「理解する」「真似する」など、話すための基礎が育っている途中です。
言葉は、聞いて、理解して、真似して、話す――この積み重ねの中で少しずつ育っていくものなのです。

多くのママが「もっと話しかけなきゃ」と努力されていますが、言葉をたくさん教えようとするほど、子どもの脳が緊張してしまうこともあります。
大切なのは、「ママが自分をわかってくれた」と感じる体験です。
次の章では、実際にママが真似をすることで、脳がどう変わるのか、発語が伸びる理由を解説します。
2.ママが真似すると子どもの脳が安心して発語が育ちます!
言葉の発達の始まりは「教える」ことよりも、ママが子どもを真似することから始まります。
「え?真似するのは子どもじゃないの?」と驚くかもしれません。
しかし、子どもは安心できる人、好きな人のことはよく観察しようとするものです。
だからこそ、ママが子どもの声やしぐさを真似することで、子どもは「ママがわかってくれた!」と感じて安心します。
子どもはママへの興味を深め、「ママと関わりたい」「ママの言葉を聞きたい」という気持ちが育っていきます。

興味のない言葉を教えられるよりも、自分の声や動きをママが返してくれる方が、子どもにとってずっと楽しい体験なのです。
「ママも同じこと言ってる!」「ママがわかってくれた!」と感じたとき、子どもは笑顔になります。
その「楽しい」という気持ちが、安心につながり、言葉を話したいという意欲を育てていくのです。
次では、発語が遅かった娘が笑顔で話し出すようになった、わが家の実践をお伝えします。
3.発語が遅かった娘が笑顔で話し出したストーリー
わが家の知的障害と自閉スペクトラム症のある娘は、単語は出てきたものの「おかあちゃん」「せんせー」など数個だけでした。
言えていた単語が消えてしまったり、一度だけ言えた言葉が次には出てこないこともあり、なかなか単語が増えませんでした。
私が「りんごだね〜」「バナナだね〜」と声をかけて真似させようとしても、娘は見ているだけで、なかなか口に出すことができなかったのです。

私は「どうしたら言える言葉が増えるんだろう…」と悩んでいました。
そんな時に出会ったのが、『子どもに真似をさせる』のではなく、『ママが子どもの真似をする』という関わり方でした。
最初は半信半疑でしたが、娘が「おーでー(おいで)」「こっち」と言っている時に、私も「おいで〜だね!」「こっちだね!」と真似して返してみました。
くるくる回っている時には、一緒にくるくる回ってみたりもしました。
すると、娘は笑顔でもう一度「こっち!」と教えてくれたり、私が「妹ちゃんどこだろう〜」と言うと、「妹ちゃん?」と真似して返してくれたり…。
少しずつ、言葉が定着する場面が増えていったのです。
この経験を通して、「ことばを教える」よりも、「気持ちが通じ合う」経験の方が、子どもの中に「話したい気持ち」を育ててくれるのだと確信しました。
では、実際にどうやって子どもの真似をすればいいのでしょうか?次では、実際におうむ返しで言葉を引き出す関わり方について紹介します。
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4.今日からできる!おうむ返しで言葉を引き出す関わり方
発語が遅い・模倣しない子には、ママが「教える人」ではなく、「言葉を楽しむ相手」になること。それが、発語を伸ばす一番の近道です。
ここでは、毎日の生活の中でできる「おうむ返し」の関わり方を2つ紹介します。
◆①子どもの「声」や「しぐさ」をそのまま返す
お子さんが「あうあうあう」と喃語を言ったり、「バナー(バナナ)」「おかー」など少し不明瞭な発音をしていたら、ママも「バナーだね〜」「おかーだね〜」とそのまま返してあげましょう。
もしも「今、言えたかも?」と思う瞬間があったら、すぐにおうむ返しで受け止めてあげてください。
正しい発音に直す必要はありません。
「ママが聞いてくれた!」という経験が、言葉を話す自信と安心を育てていきます。
◆②曖昧でも受け止めて、やりとりを楽しむ
「何を言っているんだろう?」と思う声でも、ママが「そうだね〜」「そう言いたかったのね」と笑顔で返してあげましょう。
うまく言えたかどうかよりも、「伝えようとしている気持ち」を受け取ることが大切です。
このやりとりの積み重ねが、「ママと通じ合えた!」という嬉しさになり、発語の土台を育てていきます。

ママのおうむ返しは、言葉の練習ではなく、心をつなぐやりとりです。
ママが子どもの声やしぐさを真似して返すことで、「ママと話すのって楽しい!」という気持ちが育ち、言葉は自然に増えていきますよ。
脳を育てて「話したい!」を引き出す。ことばが伸びるおうち療育を発信しています!
執筆者:白浜 そら
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)