苦手なことが多い発達障害の子どもたち。「うちの子はできないことが多いから…」と子どもの可能性に制限をかけていませんか?今回はママ・アスリート、小林可奈子選手の講演会から学んだ、発達障害の子どもの才能を活かす秘訣をご紹介します。 |
【目次】
1.我が子の可能性に制限をかけていませんか?
苦手なことやできないことが多い発達障害の子どもたち。
「うちの子はじっとしていられないから、この習い事は厳しいよな…」
「不器用傾向がある我が子に、この電車模型を作らせるのは無理だろうな…」
「うちの子は怖がりだから、ここに遊びに行くのはやめたほうがいいよな…」
こんな風に「うちの子にはきっと無理だから」と色々なことを諦めていませんか?
確かに、
・じっとしているのが苦手
・不器用傾向がある
・不安が強く、怖がり
などという特性は、脳の発達が未熟なことが原因であるため、本人にもコントロールが難しいものです。
そのため、子どもの特性に合わせて親が環境を整えてあげたり、対応してあげることはとても大事なことです。
しかし、最初から「できないだろう」と決めつけてしまうことは、子どもの成長する機会を奪うことにもなってしまいます。つまり、子どもの可能性を制限してしまうことになるのです。
これからの時代、AIが台頭してくると、今まで人間がやっていた作業の多くは機械が代わりにやってくれることになります。
今当たり前のように存在する職業も、数年後にはなくなっているかもしれません。
つまり、これまで以上に「自分だけの強み」を持つことが求められるようになるのです。
そこで今回はアトランタ五輪代表のママ・アスリート、小林可奈子選手の講演会から学んだ、発達障害の子どもの才能を活かす秘訣を紹介します。
2.大人が視点を変えれば子どもの未来は変わる!小林可奈子選手から学ぶ才能の見つけ方
小林可奈子選手は、マウンテンバイクの現役ママ・アスリートとして活躍されている方です。実は選手・先生・コーチ・母親という4つの顔を持つ、とってもパワフルな女性なんです。
そんな小林選手は長野県で「MTBクラブ安曇野」という、マウンテンバイクのクラブを主催されています。
「MTBクラブ安曇野」は小学生から70代の方まで、幅広い年代の方がみんなで一緒にマウンテンバイクを楽しむことができるクラブです。
実は小林選手のお話によると、「MTBクラブ安曇野」には発達障害やグレーゾーンの子どもも多く在籍しているとのことです。
ここでは、印象的だったエピソードを2つ紹介します。
あるとき、小林選手の元に発達の特性のある子どもを持つお母さんから問い合わせが来ました。
「息子がマウンテンバイクに乗りたいと言っています。でもうちの子はじっとしていることが苦手です。学校では教室で授業を受けることができません。」
こんな風に、「落ち着きがない我が子はこの教室に受け入れてもらえるのだろうか…?」と不安になっているお母さんに小林選手はこう言ったそうです。
「それで?マウンテンバイクが好きならそれでいいじゃない。」
その結果、小林選手の教室に受け入れてもらった男の子はぐんぐん上達し、誰よりも上手にマウンテンバイクで飛ぶことができるようになったそうです。
また、ある男の子はマウンテンバイクに乗るのは得意じゃないけれど、自転車の構造を学ぶことが大好きだったそうです。
そんな男の子に、小林選手は
「将来メカニックとして、あか里ちゃん(長女)の大会に出てほしいな!」
と声をかけました。
いかがですか?
「授業を受けられなくても、マウンテンバイクが好きならそれでいい」
「マウンテンバイクに乗れなくても、部品が好きならそれでいい」
こんな風に小林選手は
・きちんと大人しく話を聞ける子しか受け入れない
・マウンテンバイクの教室なんだから、乗るのは当然
という当たり前を捨てて、子どもの強みにとことんフォーカスしているんです。
さらに「自転車の部品が大好き」という男の子の才能を生かせる方法として「メカニックとして大会に出よう!」という新しい目標まで手渡している。これってなかなかできませんよね?
普通だったら、大会に出るためには、選手を目指すのが当たり前だと思われています。しかし小林選手は苦手なことをなんとかしようとするのではなく、その子が得意なことで勝負できる道を模索したのです。
子どもの可能性に制限をかけず、どうすれば才能を生かせるのか?を考える小林選手。素晴らしいですよね。
3.発達障害の子どもの才能を活かす秘訣とは?
では小林選手のお話から学んだ、発達障害の子どもの才能を活かす秘訣とは何でしょうか?
それは
・最初からできないだろうと決めつけない
・その子の強みを生かせる方法を考えてあげる
という2つです。
例えば、気になる習い事があったら、まずは子どもに合った環境の教室がないか調べてみるのも大事ですよね。
難しそうな電車模型も、とりあえずやらせてみる。途中までしかできなくても、「説明書頑張って読んでたね」「部品を切り取れたね」などとできたところを褒めてあげれば、子どもに自信をつけることはできます。
また学校の勉強は苦手だけどプログラミングは得意、という子だったら、学校の成績を上げることよりも、ロボットコンテストなど他の目標を持たせてあげるほうが子どもはぐんと伸びます。
こんな風に、子どもの可能性を決めつけずに柔軟な対応をしてあげることが、発達障害の子どもの才能を活かすことにつながるのです。
最初にお話ししたように、これからのAI時代を生き抜くために必要なことは、みんなと同じようにできることではなく、自分だけの強みを持っていることです。
お母さんの手で、発達障害の子どもの才能をしっかり伸ばしてあげましょう!
執筆者:森 あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)