発達障害がある子の一人っ子のお母さんへ、今すぐできる「怒り」の感情のコントロールと表現法

春休みの我が子との時間は、かけがえのないものですよね。子育ては期間限定です。分かってはいても…家で長いこと一緒に過ごしているとイライラして感情的に怒ってしまうことはありませんか?感情はコントロールできます!その方法を具体的にお伝えします。
 

【目次】

 
 

1.一斉休校からそのまま春休みへ。長期の休みを心から楽しめないとき

 
 
日が長くなり、暖かくなりましたね。家で過ごすことが多い今の時期、子どもとの時間は楽しめていますか?
 
 
お会いするお母さん方からは、この長い春休み中は怒ってばかり!毎日が大変だというお声をよくいただきます。 子どもと一緒に楽しみたい!でも楽しめない。イライラしたり怒ってばかりいる自分が嫌…。
 
 
実は以前の私も全く同じ。私は一人っ子を育てているので、朝から晩まで子どもと二人。息子との長期休みが近づくと、憂鬱でした。
 
 
怒らないように!仲良く楽しい1日にしたいと思い、いろいろと頑張っても、どうしてもうまくいかないときってありますよね。
 
 
 
 
子どもの脳の発達のためにも、自己肯定感・自己効力感を育むためにも、できるだけ感情的に怒らない方がいいんです。マイナスの感情に振舞わされると、良いこと無いなと思っています。
 
 
また、怒った後はおっても悲しい気持ちになってしまうし、ものすごい疲れるんですよね。そこで私は心理学を学び、感情と距離をとれるようになりました。
 
 
進学進級前に思い切り子どもと楽しみたい。とにかくもう、これ以上、感情的に怒りたくない!と本気で望んでいるお母さんへ感情のコントロール法をお伝えしていきますね。
 
 

2.子育てについて勉強しても、なぜうまくいかず怒ってしまうのか

 
 
発達凸凹による特性は、その子その子で違います。その時々に応じてお母さんは、関わり方を工夫されていることと思います。
 
 
大量の情報から我が子にマッチしたものを探し、日々悩んだり迷ったりの繰り返し。専門機関に相談されたり、子育て関連の学びを、すでに積み重ねているかもしれません。
 
 
頭ごなしに怒ったり、否定的な言葉を使ってはいけないと分かっています。でもイライラが止められず、しまいに感情的になり怒鳴ってしまうんですよね。
 
 
現状をもっと良くしたい想いで、せっかく学んだのに活かすことができず…と悩んでいるお母さんは本当に多いです。実は学んで得た知識を実践していくためには、お母さんの心の土台が整っていることが必要なのです。
 
 
自分の心のメンテナンスができていないまま、子どもの対応に追われていると、ちょっとした予期せぬ事態に心は揺さぶられるもの。その中で必死で思考を使って対応していると、脳の許容量はオーバーしてしまいます。
 
 
 
 
子育てはノンストップ。子どもの発達のためには、対応の工夫が必要です。と同時に、お母さんご自身のケアも同じだけ必要なのです。ケアのうちの一つ、お母さんの感情との付き合い方を次にお伝えしますね。
 
 

3.過去を振り返ったり自分を責めるのはおしまい!

 
 
どうして自分はこんなに感情的に怒ってしまうんだろうと、自分を振り返る時はありませんか?わたしは子どもを寝かしつけた後、毎日のように反省していました。
 
 
一人っ子を育てていると、何もかもが初めてのことばかり。子どもが小さいときは、食べる量はこのくらいで良いのか?病院に連れていくべきか?ひとつひとつ手探りでした。
 
 
朝起きた直後から、今日は怒らないでいられますように!と祈る気持ちでいました。我が子は、衝動性が高く、超多動。対応が難しくて、これで大丈夫!と思えなくて、子育てに自信が持てませんでした。
 
 
一人だけの大切な我が子。本当は可愛くて仕方がないのに、感情的に怒ってしまってしまう…これは私に問題があるのだと、過去を振り返ることもありました。
 
 
今の自分が形成された原因探しの記憶をたどる作業も行いました。子どもの頃の自分を、今の自分が癒してあげることは良いのですが…過去への反省後悔の気持ちも生まれてきました。
 
 
そこで私は過去より今を大事にすることの必要性に気づきました。
 
 
 
 
様々な学びの中から、私が取り入れたことは、我が子へ怒ってしまう、その瞬間の自分の感情と向き合うということ。自分の感情を、自分自身で気づいていくようにしました。
 
 

4.感情に支配されるものでなくコントロールできるもの

 
 
子どもに対して、感情的になりたくないのに、自分ではどうしようもないことだと思っていませんか?
 
 
抑えられないから仕方なく怒り爆発してしまった。そう思われるかもしれませんが、自分の意思とは違うところで、感情が一人歩きするわけではありません。
 
 
イライラから怒りに発展しているのも自分。怒りを作り出し表現しているのも自分です。
 
 
そのことで、子どもがどういう反応をするか?最終的に、どんな状況になるのか?想像しながら、実は「怒り」を使っているのです。
 
 
そもそも感情は自分の中から生まれたもの。実は自分で作りだしているっていうこと。感情に支配されるのではなく、自分が感情を支配(コントロール)できるのです!
 
 
 
 
では次から、実践していく方法をお伝えしていきます。
 
 

5.感情的に怒る自分から卒業する方法

 
 
ここからは「怒り」との付き合い方として、5つのステップに分けました。順に取り組んでくださいね。
 
 

◆①今、自分はどんな状態?

 
 
ある出来事に対して、自分が今、感情的に怒っているのだと自覚することが第一ステップ。自分自身と向き合っていきます。
 
 
今、自分は怒っているんだ」と、その瞬間に感じてみてください。
 
 
こんなことで怒ってしまった…とご自身を責めないでくださいね。ただ、怒っている自分を知るだけでいいのです。
 
 
すると、この怒りの感情について分析して、今までと対応を変えようというスタート地点に立てるようになります。
 
 

◆②本当はどうしたい?

 
 
怒りの感情について分析していくには、本当はどうしたいのか?を自分の中で言語化していくことが必要です。
 
 
うちの子どもが小さかった頃、夜なかなか寝れなかったときを例にあげてみますね。
 
 
多動の息子との生活は毎日ギリギリで身も心も疲労で限界でした。しかし子どもは昼寝をしてしまうので、夜は元気いっぱい。毎晩、寝かしつけに時間がかかっていました。
 
 
やっと寝かせられたと思っていたら…夜中にまた、起きてくることがありました。私はなんとかして一人の時間を作っていたので、夜中に元気な我が子をみるともう最悪な気分でした。
 
 
私はついつい、小さい我が子へ感情的に怒鳴ってしまいました。
 
 
「なんでママを困らせるの?」とか「いい加減にしなさい」というように。これはただ、怒りの感情をぶつけているだけですよね。
 
 
本当はどうなっていて欲しいのか?と自分を振り返ってみると…「早く寝て欲しい。夜中起きたとしても、すぐ朝までぐっすり寝て欲しい。」「一人で休みたい」と私は望んでいました。
 
 
怒りをぶつけることを防ぐために、その場で自分の望みに気づいて、言語化してみてくださいね。
 
 

◆③心の奥ではどう思っているの?

 
 
感情をコントロールするための次のステップは、現状に対して、どう感じているのか?と自分の気持ちを振り返っていきます。
 
 
「怒り」という感情の根底には、傷つき寂しさ悲しみ心配落胆などの感情が潜んでいます。この感情が満たされないことから、「怒り」という二次感情を使ってしまうのです。
 
 
「怒り」の奥に隠された自分の気持ちである、一次感情に気づいていくことで、「怒り」を相手へぶつけないですみます。
 
 
寝ない子どもへ怒りをぶつけていた私の、心の奥の気持ち(一次感情)は悲しみや落胆でした。ずっと疲れている自分のことを、分かってもらえない悲しみや、朝から夜中まで子育てが辛すぎる、という悲しみもありました。
 
 
「怒り」とは本当に曲者で、自分の一次感情を封じ込めてしまうのです。私は「今、悲しいんだ」というように感情の分析をしていくことが、感情をコントロールするために必要な過程です。
 
 
よくお母さん方へ「そのときどんな気持ちだった?」とたずねると「腹が立っていました」と返ってくるのですが、その腹が立ったという、怒りの奥の本当の気持ちを、自分で気づいてあげてくださいね。
 
 

◆④「怒り」の感情を使う目的とは?

 
 
自分の本当の気持ちに気づかないでいると、「怒り」という二次感情を使うことになります。ちょっと耳慣れない話かもしれませんが、実は「怒り」を使ってでも、成し遂げたい目的が潜んでいるのです。
 
 
私の例に戻ると、当時の私には「子どもは夜、早く寝るべきだ。」「親の言うことを聞くべきだ。」という信念がありました。
 
 
子どもへ怒鳴ったら自分も我が子も、どんな状況になるか?イメージできるのに、それでも怒りをぶつけて怒鳴ったのは、親の言うことをきかせたかったから
 
 
子どもが小さいうちは、怒鳴ったら手っ取り早いですよね。でもこのやり方だと、年齢が上がるに連れ通用しなくなります。親子関係の悪化に繋がるかもしれません。
 
 
子どもを責めたり否定の言葉を使うのも「怒り」の表現。「怒り」を使って、子どもへ言うことをきかせたい気持ちが、自分の中にあるんだということを認めていくのです。
 
 
苦しい作業ですよね。でも、それほど毎日頑張ってきていて、もういっぱいいっぱいだったということ。どうか自分を責めずに、ただ受け入れていって欲しいです。
 
 

◆⑤ 感情をコントロールする方法

 
 
怒りを使う、という自分のやり方を認めて受け入れていくことで、次に進めます。やって欲しいことを伝えるというやり方に切り替えていくのです。
 
 
私の場合だと「早く寝て欲しい」という思いをそのまま伝えていくということ。②で言語化した「本当はどうなっていて欲しいのか」という自分の望みを伝えるのです。
 
 
「もう悲しくなっちゃった」「疲れすぎて休みたいんだ」という自分の気持ちも、相手に伝えてみても良いです。子どもが小さいときは伝えなくてもいいです。大事なことは、自分自身がこの気持ちを分かっていることです。
 
 
私の経験をを参考に、感情的になりやすい場面において、ご自身の感情とどう向き合って行けば良いのか置き換えてみてくださいね。
 
 
最後に①〜⑤のステップを下記にまとめます。
自分が疲れていることや怒っている状態に気づく
本当はどうなっていて欲しいのか望んでいることを確認する
その時の一次感情を探って受け止める
感情を使って子どもに言い聞かせたいという、自分を受け入れる
相手(子ども)へ、どうして欲しいのかをそのまま伝える
 
 
このステップを踏むことで自分の感情と向き合いコントロールが可能になります。最終系は、普段なら怒ってしまうシチュエーションで、その場で一連の思考を巡らせることで、怒りのスイッチを押さないようになることです。
 
 
それには日頃から、自分自身の感情を言語化しておくトレーニングが必要で、頭の中で確認してもいいし紙に書いても良いです。
 
 
これができるようになると、学んだ知識も実践しやすくなり、子どもの発達へつなげることができます。怒りに使っていたエネルギーを、子どもとの楽しい時間に使ってくださいね
 
 
 
 
臨時休校から春休みに入り、子どもと接する時間が長引いています。怒りの感情をぶつけてしまうお母さんへ、もう苦しまないでないで、幸せに元気に過ごして欲しいです。応援しています。
 
 
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執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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