発達障害の息子は新1年生なのですが、コロナウィルスの影響で小学校入学が5月まで延期されました。入学までに残された時間をどのように過ごしたらいいのでしょうか?やっぱり簡単なお勉強はやっておいた方がいいでしょうか?
6歳・男の子のママ
何かと心配が尽きない、発達障害のお子さんの小学校入学。この空いた時間でお子さんのこれまでの成長を実感させてあげませんか?必要なのは授業の予習ではありませんよ!
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 丸山香緒里
【目次】
1.小学校入学延期をチャンスにとらえる!
2.小学校入学に関する情報、溢れすぎ問題
3.自分を認めてほしい?発達障害の息子の気になる言動
4.ありのままの子どもを認めることの大切さ
5.これまでの子育てを子どもと一緒に振り返ろう!~○○の活用~
1.小学校入学延期をチャンスにとらえる!
発達障害の子どもの小学校入学。子どもにとってもお母さんにとっても心配や不安が尽きませんよね。
特に今年は新型コロナウィルスの影響で、3月から一斉休校していた地域がほとんど。相談者さんがお住まいの地域のように、一斉休校が延長されていたり、分散登校していたり…
4月は年度のスタートですが、今年は先行きの見通しが立たず、不安が一層強い状況です。
そんななか、新入学を迎えるお子さんは、この状況を逆手にとってチャンスとして利用してほしいと思っています。
我が家の発達障害の息子も、この4月でピカピカの1年生です。 息子が進学する予定の小学校も、コロナウイルスの影響で入学式が延期、6月までは午前授業、給食はなしという連絡がありました。
息子は6月まで12時に帰宅し、家でお昼ご飯を食べる生活になります。
みなさんなら我が家のこの状況をどうとらえますか?
私は実は…よかった~!とほっとしたんです。
・学校にゆっくり慣れていける
・半日で帰ってくるので体力の消耗も防げる
・授業数が少ないので勉強面も安心
・午後の時間は息子の好きなことをじっくりやれる時間が取れる
・給食に関わる準備がいらない
・給食が食べられるかどうかの不安はひとまず解消
など、我が家にとってはありがたいことだらけです。
もしかしたら、12時で帰宅することで「自分の時間が無くなる」とネガティブに感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも先行きの見えない今、ものごとのネガティブな部分ではなくポジティブな部分を探すことが大切になります。
相談者さんの学校はおそらくゴールデンウィーク明けの入学・進級を予定しているのだと思いますが、まだ数週間の時間が残されています。ぜひ、入学準備の期間が伸びた!とチャンスとしてとらえてください。
ただ、この数週間をお勉強で過ごすのはちょっと待ってくださいね!
2.小学校入学に関する情報、溢れすぎ問題
小学校に入学する前に、こんなことできていたらいいですよ!という情報は社会にあふれていますよね。
・ひらがなは読めるように
・自分の名前は書けるように
・時計が読めるように
・数字の概念が分かっているように
・あいさつができるように
・お友達と仲良く遊べるように
少しインターネットで検索すれば、大量の情報がヒットします。
試しにグーグルで「小学校入学準備」と検索したところ、なんと2260万件がヒット!
情報が溢れすぎて何から手を付けたらいいか分からない、ということはありませんか?
発達障害のお子さんを持つお母さんは、もしかしたら「クラスで遅れないように」とにかくしっかり準備しなければ!と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、5月に入学するとして、残り数週間であれもこれも手を付けるのは難しいと言わざるを得ません。
この数週間で一体何をしたらいいのか?実は勉強よりも大切なことがあります。それを教えてくれたのが息子でした。
3.自分を認めてほしい?発達障害の息子の気になる言動
私の息子は発達障害・自閉症スペクトラムの診断があります。 知的遅れはないものの、コミュニケ―ションは一方的で会話のキャッチボールが成立しにくいタイプ。でもとにかく明るく人懐っこいので、周りの大人たちに愛されるタイプの子です。
そんな息子が、ここ数ヶ月しきりにこんなことを言い出しました。
「ねえねえ、お母さん。僕ってかわいい?どれぐらいかわいい?」
「うん、息子君はかわいいよ~!お母さんの一番だよ!」と答えてギューッとハグするのですが、何度も何度も聞いてきます。次第にエスカレートしていき、
「赤ちゃんのときはかわいかった?」
「ハイハイしているときはかわいかった?」
「1歳のときはかわいかった?」
「2歳のときはかわいかった?」
「○○に旅行に行ったときはかわいかった?」
と、言うようになっていきました。しかも1日に何度も言われるので、さすがにウンザリ。そのうち下の子も息子を真似して「かわいい?」攻撃が!
実は数か月前、今年の年明けごろから、幼稚園でも「小学校入学」を見据えた保育が始まったらしいのです。
「ピカピカの1年生♪」という自信は持たせながらも、これまで以上に時間にそった行動を求めたり、集団行動の時間を増やしたり、集団の中で意見を言ったりすることが求められるようになったようです。
もちろん先生方から保育方針についての説明はありましたし、「息子君、頑張ってますよ!」という連絡はいただいていたのですが、息子にとってはリラックスできる空間であった幼稚園が、急に規律を求められるようになったことが負担だったのです。
4.ありのままの子どもを認めることの大切さ
「さすが1年生のお兄ちゃんだね!」という言葉。お母さんも先生も一度は使ったことがあると思います。私もかなり使っていました。
この言葉は息子にとって自信になった一方、プレッシャーにもなったようです。
特に我が家は小学校から離れたところに住んでいたため、息子はほとんど「小学生」を見たことがありませんでした。自分なりの「小学生像」に近づこうと頑張っていたのかもしれません。
理想に近づけている自分だけでなく、そのままの自分をほめてほしい。そんな気持ちが「かわいい?」攻撃につながったのではないかと思います。
入学までの残り数週間、「1年生!」を意識付けすることはとても大切です。でもやりすぎると息子のように疲れてしまう子もいるのではないでしょうか。
ありのままの子どもを認めてあげる。
子どもが今できていることを認めてあげる。
1年生!と紐付けなくても、今○○なあなたはすごいんだよ!と伝えることが必要だと、私は息子に教えてもらいました。
5.これまでの子育てを子どもと一緒に振り返ろう!~○○の活用~
子どもに「今のあなたはすごいんだよ!」と伝えてもイマイチピンと来てない…という場合、有効なのが写真です。
あなたはこんなに小さかったんだよ
今はこんなに大きくなったよね
このときはハイハイしてたなぁ
今はもう自転車も乗れるしスケートもできるもんね!
このときは動物園でラクダばっかり見てたんだよ
今は遊園地でジェットコースターも乗れるもんね!
このときは卵焼きが大好きだったんだよ
今はお弁当全部食べれるもんね!
こんな風にお子さんと一緒に写真を見ながら、写真を撮ったときからどんな風に成長したのかたくさん話してあげてください。
写真を利用することで、「この子は(僕は)こんなに成長したんだ」と視覚的に理解することができます。今はスマホで写真を撮ってそのまま、という方も多いかもしれませんが、時間がある今こそ現像してお子さんと一緒にアルバムを作るのもいいかもしれません。
我が家は生まれてから1ヶ月ごとに10枚ベストショットを選び、母子手帳を見ながら慎重・体重、その月のできごとをカードにまとめてアルバムを作りました。
数字が大好きな息子は、身長・体重で自分の体の変化に興味がわいたようです。
「3キロから20キロになった!」「50センチから110センチになった!」 と変化を実感していました。
こうして自分の変化・成長を実感できると、今の自分に自信が持てたようで、「かわいい?」攻撃も徐々になくなっていきました。
入学直前は勉強が気になる、というお気持ちも分かりますが、勉強は入学したら学校で教えてもらえます。
小学校入学という大きな節目の前に、ぜひこれまでの成長の記録をお子さんに見せてあげてください。これはお母さんにしかできないことです。「ここまで大きくなった!」という実感と自信を持って小学校に送り出してあげてくださいね!
楽しい小学校生活が待っていますように!
小学校生活をスムーズに送る秘訣をご紹介しています
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)