発達障害の息子は、片付けが苦手。休校中、家にずっといるので家の中は散らかり放題です。言うことを聞かない息子にイライラして、私もつい感情的になってしまいます。親子で穏やかに過ごすために私はどう対応すればいいですか?
6歳・男の子のママ
「片付けなさい!」と指示しているのに、片付けるどころか反抗されるとイライラしますよね。そんなときは、お母さんの中の片付けのハードルをグーンと下げるとうまくいきます。まずは楽しい記憶を積み重ねることを優先して、片付け名人の一歩を踏み出しましょう。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 宮本蒔子
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンのわが子、どうして片付けができないの?
新型コロナウイルスの影響で、長いお休みをお子さんと一緒に過ごされているご家庭も多いと思います。
そんな中、お子さんの「片付け」に関するお悩みはありませんか?
・片付けなさい!と言ってるのに片付けられない
・部屋が散らかり放題なのに全く気にするそぶりがない
・「あのおもちゃはどこ?」と何回も聞いてくる
外出を自粛しなくてはいけない今の時期に、毎日毎日こんなことの繰り返しだと、イライラもしますよね。
でも発達障害・グレーゾーンの子どもは、
・部屋が散らかっているという認識がうすい
・注意を持続する力が弱くなくしものが多い
・「片付ける」という意味があいまいで何をすればいいかわからない
という困りごとを抱えていることがあります。
これはお子さんの努力不足のせいでも、お母さんのしつけが足りないせいでもありません。脳の発達にかたよりがあるからなんです。
とは言え、人間は情報の約90%を視覚から得ていますから、ごちゃごちゃする部屋を見ているだけでもストレスがUPします。
そして部屋をキレイにしようと維持することにも実はパワーが必要です。
毎日過ごす部屋は、家族が元気になったり、疲れを癒してくれる場所。
ですからごちゃごちゃした部屋、片付けない子どもにイライラ・ガミガミすることでエネルギーを使うのはもったいない!
それよりもお母さんはお部屋でホッと一息ついたり、お子さんはこの休校を利用して、好きなことや得意を伸ばす時間にしたいですよね。
それにはお母さんの「片付け」へのハードルをグーンと下げる対応が必要です。
今回は、去年の夏休みに筆者が対応を変えたことで、発達障害・グレーゾーンの息子が片付け名人の一歩を踏み出すことに成功したエピソードをご紹介します。
2.夏休み、子どもをガミガミ叱ってばかりいたらどうなった?
我が家には、発達障害・自閉症スペクトラムの7歳の息子がいます。つい最近まで相談者さんと同じ、片付けの悩みを抱えていました。
昨年の夏休みのこと。幼児期を保育園で過ごした息子にとって1か月半にもわたる長いお休みは初めての経験でした。
小学生になり、少しづつ片付けの習慣がついてきていましたが、開放的な生活にだんだんと家の中が散らかるようになってきました。
そして正直に言いますが私自身、もともと片付けが大の苦手。
普段は、家事も部屋の片付けも息子が学校に行っている間に集中してやっていました。でも夏休みは息子がずっと一緒にいるので、リセットする時間がまったくとれなくなってしまったのです。
ぐちゃぐちゃでカオスと化した部屋に私もだんだんと、
「片付けなさい!」
「なんで散らかすの!」
「片付けないなら捨てるよ!」
とイライラし感情的に叱りまくる対応が続きました。もちろん息子もだまっているわけがありません。
「やっだね~」
「僕は散らかってないと思う」
「片付けたければお母さんがやれば!」
と反抗してくるように。そんな息子の態度に堪忍袋の緒が切れ、本当におもちゃをゴミ袋に入れるという暴挙に出たこともあります。
私の対応に息子は当然大泣き。そして反省するどころか反抗的な態度はますますエスカレート。完全に悪循環になってしまいました。
でも、いくら叱っても、しつけようとしても発達障害・グレーゾーンの子どもの良い行動は定着しません。
子どもに片付けをマスターさせたいなら、まずは、片付けのハードルをグーンと下げること。そして「片付けって楽しい!」という記憶を授けるのが優先です。
せっかくの夏休み、このままガミガミ叱りまくって終わりたくない!と思った私は思い切って、ある作戦にでました。
3.片付けのハードルをグーンと下げる対応で、親子で片付け名人に!
その日から私は片付けを強制することを一切やめました。いくら散らかっていても、何も言いません。
その代わり、おやつの時間の前にリビングの床に散らばっているものを「1分間だけ拾って箱に入れる」というルールを作りました。
名付けて「1分片づけ」です。
もちろん息子には片付けてとは言いません。私が片付けるのです。
「今から1分だけ片付けるよ!」
「お母ちゃんのこと見ててね!」
とだけ声をかけタイマーをスイッチオン。1分間、床に落ちているものを拾います。
1分で片付くの?と思いますよね。でもリビングの床に落ちているものだけ拾えばいいので、意外にきれいになるんですよ。
なにしろ1分だけなので、心にも身体にも負担になりません。 そして、終わったら
「応援してくれてありがとう」
「床に何も落ちていないと気持ちがいいね」
と伝え、自分にご褒美です。スッキリしたリビングの床をながめて、私もお茶を飲んだり、お菓子を食べたりします。
この様子をしばらく見ていた息子…「僕もやる」と言ってきました!こうなったらこっちのものです(笑)
「じゃあタイマー係してくれる?」
「拾ってくれてありがとう」
「すごい、どんどん片付いているね」
「床が見えてすっきりしてきたね」
と、息子ができていることを声に出しながら、行動をどんどん引き出すことを繰り返すうちに、楽しく片付けをするきっかけを作ることができました。
2年生になった今、まだ声かけが必要なときはありますが、声をかければ使ったものをもとの場所に戻すことはバッチリ定着しています。
いかがでしたか?片付けは習慣なので、明日から急にできるようにはなりません。
しかし、お母さん自身が片付けへのハードルをグーンと下げる対応で、お子さんと楽しく取り組むことができるようになりますよ。
ぜひお試しください!
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執筆者:宮本蒔子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)