やるべきことをなかなかやらない発達障害の子どもにイライラしていませんか?実は「先延ばし癖」を放置すると、大人になってから大変な思いをすることになるんです!そこで今回は子どものやる気スイッチを押す秘訣についてお話しします。 |
【目次】
1.やるべきことをなかなかやらない子どもに悩んでいませんか?
2.発達障害の子どもの「先延ばし癖」の原因とは?
◆ブレーキが効かない
◆結果がすぐに出ないものを嫌う
◆時間感覚のズレ
3.子どものやる気スイッチを押す秘訣とは?
①子どもに選ばせる
②ハードルを低くする
③こまめに褒める
1.やるべきことをなかなかやらない子どもに悩んでいませんか?
・宿題に取り掛かるまでに時間がかかる
・なかなか着替えをしない
・使ったものをすぐに片付けない
発達障害グレーゾーンの子どもは、こんな風にやるべきことになかなか取り組まない様子が目立ちますよね。
ゲームをしたりダラダラ過ごしている子どもに
「宿題は終わったの?」
「いつまでゲームをしているつもりなの?」
「早くやって!」
などと、ついつい小言を言ってしまったり、急かしてしまうこともあるかも知れません。
ところがいくら声をかけても全然やろうとしない…こんな風に悩んでいませんか?
実は発達障害グレーゾーンの子どもがやるべきことを先延ばしにするのには、脳の特性が大きく関係しています。
だからお母さんがいくら叱っても、子どものやる気スイッチを押すことはできないのです。
さらにこの「先延ばし癖」というのは、大人の発達障害に非常に多く見られる特徴の1つです。
特に、思春期以降に親のサポートが途切れると
・大学でカリキュラムの手続きをせずに、授業が受けられない
・公共料金の支払いが遅れてライフラインが止まる
・期限までに任せられた仕事が終わらない
など困りごとが大きくなってしまう傾向があります。
実は大人の発達障害の診断を受けている人は、幼少期の頃から先延ばしを行っている人が多い傾向があると言われています。
「先延ばし癖」というのは悪化しやすいモノです。
先延ばしをくり返して失敗が積み重なると、ネガティブな記憶がどんどん蓄積されてしまうため、どんどん気分が乗らない活動を避けるようになってしまうのです。
でも大丈夫です。お母さんが適切な対応をしてあげれば、先延ばしの習慣化は回避できます。
お母さんがやる気を上手に引き出してあげれば、子どもはだんだん、自分でやる気スイッチが押せるようになっていくのです。
そうすることで将来、様々な「やるべきこと」に自分なりの目的を見出したり、主体的に取り組んでいくことができるようになるんですよ。
そこで今回は、子どものやる気スイッチを押す秘訣についてお話ししていきます。
2.発達障害の子どもの「先延ばし癖」の原因とは?
発達障害グレーゾーンの子どもの「先延ばし癖」には、いくつかの「脳の苦手分野」が関係していると言われています。
ここでは代表的なものを3つお話しします。
◆ブレーキが効かない
1つ目はブレーキが効きにくいことです。
これは「抑制制御の障害」と言われ、他の面白そうな活動に気が向くとブレーキが効かず、本来取り組まなければいけない課題に集中できない状態を言います。
そのために、
・宿題があるのにゲームをやり始めてしまう
・使ったおもちゃを放置して、別のおもちゃで遊び始める
というように、やるべきことをしないで違う活動を始めてしまう傾向があるのです。
◆結果がすぐに出ないものを嫌う
2つ目は、すぐに結果が出ないものを嫌うことです。
これは「報酬遅延の障害」と言われ、すぐに報酬が出ないものを嫌う反面、報酬がすぐに出るものを好むという特性のことです。
子どもからすれば、宿題や片付けなどは「やってもすぐに結果が得られるわけではない、めんどくさいこと」です。
反対にゲームや動画は次々に新しい刺激が展開されるため、報酬がすぐに出るものに飛びつきやすいタイプの子どもにはハマりやすい活動です。
そのために「やるべきこと」になかなか取り組むことができず、ついついゲームやテレビに手を伸ばしてしまうのです。
◆時間感覚のズレ
3つ目は時間感覚のズレです。
これは「時間処理の障害」と言われ、時間感覚がズレているために
・本当は30分かかる作業なのに、自分では10分で終わると思っている
・「ちょっとだけ」のつもりが何時間もテレビを見てしまう(ただしこれには、集中しすぎるという問題も関係しています)
などと時間の見積もりを誤ってしまう状態を言います。
時間感覚がズレていると適切な段取りを組むことができませんし、予定通り計画を進めることが難しくなってしまいます。
こんな風に、発達障害グレーゾーンの子どもの「先延ばし癖」には様々な特性が関係しているのです。
3.子どものやる気スイッチを押す秘訣とは?
では子どもの先延ばし癖を解消して、やる気スイッチを押すために必要なこととは何でしょうか?
それは、子どもに「できた!」という成功体験をたくさん積ませることです。
「脳の苦手分野」にアプローチするためには、子どもに自信をつけることが必須だからです。
と言っても先ほどお話ししたように、発達障害グレーゾーンの子どもに「やるべきこと」をさせるためには数々のハードルが存在します。
そこで今回は、子どものやる気スイッチを押す3つのポイントをお伝えします。
◆①子どもに選ばせる
1つ目は、子どもにタイミングや取り組むことを自分で選ばせることです。
選ばせるときは「何をする?」「何時からする?」と漠然とした質問をするよりも、「AとBどちらにする?」という聞き方をした方が子どもは答えやすくなります。
さらに大事なのは「どれを選んでも最終的にはやることになる選択肢」を与えることです。例えば
「おやつを食べる前に宿題する?食べ終わった後にする?」
「お母さんと一緒に片付ける?1人でやる?」
「算数からやる?国語からやる?」
という感じです。
こんな風に「いつやるか」「何をするか」を自分で選ばせることは、段取りを考えて計画通り実行する力にも繋がっていきます。
さらに「自分でやりたいこと」「好きなタイミング」を決めさせることで、やる気スイッチも入りやすくなるんですよ。
◆②ハードルを低くする
2つ目は、ハードルを低くして子どもが取り組みやすいようにしてあげることです。
例えば物理的な工夫であれば、
・帰宅したら宿題セットを机に準備してあげる
・朝起きてすぐに着替えられるように、枕元に服を置いておく
・食卓に歯ブラシも一緒に置くことで、食後の歯磨きをスムーズにする
などがあります。これは「やるべきことを目につきやすくすることで、他に気が散るのを防ぐ」という効果もありますよ。
また、お母さんの声かけであれば
「お母さんと1行ずつ交代しながら音読しようか!」
「ひとまず、1問だけやってみようか!」
「まずはおもちゃを1カ所に集めようか」
など子どもが「これならできそうかな」と思える誘い方をすることが必要です。
◆③こまめに褒める
そして3つ目はこまめに褒めることです。
先ほど、発達障害グレーゾーンの子どもは「すぐに報酬が得られることを好む」とお話しましたよね?
「宿題が終わったらアイスを食べよう」などとご褒美を設定することも「報酬」ですが、実はお母さんの「褒め言葉」も子どもにとっては「報酬」になるんです!
・「鉛筆持てたね」と取り掛かり始めたところをすかさず褒める
・「もうこんなに片付けられたんだね!」とできたところまでを褒める
・「最後までできたね!」と頑張った成果を褒める
こんな風にお母さんが褒めるハードルを下げることで、「報酬」をたくさん与えることができるんですよ。
さらにお母さんがこまめに褒めてあげることで、「自分は何ができているのか」を子どもに理解させることもできるため、やる気スイッチが入りやすくなります。
いかがでしたか?発達障害グレーゾーンの子どものやる気スイッチを押すためのポイントは
・子どもに選ばせる
・ハードルを低くする
・こまめに褒める
の3つです。今日から早速使って、子どもからやる気をどんどん引き出してあげてくださいね!
また、子どものやる気スイッチを押すためには「子どものトキメキポイント」を知ることも大事です。
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執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)