発達障害・ADHDのお子さんは、落ち着きがなく不注意で、わざとではないけれどすぐ物を壊してしまいますね。それにはADHDの脳の特性である不注意が絡んでいます。今回は、お子さんが物を壊してしまったときのお母さんの対応についてお伝えします。
【目次】
1.「また、壊したの!?」発達障害・ADHDの子どもの『やっちゃった~事件簿』
2.なぜ発達障害・ADHD傾向の子どもはよく物を壊してしまうのか?
3.すぐ物を壊す行動をスッキリ解決する方法~事前対策~
①壊されたくない物は隠しておく
②周囲を気にしているときに褒める
4.壊しちゃったらどうする?お母さんのおススメの神対応を紹介~事後対策~
①一緒に現場検証
②自分で言語化
③自分で対処
④褒める
1.「また、壊したの!?」発達障害・ADHDの子どもの『やっちゃった~事件簿』
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは落ち着きがなく、不注意で、よく物を壊しますよね。
「また、壊したの!?」「大事に使いなさい」と怒ることも多いと思います。
高価なおもちゃや親が大切にしているものだと、いつもより怒りが高まってしまうことってありますよね。
発達障害・ADHDの我が家の息子も、小さな頃から不注意でよく物を壊していました。
・おもちゃは下に置きっぱなしで、それに気づかず踏んでしまい、部品が取れてしまってしまう…
・おもちゃを持って遊んでいると、周りが見えずに、家の中の障子や襖にうっかり穴を開けてしまう…
・他のことに気を取られ、お皿を落として割ってしまう…
などなど、壊してしまったものをあげるときりがありません。
私は息子がうっかり物を壊してしまったときは、とっさに
「こらー」
「また壊したの」
「ちゃんと見ていないからでしょ!」
といつも怒っていました。
息子も「やっちゃった~」という顔をしています。
こんなときのお決まりは、
私:「なんで壊すの?」
息子:「ごめんなさい」
私:「もう壊さないでよ」
息子:「はい」
私:「次からはちゃんと見てね」
息子:「はい」
という会話でした。
けれど、何度注意してもうっかり物を壊してしまい、壊さないどころがむしろエスカレートしていくのです。
そんな悩みがあるときに、私は発達科学コミュニケーションに出会いました。
そこで学んだ対処法を行ってみると、私のイライラが減り、息子に怒らずに対応することができたのです。
今回は私が実際に行った対処法についてご紹介しますね。
2.なぜ発達障害・ADHD傾向の子どもはよく物を壊してしまうのか?
発達障害・ADHD傾向の子どもは、もともと「不注意」という特性があります。
不注意という特性のためによく物を壊してしまうことが多いのです。
子どもが不注意なときはどんなときでしょうか?
発達障害・ADHD傾向の子どもが不注意なときとは、
・好きなことに集中している
・楽しくてテンションが上がっている
・好奇心で衝動的に動いた
という状態です。
これは脳の特性でもあります。
息子は、好きなことに夢中になっていると、周りを見ることができず、物を壁にぶつけて壊してしまったり、障子にぶつかり穴を開けてしまうことがあります。
楽しくてテンションが上がっていて、力の加減がわからなくなり、壊してしまうことがあります。
好奇心が旺盛なので、他に興味のあることが目に入ると、気持ちがそちらに向いてしまいます。
頭で考えるより先に面白そうなことは「やってみたい!」と思うので、今持っているおもちゃのことは忘れてしまい、落として壊してしまいます。
そして、衝動的に動くので、落ちているおもちゃに気づかずに蹴飛ばして壊してしまいます。
発達障害・ADHD傾向の子どもは、このように「不注意」という脳の特性のためにすぐ物を壊してしまうのです。
ですから壊してしまった後に、いくら「どこ見ているの!」と怒り、子どもが「ごめんなさい、もうしません」と言ってもやめることはできないのです。
しばらくすると、また同じようなことを繰り返しています。
本人にはどうしようもなく、なんでこうなるのかがわかりません。
また、子どもはお母さんが大好きです。
お母さんに注目してもらいたいと思っています。
自分が不注意で物を壊してしまい、お母さんがそれを怒るという行動は、お母さんが「子どもの行動に注目」しているということです。
「子どもの行動に注目」してお母さんが怒ることは、子どもにとって大好きなお母さんに注目されるという、嬉しいことになっています。
いくら「あれだけ言ったのに」「またやった」っと怒ってもその行動がやめられない、むしろひどくなるのはこういう原因だったのです。
お母さんがイライラ怒るのではなく、適切な対応をしていきたいですね。
3.すぐ物を壊す行動をスッキリ解決する方法~事前対策~
では、発達障害・ADHD傾向の子どもが不注意ですぐ物を壊すことへの適切な対応について説明していきます。
◆①壊されたくない物は隠しておく
発達障害・ADHD傾向の子どもは不注意という特性のために、うっかり壊したり、うっかり自分の周囲にあるものにぶつけてしまいます。
親の大切な物や、高価で割れてしまうような物は、できるだけ子どもの目のつかないところに隠しておきましょう。
◆②周囲を気にしているときに褒める
いつも不注意というわけではありません。
周りをみて、壊すことを回避できることもあります。
そんなときは、「注意できたね」「周りをよく見れたね」と褒めます。
そうすることで、周囲にも注意を向ける気持ちが育っていきます。
できているときに十分に褒めることがポイントです。
4.壊しちゃったらどうする?お母さんおススメの神対応を紹介~事後対策~
伝えるときに、「ダメでしょ」「ちゃんと見なさい」というような抽象的な言い方では発達障害・ADHD傾向の子どもには伝わりません。
今回は「楽しく遊んでいたらテンションがあがり、おもちゃを力いっぱい天井に向けて投げ、壊れてしまったとき」の具体的な対応についてお伝えします。
◆①一緒に現場検証
おもちゃを投げて壊したら、まずは、自分のしたことを理解しもらいましょう。
すぐに怒らずに、静かに親が現場を眺めます。
子どももそれを一緒に見ることで、自分が何をしたか状況を把握させます。
◆②自分で言語化
次に、親が「このおもちゃ、どうなってる?」と優しく声を掛けましょう。
ポイントは優しく聞くことです!
子どもが「壊れてる…」と自分がやってしまったことを言葉にすることで言語化できます。
◆③自分で対処
最後に、「そうだね、壊れたね。どうすればよかった?」と質問します。
「…投げなければよかった」などと自分で対応方法を考えます。
「そうだね、投げなければよかったね。一緒に直そうか」と言います。
自分で言わせて実行することが大切になります。
◆④褒める
そして、「自分で考えて直せたね」と褒めて終わります。
自分で対応できたという達成感により、最後は自信につながります。
このように、やってしまった後は、ソフトに叱る方法が効果的です。
大切なことは、自分で考えて、行動することです。
子どもを注意するのではなく、良くなかった行動(投げる、壊す)にだけ注目をして、そこに気づけてもらうような声掛けが大切です。
最後に、我が家は一応のお守りとして個人賠償責任保険にも加入しています。
うっかり人様の大事な物を壊してしまうということもあり得ます。
親ができることはしておきましょう。
頭ごなしにやったことを注意するだけでは、発達障害・ADHD傾向の子どもはエスカレートするだけでやめられません。
適切な対応をすることで、お母さんも感情的にならずにすみ、子どもは学習することで脳が発達します。
結果として、今後よい行動ができてくるようになってきますよ。
いかがでしたか?
不注意で物を壊すことへの対応は、まず
①大事なものは隠す
②できているときに褒める
と言う事前対策です。そして壊してしまったときは
①一緒に現場検証
②自分で言語化
③自分で対処
④褒める
と言う対応をしてあげましょう。
今日から怒ってばかりの対応をストップして、お母さんの適切な対応で物を大事にする気持ちを育ててくださいね。
\「早くして!」は効果なし/
子どもが自ら動き出す方法を教えます
↓↓↓
発達障害・ADHD傾向の子どもの困った行動の解決法をご紹介しています!
執筆者:石井花保里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)