発達障害の有無にかかわらず、幼稚園の自由な遊びの時間に孤立する女の子の姿は、決して珍しくはありません。その理由も様々です。親子のコミュニケーションでたった一つのポイントを押さえることで、成功体験を積んでいきましょう。 |
【目次】
1.発達障害の有無にかかわらず、幼稚園の自由な時間に孤立する女の子。
2.孤立の始まりは周りからなのか、本人からなのか。抱える背景は様々です。
①本人が自ら友達から離れている場合
②本人は友達といたいのに、友達が離れていってしまう場合
3.親子のコミュニケーションの質を高めるために、ポイントは1つ。
1.発達障害の有無にかかわらず、幼稚園の自由な時間に孤立する女の子。
私は10年以上、幼稚園の先生として勤めてきました。
遊びの時間を大切にしている幼稚園で、多くの子どもたちに出会ってきたわけですが、気になる子どもの様子も多く見てきました。
例えば、好きな遊びの時間になると、一人で遊ぶことが多い女の子。
または、最初は友達と遊び始めたのに、いつの間にか一人になっている女の子。
発達障害かどうかにかかわらず、毎日のように見てきた光景です。
一人で絵を描いていたり、砂場にいたり、ブランコに乗っていたり。
一見、楽しく遊んでいるようにも見えますが、このような姿が続くときは幼稚園の先生としては援助をしたいところ。
「何して遊んでいるの?」と聞くと、普通に自分のしていることを答えることもあれば、「別に」と、興味のあることが見つからずにただ過ごしているだけのこともあります。
先生サイドとしては、幼児理解を重ねながら、本人が本当にやりたいことを見つけて没頭できるようにしたり、その子の遊びが周りの子への刺激となって、自信が持てるようにしたりしたいところです。
でもその孤立、気にはなっても、周りの友達や先生を困らせることは少ないです。
そのため、日々いろいろなことが起こる園生活では、周りに迷惑をかけない困りごとの対応は後手に回りがち。
もし我が子がそんな状況だったら。
面談などで先生からそのような話を聞かされたり、ママ友経由で伝わってきたりしたら。
でも、ママには何もできない…とヤキモキしてしまうかもしれないですよね。
2.孤立の始まりは周りからなのか、本人からなのか。抱える背景は様々です。
そもそも、そういった孤立は、どのようにして始まるのでしょうか。
◆①本人が自ら友達から離れている場合
その子自身が、周りと距離を取り、一人で過ごそうとする場合は、集団でいることに何らかのストレスを抱えている場合があります。
・賑やかさが辛い
・目に映るものが刺激的過ぎる
などは、感覚過敏と言われて、そのような場に身を置くだけで疲れてしまうのです。
その場合は、一人で過ごせる時間を持つことで、集団活動とのバランスをとっている場合があります。
無理に友達との遊びに誘うことは苦痛につながる可能性も。
脳が成長したら、過敏さは和らいでいくこともありますので、穏やかに1対1で関わるところから始めたいですね。
「今日はこれをやる」と自分なりに決めていることがあったり、こだわっていることがある場合は、自分の遊びに集中するあまり、周りの遊びの様子が見えていない可能性があります。
やりたいことに没頭する時間は、脳が活性化し成長できるチャンスです。
幼稚園=友達と遊ぶ、ととらわれずに、見守っていきたいところです。
周りの友達にもいい刺激になりますし、プラスに捉えていきたいですね。
◆②本人は友達といたいのに、友達が離れていってしまう場合
友達と遊び始めたのに、短時間で遊びをやめてふらっといなくなり、結果的に一人になっている場合。
一緒に遊ぶつもりで友達と一緒にいたのに、断られたり、距離を置かれたりする場合。
そのようなことが続く場合は、友達と一緒に遊びたい気持ちはあるものの、それをうまく友達に伝えられず、思いを共有できずに内心はとても困っているかもしれません。
可能性としては、
・遊びの興味が少しずつずれていく
・友達と折り合いがつけられない
・遊びのイメージの共有が追いつかない
など、目には見えない困り感があげられます。
まだ幼稚園児ならば、本人にも何が原因なのかがわからず、周りのせいにしたり、自分を責めたりすることにつながりやすいのです。
友達(=人)への関心は大事にしながら、心地よい関わり方を伝えていきたいですね。
そこで、少し時間を巻き戻して、我が子が生まれたときのことをヒントにしてみると…。
生まれたての赤ちゃんの人とのコミュニケーションの始まりは、母子間から。
つまり、友達と仲良くしなさい!などと言わずとも、母子間に戻って親子のコミュニケーションを変えるだけでも、我が子を成長させてあげられるんです!
3.親子のコミュニケーションの質を高めるために、ポイントは1つ。
では、どのようにして親子のコミュニケーションを変えていけばいいのでしょうか。
ポイントはたった1つ。
「お子さんの話すこと、目を向けるものにとことん興味を示す!」ということです。
興味のあることが明確な場合は、1日のうちの10分でも、とことん付き合ってあげる時間を意識して作ってください。
でも、帰宅後はあまり多くを語らずに、一人遊びをしていたり、テレビやYouTubeの時間になってしまう…なんていうこともあるかと思います。
そういうときには、一緒にYouTubeを見ましょう!テレビを見ましょう!そばにいましょう!
スキンシップを嫌がらないのであれば、隣にピトッとくっついて座りながら。
子どもの興味の方向に気がつくこともできますし、同じものを見たらその分共有できるものがあります。
その子の見方、捉え方を肯定的に受け止めながら、話をしてみましょう。
自分の好きなことに、一番大好きなママが興味を持ってくれて、話を聞いてくれる、質問してくれる。
その積み重ねが、コミュニケーションの楽しさを伝えることにもなりますし、ママの見せる姿勢がモデルにもなります。
夏休みが終わって久しぶりの集団生活が始まる今こそ、親子時間を楽しみながらやってみてください!
執筆者:原 しおり
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)