発達障害、グレーゾーンの子に大切なのは「〇〇」でした! 「〇〇して!」のたったひと言がパニックの子どもの心を安定させてくれました。

発達障害、グレーゾーンの子は「見通しのつかないことに不安」を感じます。色々なことに不安を感じる子にお友達がかけた一言「〇〇して!」。「〇〇して」はみんなの気持ちを支えてくれます。
 

【目次】

 

 

1.発達障害グレーゾーンの子は不安な気持ちでいっぱいです 

 
 
グレーゾーンの子どもたちの特徴として、「想像力が弱い」という特徴があります。
 
 
自閉傾向のグレーゾーンの子どもたちは人の表情の意味を理解することが苦手です。会話の持つ雰囲気がわからず、相手の仕草を理解することができないため、言葉通りに解釈してしまうことがあります。その結果、冗談がわからずに不安になってしまいます。
 
 
また、相手の意図が理解できずに、全く違う意味にとらえてしまって、急に怒り出してしまったり、パニックになってしまうことがあります。
 
 
例えば、ゲームをしているときに「失敗したらグランド10周だよ〜約束だよ〜」と友達が冗談を言ったとします。
 
 
グレーゾーンの子どもたちは言葉をそのまま受け取ってしまい、冗談だとわからないため「約束は守らないといけないし、でもグランド10周なんて走れないよ〜無理、どうしよう…。」と不安になってしまうのです。
 
 
自閉傾向にあるグレーゾーンの子どもたちは、想像力が弱いため、次に何が起きるか見通しが立てられないと不安になり、ストレスを抱えやすい傾向にあります。
 
 
マイペースに見えてしまったり、わがままに見えたりしますが、「それ、おかしいよ」「それ違うよ」などと言われてしまうと、過敏に反応してしまいます。
 
 
みんなも同じように注意されているにも関わらず、周りに目が向かないために「僕ばっかり」「私ばっかり」などと、被害者意識を持ちやすくなります。自閉傾向にある子は記憶力が良い子も多く、ネガティブなことをよく覚えています。
 
 
完璧主義だったり、こだわりが強いために「ほんのわずかなマイナス」=「全てがマイナス」であるかのように感じてしまうことがあります。ネガティブな体験や経験がいつまでも記憶に残ってしまうのです。
 
 
一度、被害者意識を持ってしまうと、周りへの不信感を持ってしまい、アドバイスを素直に受け入れられず、「自分が正しい」と言って頑なになってしまうことがあります。
 
 
また自己肯定感が下がり、落ち込みやすくなり、今までできていたことも出来なくなってしまったりします。
 
 
 
 

 

2.すぐに不安になるグレーゾーン自閉傾向の子に、大好きなお友達がしてくれたことにヒントがありました。

 
 
1年半前、自閉傾向にある剛君はお友達の何気ない一言に敏感に反応し、そこから癇癪、パニックを引き起こす日々が続くようになりました。
 
 
剛君は走るのが大好きで、クラスでも速い方だったので、走ることには自信がありました。お友達にタイムを聞かれた剛君は「〇〇秒だよ」と答えると、全く別のクラスの子が「そんなに速いわけないじゃん!」まるで剛君が嘘をついているかのように言ってきました。
 
 
その日から、剛君は体育の時間はみんなと受けることができなくなり、とうとう運動会の練習にも全く参加が出来なくなってしまったのです。
 
 
走ることには自信があり、まさかそんなことを知らない子に言われるなんて思ってもいなかった剛君はパニックになってしまったのです。悪い記憶をいつまでも覚えていて、なかなか切り替えることが難しいのも、自閉傾向の子の特徴です。
 
 
運動会練習のあった1ヶ月は、授業中も落ち着かず、ほんの些細なことにでも過敏に反応するようになってしまいました。
 
 
授業中、隣の席の子に「字汚いな〜」「早くしろよ〜」などと言われると、パニックを引き起こすようになってしまったのです。 言われて嫌なことに対して、何も言い返すことができないために、自分のノートや教科書を破るようになりました。
 
 
全てのことに自信をなくしてしまった剛君。自己評価が低くなってしまいみんなの前で何かをすることができなくなってしまいました。
 
 
自閉傾向にある子は想像することが苦手な為に、相手の気持ちを察することや言葉の裏を読み取ることができません。相手が冗談のつもりで言ったことも本気にしてしまいます。
 
 
みんなと一緒に授業や運動会の練習が出来なくなってしまい、パニックや癇癪を度々起こすようになっていた剛君。どんなに辛くても、毎日休まず学校に通えたのは大好きなお友達のおかげでした。
 
 
剛君には大好きなお友達が沢山いました。なかなか、気持ちが切り替えられずに、運動会の練習もみんなとはできない剛君でしたが、休み時間には、大好きな友達と思う存分、校庭を駆け回りストレスを発散していたのです。
 
 
剛君は友達に恵まれ、いつも沢山のお友達に囲まれていました。
 
 
その大好きなお友達の共通点は
①いつもニコニコ笑顔
②穏やか
③とっても優しい
④リアクションが良い
 
 
お母さんと子どものコミュニケーションで大切なことが全て揃っていました。
3S=Smile(笑顔)、 Slow(ゆっくり穏やか)、 Sweet(優しく)
良いリアクション=肯定的
 
 
ある時、剛君はお母さんに言いました。「吾郎の口ぐせってなんだと思う?」と。
 
 
母「何かな?わかんないな…。教えて!」
剛「吾郎の口ぐせは、安心して!」
母「へぇ〜!吾郎君、安心してなんて言うんだァ〜!」
剛「そうそう。いつも安心して!って言うんだよ」
 
 
後日、剛君のお母さんが吾郎君のお母さんに
「吾郎君て、安心して!って、おうちでよく言うんですか?」と尋ねると
吾郎君ママは「いいえ。うちではそんなこと全く言いませんよ。学校ではそんなこと言っているんですか?」と笑って答えてくれました。
 
 
剛君のママは家に帰って、吾郎君の優しさに泣きました。
全てのことに自信をなくしてしまって、不安が大きく、同じことを何回も質問する剛君に、
 
 
吾郎君は常に寄り添いSmile(笑顔で)、 Slow(穏やかに)、 Sweet(優しく)「安心して!」と言い続けてくれたのだと思ったら、涙が止まりませんでした。
 
 
 
 
大好きなお友達がしてくれたことに、子どもが自信をもちパワーになるヒントがありました。
 
 
安心しての後には
「安心して、いつもそばにいるから!」
「安心して、応援しているから!」
「安心して、絶対あなたの味方だから!」
と色々な言葉が続くと思います。
 
 
お母さんが毎日、にっこり笑って「安心して」と見守ってくれていたら、子どもは前へ進んでいくことができます。
 
 
「安心して!」とあたたかい言葉でお子さんを包んであげてくださいね。
 
 
執筆者:深井淳子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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