発達障害・自閉症スペクトラムの息子は、おしりが上手に拭けません。ガミガミ言いすぎたせいで最近では汚れたパンツを隠すようになってきました。どうしたらトイレトレーニングがうまくいきますか?
6歳・男の子のママ
トイレトレーニングの完了までもう一息ですね!上手くいかないとあせってしまうお気持ち、良くわかります。そんなときは、お子さんの「大好き」「楽しい」という気持ちに注目すると親子でストレスなく取り組むことができますよ。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 宮本蒔子
【目次】
1.うちの息子はどうしておしりが拭けないの?
発達障害・グレーゾーンのお子さんのトイレトレーニングでお悩みではありませんか? 私もそんなお母さんの一人でした。
私の息子は発達障害・自閉症スペクトラムの小学2年生。 彼が年長さんの頃、私はある問題に悩んでいました。
それは、自分できちんとおしりが拭けないこと。
トイレトレーニング自体は園の先生の協力もあり、息子のペースで少しずつすすめていったおかげで、おむつからパンツの切り替えは順調でした。
しかし、最終関門「おしりが拭けない問題」に直面してしまったのです。
自分で拭いてはいるものの、拭き残しがあるのでいつも私の仕上げが必要です。まわりのお友達は年中さんの頃にはおしりも拭けるようになっていました。
今まで順調だっただけに私の不安が大きくなり、息子にかける言葉もだんだんときつくなりました。
ある日、洗濯の時に汚れているパンツを発見してしまった私。
「どうしてちゃんと拭けないの!」
「もう年長さんだよ。赤ちゃんじゃないんだから」
「お友達に臭いって言われて嫌われるんだからね!」
私がガミガミ言うことが増えたので、状況は悪化。
自分からおしりを拭かなくなっただけでなく、汚れたパンツを隠すようになりました。
ガミガミ怒っても仕方のないことはわかっている。でもどうしたらいいかわからない…
そもそもなぜ、発達障害・自閉症スペクトラムの子どもはトイレに行くことを嫌がったり、おしりが上手に拭けないのでしょうか?
2.発達障害・自閉症スペクトラムの子どものトイレとボディ・イメージ
皆さんは「ボディ・イメージ」という言葉をご存知ですか?簡単に言うと「自分の身体に対する実感」のことです。
発達障害・自閉症スペクトラムの子どものトイレとボディイメージにどんな関係があるの?と思われるかもしれません。
じつは、発達障害・自閉症スペクトラムの子どもの中には、この「ボディ・イメージ」が未発達である子どもがいます。
自分の身体の輪郭、上下、左右、前後などの位置関係をとらえることが難しいのです。 具体的にどういうことかというと
・ハサミやスプーンが上手に使えない
・力加減がわからずに、卵をぐちゃっとつぶしてしまう
・人との距離感がわからずにぶつかってしまう
・洋服の後ろ前を間違えてしまう
こんな困りごとを抱えていることがあるのです。
これらは脳の発達のかたよりが原因であり、お子さんの努力不足のせいでも、お母さんの育て方が悪いせいではありません。
しかしこのようなことが日常生活で続くと、お家や園で注意されることが増え、自信を失いやすくなってしまいます。
だから、できないことを厳しく叱責したり、繰り返しの練習を強要するのはNGなんですね。
そこで大切なのは、何だと思いますか?
それは、お子さんが大好きな遊びに注目して、トレーニングしていると気がつかれないように楽しく取り組むことなんです。
そこで、私が実際に自宅で試したことを次の章でご紹介します。
3.お風呂で遊ぶだけでトイレトレーニングできちゃう?我が家の突破口はこれだ!
まずはトイレトレーニングは一旦中断しました。トイレの時には
「今日もいいうんちが出たんだね~」
と私がおしりを拭くようにし、汚れたパンツが洗濯機に放り込まれていても、ガミガミ言うのをやめました。
そしてお風呂では、今まで使っていた液体タイプの石鹸はやめて、泡タイプのボディソープに変更。
当時の息子はというと泡遊びが大好き。シャボン玉、泡立つ入浴剤、特にお父さんのシェービングフォームには目がありませんでした。
今までは私がスポンジで息子の身体を洗っていたのですが、これをきっかけに自分の身体を意識できるように、息子自身の「手」で身体を洗ってもらうようにしました。
コレが大成功。息子、「身体洗い遊び」にハマりました!
お風呂場では鏡を見ながら「胸、完了!」「次は背中」「最後にふくらはぎだね」と、今どこを洗っているのか、洗い残しがないか一緒に確認するようにしました。
もちろん、おしりの場所も!そして
「ていねいに洗えているね」
「自分でできているね」
とこまめに褒めることも忘れませんでした。
続けること3か月…息子は身体をよじりながら全身をくまなく洗えるように。そしてそんなある日、トイレから息子の嬉しそうな声が。
「お母さん、ぼくきれいにおしり拭けたよ!」
チェックすると、拭き残しなくちゃんと自分で拭けています。 トイレトレーニング完了にむけて大きな一歩を踏み出せた瞬間でした。
いかがでしたか?発達障害・自閉症スペクトラムの子どものトイレトレーニングは山あり谷ありで、時には投げ出したくなることもあるかもしれません。
でもトイレトレーニングがステップアップしていくなかで、子どもは「自分の意志でトイレは我慢できる」ということにだんだん気がついていきます。
すなわちそれは「自分の行動は自分でコントロールできる=自律」ということの発見でもあります。
どんなお子さんでも少しづつ成功体験を積み重ねることで、心も身体も大きく成長していくのがトイレトレーニングなんですよ。
いま、みんなと同じようにできなくても大丈夫。
お子さんの得意・大好きに目を向けて、おおらかに見守ってあげられたらいいですね。
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発達凸凹の子どものトイレトレーニングに上手に寄り添う方法をメール講座でお伝えしています。
執筆者:宮本蒔子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)