子どもは現在、幼稚園に通う5歳です。発達障害・グレーゾーンで、少々怒りっぽいところがあります。話をする際に必ず、「お母さんは、いつも私の話を聞いていない!」と怒ります。子どもの話を聞くときに親がするべき対応について教えてください。
5歳・女の子のママ
耳を傾けていることが、お子さんに届いていないのは切ないですよね。子どもの話を聞くとき普段の会話を少し工夫することで、聞き上手なお母さんになりお子さんの不満が解消されますよ。
発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵
【目次】
1.発達障害やグレーゾーンの子どもに「ながら聞き」はNG
「ママは、いつも私の話を聞いてない!」お子さんに、このように言われた経験はありませんか?
お母さんは、普段、育児だけではなく、家事や仕事も同時進行で行わなければなりません。ついつい忙しくて、「スマートフォンを見ながら」「料理を作りながら」など「ながら聞き」になってしまうこともありますよね。
でも、発達障害やグレーゾーンのお子さんの場合、この「ながら聞き」では、お母さんがしっかり子どもの話を聞いているという想いが届いていないことも多いのです。
例えば、
・耳からの情報を得ることが苦手
・自分の伝えたいことが整理できていない
・お母さんの表情が見えていない
・自分の話に興味がないのかと不安になる
など、ほんの一部ではありますが、このような原因が考えられます。
お母さんからしたら、他のことをやりながらでも、子どもの話はしっかり聞いていると思っていますよね。
しかし、そのお母さんの想いが、お子さんに届いていなければ意味がありません。 お子さんからしたら、「どうせちゃんと聞いてくれていない!」と思ってしまうのも無理がありません。
では、どうしたら子どもにとって「聞いてもらえた!」という満足感を得ることができるのでしょうか?
今回は、我が家で実際に色々試したなかで、最も効果が高かった子どもの話を聞くときの親が心がけるべき、話の聞き方のコツをご紹介します。
2.聞いているのになぜ?娘になかなか届かないワケ
ここで、我が家の話をさせてください。
私の娘は現在、小学校1年生です。娘とは、普段からたくさん話すように心がけていました。
しかし、幼児のときから、「ママはいつも私の話を聞いてくれていない!」と娘が怒るようになったのです。
忙しいときには、「ながら聞き」も確かにありました。しかし、なるべくゆっくり顔を合わせて話すことを心がけていただけに、かなりの衝撃を受けました。
ちゃんと聞いているのになぜ?どうして聞いてないって怒り出すの?と、とても悩んだ時期がありました。
「相槌だって、タイミング的には間違えていないはず…」
「しっかり受け止めて、余計なアドバイスもしていないはず…」
「楽しく笑顔で会話をしているはず…」
「オーバーリアクションで共感をしているはず…」
しかし、私がしていた話の聞き方では娘には全く届いていなかったのです。
その原因は、発達障害・グレーゾーンの子の特性でもある自分の気持ちの整理をすることが苦手だからということがわかりました。
会話をする中で、娘からたくさん話すことも多いのですが、自分が思いついたことから話し出すので、結果、何が言いたかったのか?分からなくなることも多いんですよね。
伝えたいことを整理できないまま話すため、私がいくら相槌を打っても、娘が本当に聞いてほしいところとは「ズレ」が生じていたのです。
そのため、話し終わった後に、ママが耳を傾けてくれたと感じることができず、それが、「いつも聞いてくれていない」という気持ちに発展していくことがわかりました。
発達障害・グレーゾーンの子どもの育児は、何事も一筋縄ではいきません。少しでも工夫がないと、お互いに伝わるものも、伝わらないで終わってしまいます。
ずっと、この状態だったら、いずれ娘は私とはもちろん、他の人とも話をすることが苦痛になったでしょう。
私も、娘と話をすることが苦痛になっていったかもしれません。
そこで私は、娘の気持ちの整理のお手伝いをすることを最優先に、常に意識をして話をすることにしました。
結果、
・ママが、私の話をしっかり聞いてくれていると感じられるようになった
・自分が話している内容が整理できるようになった
という、とても良い状態になりました。
では、どんな話の聞き方だったのか次項で具体的に説明していきますね。
3. 子どもの話を聞くときに親が心がけるべき話の聞き方のコツ
◆話の内容を要約して返す
子どもの話を聞くときに取り入れた工夫が、娘の話した内容を要約し、娘に返すという方法です。
例えば、
「今日ね、幼稚園でペンギン折ったんだよ。途中までしかできなかった。お友達が手伝ってくれたから折れた。折り紙はピンク。」
と、幼稚園での出来事を話してくれるという、よくある場面です。文章からもわかるように、思いついたことから話しているのがわかっていただけるかと思います。
伝えたい気持ちはわかりますが、発達障害やグレーゾーンの子どもとの会話って、伝わりづらいことがありませんか?
そこで、私は、要約した内容で言葉を返します。
「へぇ〜、折り紙でペンギン折ったんだ。難しかったのに最後まで頑張ったんだね〜」 というようにです。
そうすることで、お母さんも、子どもの褒めポイントが掴みやすくなります。
一方、子どもはというと、「私、難しかったけど、頑張って折ったんだ。」と、本当に伝えたかった気持ちの整理が、つきやすくなります。
子どもの話す内容を要約することが、発達障害やグレーゾーンの子どもの気持ちを整理する上でとても良い効果をもたらすのです。
私も、娘と話をする際には、この話の内容を要約して返すという方法を、会話の中に積極的に織り交ぜていきました。
子どもが何を伝えたいのか?という子どもの目線で考えながら話すことが重要です。
お母さんは、自分の話をしっかり聞いてくれているという安心感や落ち着き、自信、認められた喜びに満たされると子どもからもっと話したいと思うようになります。
まずは、お母さんとの普段のコミュニケーションを通し、話をすることは楽しいんだ!という気持ちを育ててあげてくださいね。
私も、今では、娘と会話をするのが楽しくて仕方ありません。嬉しいことに、娘は話す内容を、以前よりも整理して、伝えることができるようになってきました。
そして、この方法で娘と話すようになってから、娘からは「ママは、私の話をちゃんと聞いてくれている!」と言われるようになりました。
しっかり、娘に私の気持ちが届いたことがわかった瞬間で、とても嬉しい気持ちになりました。
大人でも、自分の話をしっかり聞いてもらえると、認めてもらえた、受け止めてもらえたと感じられて、嬉しくなりますよね。それは、大人も子どもも、同じなのではないでしょうか。
忙しいなかでも、ちょっと手を休め、子どもの話をしっかり聞いてあげてみてください。親子の大切なコミュニケーションの時間になるはずです。
話の内容を要約して返す、たったコレだけ!ぜひ、お子さんの不満も解消させて、一気に会話力もあげちゃいましょう。
聞き上手になって、子どもの会話力を引き出す対応をお伝えしています!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)