発達障害の子はなぜ手先が不器用!?改善に導く指先トレーニング

 

発達障害のお子さんが手先が不器用だと感じても、しかたないか…とあきらめていませんか?個人差がある「不器用さ」の原因と発達検査で見るべき項目を理解していれば、迷わず対応をスタートできますよ。指先トレーニングで子どもを簡単に楽しく伸ばす生活術をお伝えします。
 

【目次】

 

1.うちの息子、不器用だけど…成長とともに解消する?

 
 
「うちの子、なんでこんなに不器用なんだろう?」と感じることはありませんか?
 
 
今日は指先の不器用さの原因と、楽しみながら取り組めるトレーニングをお伝えします。
 
 
私の息子は現在小学校2年生。かなり不器用で、かなりドンクサイです。
 
 
目の前に物があるのにぶつかったり、つまづいたり。ボールをキャッチしそこねたり、蹴りそこなったり。
 
 
 
 
ゲームセンターにある「ワニワニパニック」や「太鼓の達人」をやらせると、ちゃんと見ていてやろうとするのに結局全然叩けずにゲームオーバー。
 
 
息子は3年前に発達障害・自閉症スペクトラムと診断されました。
 
 
不器用さは気になっていたものの、それよりもコミュニケーションや言葉の遅れの支援を優先させたいと考えていた私。
 
 
「定型発達でも不器用な子はいるし、成長とともに解決するだろう」と深刻な課題とは考えていませんでした。
 
 
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2.発達障害の子の「手先が不器用」の原因は脳にアリ

 
 
発達障害やグレーゾーンに関わらず、手先の不器用さを気にしているお母さんはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
 
 
実は不器用さの原因は脳の「見る機能」と「体を動かす機能」がうまく連携していないことにあります。
 
 
見ること。体を動かすこと。この2つの機能は脳の中でとても強いネットワークで結ばれています。
 
 
日常生活において、見ながら動く、見てから動くという動作は数えきれないほどあります。
 
 
・食事のとき、おかずの位置を目で確認しながら箸を伸ばす。
 
・掃除のとき、汚れを目で確認して、ふき取る、きれいになったか再度、目で確認する。
 
・キャッチボールは飛んでくるボールを目で追い落下位置に移動しながら手を伸ばしてつかむ。
 
・授業中の板書のとき、黒板に書かれているものを目で確認して覚える、ノートに書く、間違ったら消しゴムで消して、また書く内容を確認して書く。
 
 
こんな風に日常生活でも運動でも、目から入った情報を脳が処理、体に適切な行動を指示しているのです。
 
 
不器用な子はこの一連の流れのどこかにトラブルがあると考えられます。
 
 
 
 
例えば、見る段階にトラブルがあると、脳は必要な情報を十分に得ることができず、体に適切な命令を出せないのです。
 
 
その結果、物につまづいたり、当たったり、体の使い方がぎこちなかったり…
 
 
この子、どんくさいな。
手先が不器用だな。
球技が苦手だな。
 
 
とお母さんが感じてしまうのです。
 
 

3.我が子の不器用さが心配なら発達検査のココをチェック!

 
 
こうした「うちの子、ドンクサいな~不器用だな~」という印象は、発達検査でも数値としてはっきりと現れるケースがあります。
 
 
世界的に利用されており、日本では5歳から16歳までを対象としている、ウェクスラー式知能検査では【処理速度】という指標で目と手の連携が数値化されます。
 
 
100±15を平均としたこの検査で、私の息子の数値は83。同い年のお友達と比べて明らかに発達がゆっくりであることが分かりました。
 
 
それまで気になってはいても
 
 
「ほかにもこんな子はいるよね」
「それよりも他に苦手なことがあるし」
 
 
と、ついついサポートを後回しにしがちだった私も、この結果を見て「このままではいけない」と危機感を抱いたのです。
 
 
「不器用」「どんくさい」というのは抽象的で、なかなか積極的な支援が必要だと認識しづらいかもしれません。
 
 
発達検査の結果がすべてではありませんが、参考となる数値を知っておくことで、今、支援が必要かどうかを判断する一助になります。
 
 
 
 
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4.よーいドン!で指先トレーニング♪子どもを楽しく伸ばす生活術

 
 
「合理的配慮」によって、希望すれば必要な助けとなる道具や方法を取り入れるケースも増えてきました。
 
 
書くことに困難があればタブレットを使って入力したり黒板の写真をとったりして、その子にあった学習方法を話し合いで選んでいくのです。
 
 
また「GIGA構想」といって学校全体でITを積極的に活用する動きもあります。
 
 
実際、私たち大人の生活をみても、書くよりむしろパソコンやスマホで入力する機会の方が圧倒的に多いですね。書くことにこだわらなくても支障のない社会になってきました。
 
 
とはいえ、特に子どもの脳は適切な刺激を入れれば短期間で飛躍的に機能がアップするのも確かなことです。
 
 
うちの子は苦手だから。嫌がるから。どうせできないし。そんな風にあきらめそうになっているお母さん。
 
 
手先を器用にする、脳を発達させるためのとっておきの方法が、日常生活や遊びの中にあります。
 
 
ポイントは楽しくできることを続けること!
 
 
「上手に板書させたい」「キャッチボールの苦手を克服させたい」からと言って、苦手なことと真正面から向き合って無理に訓練させるのはご法度です。
 
 
失敗体験というネガティブな記憶だけが残り、脳の働きが滞ってしまうからです。楽しいと思えることをどんどんすると発達が加速するということがわかっています。
 
 
「しっかり見ながら体や手を動かす」ことを意識すれば、他の活動でも指先の不器用さを解消するトレーニングになるのです。
 
 

◆①お手伝いで親子ニッコリ

 
 
積極的にお手伝いをしてもらいましょう!オススメは洗濯物たたみやテーブル拭きです。
 
 
洗濯物は端っこと端っこがピッタリ合わさるようにしっかり見るのがポイントです。テーブル拭きはどこに汚れがあるか、探しながらやってもらいましょう!
 
 
「きれいにピッタンコになった?」
「汚いところはど~こだ!
 
 
と声かけをして間違い探しゲームのように楽しみながらやってくださいね。
 
 
 
 
まずお母さんがお手本を見せます。手先が不器用に対するトレーニングになり、子どもがマスターすればお母さんは家事が減ってラクラク!将来の生活自立へ足がかりにもなります。
 
 
終わったら「ありがとう!すごくきれいになったよ!お母さん助かっちゃった♪」と感謝の気持ちを伝え、ほめてあげてください。お手伝いでお母さんが喜ぶと分かれば、積極的に手伝ってくれますよ。
 
 
こちらの記事では特に手と目の連携について解説しています。
 
 

◆②粗大運動から微細運動へ

 
 
昔ながらの遊びは「見ながら手を動かす」遊びがたくさんあります。折り紙、あやとり、けん玉。どれも道具をしっかり見る必要のある遊びです。
 
 
ただ、お子さんによっては細かい作業が苦手でやりたがらないという場合もあるかもしれません(うちの息子は苦手です)。
 
 
そんなときおすすめなのは「だるまさんがころんだ」です!鬼役の様子をしっかり見ながら全身をコントロールできる遊びです。動いてピタッと止まる繰り返しが非常に脳の発達によいと言われています。
 
 
うちの息子を含め、不器用さが目立つ子は手先だけよりも全身を使った方が楽しく遊べます。
 
 
粗大運動という全身を使った動きがスムーズになれば、微細運動という指先の器用さが求められる作業へ移行できます。 お手伝いも遊びも、無理にやらせるのではなく楽しい雰囲気でやることが一番です。
 
 
いかがでしたか?
 
 
不器用な子、ドンクサイ子は、脳の「見ること」と「体を動かすこと」の連携に課題があります。
 
 
積極的に支援することで、学校生活や運動がスムーズになったり、生活自立にもつながります。
 
 
ゴリゴリトレーニングするのではなく、お手伝いや遊びを通して十分支援できるのも大きなメリット!
 
 
少し生活を工夫するだけで、毎日取り組むことができます。簡単で効果が大きいのでお勧めです!
 
 
ぜひ、毎日の生活に取り入れて、習慣にしてくださいね。
 
 
 板書が苦手な子におすすめのオリジナル教材もあります。ぜひ試してみてくださいね。
 
 
 
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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