特定の人としか話せない、場所を選んで話すことを場面緘黙と言います。発達障害の有無に関係なく不安の強い子どもに見られる症状の1つです。突然子どもが人前で声が出なくなったとき、症状悪化を防ぐNG対応と効果のある対応についてお伝えします。 |
【目次】
1.特定の人としか話せないのは場面緘黙かもしれない
普段は楽しそうに流ちょうに話せるのに、ある環境では全く喋れなくなってしまう。といったお子さんの状態に困っていませんか?
リラックスできる状態では話せるのだけれど、特定の人としか話せない環境では普段の言語能力を発揮できなくなってしまう。
このような症状の「かんもく」で悩むお母さんは多いですよね。
以前「かんもく」についての記事を書きましたが、読んでいただけましたでしょうか? もしよかったら読んでみてくださいね。
内向的な性格、人見知り、場所見知り、恥ずかしがり屋だからと周りから捉えられて対応されることの多い「場面緘黙」(以下、場面かんもく)。
それもそのはず、ある特定の場所以外では発話できていたり笑顔が出ていたりすることもあるからです。
しかし、この場面かんもくは不安障害の一つであると考えられています。発達障害やグレーゾーンのお子さんに多いのも事実ではありますが、特に発達に問題のないお子さんの発症もあるのです。
発達障害やグレーゾーンの子どもの場合の「かんもく」には特性からくる不安の高さが原因とも言われています。実際に発達障害やグレーゾーンのお子さんの中には不安が高い子が多いのです。
しかし、発達には問題がなくても何となく不安が高い傾向のお子さんっていますよね。
ですから診断の有無にかかわらず、不安が高いお子さんを育てるお母さんには知っておいて欲しい症状の一つでもあります。
2.早い対応で大人に持ちこさない
特定の人としか話せない場面かんもくは、幼児期の発症例が多く報告されています。
ですが、本人はその苦痛から話すことが求められる場面を避ける傾向があるんです。
もしこれが習慣化してしまうと、症状は大人まで続いてしまうこともあるので決して軽視してはいけないものなのです。
10歳以降~中学生の思春期に入ると、お子さんへの接し方も本人が主導へと変わっていきますので年齢に応じた支援も必要になっていきます。
性格だからと軽く考えるのではなく、少しでも様子が変わったら気をつけて対応してあげなくてはなりません。
もし、お子さんに不安になりやすい傾向がある場合、お子さんの様子を注意深く見守ってあげてくださいね。
3.人前で声が出なくなってしまった娘
では、「かんもく」ってどのような状況だと悪化してしまうのでしょうか?
・話すことを人から強要されること
・声を出したときに周りが過剰に驚いたり喜んだりして反応すること
・声が出ないことを責めたり、からかったりすること
・親が焦って様々な場面で無理強いすること
などです。
周りの不適切な対応により、さらに話せない状況へと陥ってしまうのです。
そして、周りの反応が本人にフィードバックされ、特定の人としか話せない自分、声が出せない自分をさらに自覚させてしまうことになるのです。
実際、我が家にも場面かんもくの娘がいます。幼少期に通っていた幼児教室で初めは自己紹介ができていましたが、ある日突然できなくなりました。
それというのも、もともと口数の少なかった娘がみんなの前で自己紹介をしたときに、みんなが「すごい!しゃべったー!」と反応したことでした。
娘はそれ以来、その幼児教室はもちろんのこと他の場所でも声が出なくなる症状が続きました。
今も、対応においてはトライアンドエラーを繰り返す日々ではありますが、娘と関わる中で私たち周りが大切に考えてあげたいことをお伝えしたいと思います。
4.ママのさり気ないサポートで自信回復を!
冒頭でもお話ししましたが、「場面かんもく」とは特定の人としか話せないけれど、全面的に話せなくなる症状のことではないですよね。
ある環境においてのみ、発話ができなかったりしてしまうものです。ということは話せている場所や場面は他に多く存在していることも確かです。
周りの私たち親や大人は、その子の話せている場所や場面を少しでも広げてあげることが大切だと考えます。
そのためには、まず話しができている場所や笑顔が出せる場面を最大限に活かし「私は声がちゃんと出せているんだ」という本人の自信へとつなげてあげることです。
自信へとつなげる方法の一つとして明るくソフトに本人にフィードバックしてあげましょう。
・〇〇(お友達)ちゃんと楽しそうにおしゃべりしていたね(できたいたことをそのままサラッという)
・〇〇(お友達)ちゃんと一緒に遊べて楽しかったね
・〜しているときの〇〇(本人)ちゃんとっても楽しそうに笑っていたよ
・〇〇(本人)ちゃんはここの場所が大好きで安心するんだね
などと子どもへ声かけをしてあげてくださいね。
もしも特定の人としか話せないことで、思うようにコミュニケーションをとれなかった場合でも、あたたかく話しかけてあげてください。
小さなステップの積み重ねをしながら、お母さんがさりげなく子どもを仲間に入れてあげる補助もしてあげるといいですね!
お子さんの警戒心が強まっている状態を見守っていると、話している姿を見れば心から嬉しいと思うのが親心ですよね。
しかし、本人が声を出しても、お母さんはグッと喜びの表現を抑えて、ソフトに自信へと繋がる声かけをしてみてくださいね!
また、余計なアドバイスは絶対にしてはいけません。
一番本人に届けてあげなくてはならないことは、小さな自信をたくさん積み重ねて、成功体験を増やしていく機会です。
いずれこの積み重ねた小さな自信と成功体験が話せる場所を広げていってくれる糧になります。
本当は話したいけれど、特定の人としか話せない自分にとても困っているのは、他の誰でもない本人です。
焦らず声が出ている場所をとにかく大切に見守り広げていけるよう手助けをしてあげたいですね。
娘にも現在、この対応を続けています。実際に、少しづつですが声が出せる場所や場面が増えてきています。
はっきり言って時間も労力もかかります。本人の話そう!という努力も必要です。そしてタイミングもあるでしょう。
発達障害やグレーゾーンであってもなくても、「場面かんもく」で人知れず悩んでいる子どもがいます。
そんなとき、親の私たちがまず温かい目で適切に対応してあげたいですね。
一緒に頑張りましょう!
幼稚園生活で行った3段階の対応も参考にしてみてください
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執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)