発達障害・グレーゾーンの子は音に敏感に反応する子もいます。その中でも、犬が苦手なお子さんはいませんか?もしかすると、その理由はお子さんの過敏と関係があるかもしれません!私の娘の犬に対する強い抵抗が和らいだ方法をお伝えします。 |
【目次】
1.犬を過度に嫌う娘の態度に悩む
みなさんのお子さんは動物好きでしょうか。猫派ですか?犬派ですか?
ちなみに、猫好きなお子さんはネコちゃんのどのようなところが好きでしょうか?
犬好きなお子さんにとってはワンちゃんのどんな面が可愛らしいのでしょうか?
うちの小学2年生の娘は、猫が熱烈に大好きなんです。ペット禁止のマンションなので飼ってはいないのですが、猫のテレビ番組を見るだけでとても癒されています。
しかし、猫とよく対比されやすい犬にはなぜか正反対の態度。極端に険悪感を抱き、見るだけで暴言を吐いていました。
犬に対して嫌なできごとがあったわけでもないのです。幼稚園の頃はお散歩中の犬の頭を優しく撫でてあげていた頃もあります。
いくら猫ちゃんへの愛着があるからと言えども、テレビの中の罪のない犬を一方的にけなす娘は、見ているこちら側も気分が良いはずがないですよね。
「猫ちゃんを見てたのに、なんで犬が映るん!犬早く消えて!」
こんな酷い言葉を吐きだす娘に対して、同情なんてできません。
犬を飼ったことがある私は、子どもが猫好きになるまでは犬派でした。そして、娘の言葉は犬に対する意地悪としか捉えることができませんでした。
「ワンちゃんがかわいそう!優しいはずの娘がなんでこんなに悪口を言うようになったんだろう…。」
娘に向けてそのような言葉を発するとさらにエスカレートさせてしまうので、娘の暴言には目をつぶって私は心の中でいつもこう思っていました。
2.犬の〇〇が苦痛でしかたかなった娘
動物番組を見ていると犬が登場することが多いので、その度に犬への嫌味を吐きだす娘をこのままにしておいては意地悪な子になってしまうと思い、私は娘へ質問してみました。
「〇〇ちゃんは、犬のどんなところが嫌なの?」
すると、予想外な内容が娘から返ってきたのです。
「私は犬は大っ嫌い!だって、にゃんこの鳴き声は”にゃ~”って優しい声だから落ち着くし癒し系なんだけど、犬はいきなり吠えて怖い。
それに猫の鳴き声は小さいから安心だけど、犬の鳴き声は大きすぎてビックリする。だから嫌!!」
発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)の娘は感覚への敏感さが強く、聴覚過敏があります。
日常生活では、窓の隙間風のような予測できない音やキーンとするような音、自分が好まない時に流れる音楽なども嫌います。音楽の授業では耳をよく塞いでいると先生から聞いたこともありました。
娘の暴言は犬の鳴き声に対する聴覚過敏からの抵抗だったことを初めて知り、私は幼稚園の頃に行った花火大会で花火の音を恐れていた娘の姿を思い出しました。
そうか!犬の鳴き声は、花火の音のようにドン!と響く感覚があるよね。だから、あんなにまで犬を毛嫌いしていたんだね!と、やっと理解してあげることができました。
3.音に敏感になっちゃうのはなぜ?
さて、娘が犬を抵抗する理由は鳴き声に対して敏感に反応していたことが解ったのですが、そもそも、感覚過敏はなぜ起きるのでしょうか?
それは、脳のその感覚を司るエリアがまだ未熟なことが理由とされています。
娘の場合、音を聴くエリアが未熟なことで聴くことに対して過剰に敏感になってしまうのです。まだ未熟ということは、聴くエリアはこれから発達していくということです。
音を聴くエリアが鍛えられることで、脳の発達に伴って音への敏感度はだんだんと取れていくのです。
じゃあ、鍛えるために頑張ろう!と急ぐことは逆に子どもへのストレスとなってしまうので禁物ですよ!
子どもがしんどくならない為にはどうしたらいいのか?を考えていきましょう。
敏感さを軽減したいのであれば、心地良い刺激とセットにすることが大切なのです。
では、娘がテレビで犬を見ても毛嫌いしなくなった方法をお伝えしていきますね!
4.お母さんができる過敏を和らげる2つの対応とは
娘は、いつの間にか犬への抵抗がすーっとなくなっていったのですが、改めて何がきっかけで落ち着いたのか振り返ってみると、私がした対応が2つありました。
◆①感覚過敏のつらさを受け入れる
娘から犬の鳴き声が怖い。いきなり勢いよく吠えることにビックリしてしまう。
という娘が犬を嫌う理由を聞いてからは、今まで犬を散々けなしていた娘の気持ちを私自身が理解できるようになっていきました。
1つ目は、娘の過敏の辛さを受け入れることです。
例え、私は犬が大好きであっても、娘にとっては「ワンッ!!」という犬の鳴き声は恐れそのものなのです。
ですから、「そうだね。猫ちゃんはいつ鳴いても心地良い癒し系の鳴き声だけど、確かに犬は第一声から勢いがあってビクッとするよね!」
と、娘の感覚の立場になってみて初めて「音」としての犬の鳴き声は敏感に反応しやすい音なんだ、ということに気付きました。
今までは困った子だという目でみながら娘の犬へ対するキツイ言葉に悩んでいたのですが、娘と一緒になって
「お母さんもビクッとした~!」
なんてことを話し合ったりもしました。
すると、娘へすぐに変化がありました!
今までのように犬がテレビに映っていると自らテレビを消すことはありましたが、文句ひとつ言わない姿があったのです!
◆②犬に対する距離感を縮める工夫
そこで私がした2つ目の対応、
「おっ!犬が出てたけど静かにテレビ見れたね!」
というように、犬に対しての距離感が近くなる言葉をかけるようにしていきました。
このような今まで嫌だったハズの犬へ対して、できた事へ肯定の言葉がけをしていくことで徐々に抵抗が和らいでいったのです。
ついに、
「おっ!ワンちゃんのテレビを見れるようになったね!スゴイ!」
という言葉をかけれるようにまでなったのです!
お母さんが自分のことを解ってくれている安心感と、小さなステップの褒め言葉で子どもの敏感さを和らげてあげることは可能なんです。
自分で言うのも変ですが、娘にとっては私が過敏へのクッション材となっていたのです。
犬の鳴き声だけに関わらず聴覚過敏があるお子さんにとって、お母さんがいると安心。お母さんが褒めてくれるから自信がつく!
一番身近な存在のお母さんが過敏への特効薬でありたいですね!
音への敏感さを和らげるこちらの対応もご参考くださいね!
感覚過敏への対応法を沢山掲載しています!
執筆者:おおむらさえ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)