子どもが小さいうちに習い事にチャレンジさせちゃおうかな、というご家庭も多いですよね。そこで考えるのが、いつの世も人気No.1のピアノ。ピアノって発達障害の子どもにとっていいことあるの?今回はピアノが子どもたちを発達させる理由をお伝えします。 |
【目次】
1.習い事人気No.1のピアノ。実は発達障害を持つ子どもたちの能力をアップさせちゃう魔法が隠れています!!
2.ピアノでこんな能力が育つ!!発達障害・グレーゾーンの子どもにとってのピアノのメリットとは?
◆その1 手先の器用さ
◆その2 聴覚の記憶
◆その3 リズム感
◆その4 ながら作業
3.ピアノで認知機能アップ!!発達障害・グレーゾーンの子どもの苦手を発達させよう。
1.習い事人気No.1のピアノ。実は発達障害を持つ子どもたちの能力をアップさせちゃう魔法が隠れています!!
子どもが大きくなったら勉強もあって時間もなくなるかもしれないし、まだ小さいうちに習い事にチャレンジしようかな?と思うご家庭、ありますよね。
そんなとき候補にあがる習い事の一つにピアノがあります。
ピアノと言えば、習い事の王道ですね。賢い子どもが育つ習い事だとか、東大生のほとんどはピアノを習っていたとか、メディアでも何かと取り上げられることの多い習い事です。
一度はピアノを習ったことがあるお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか?
私も、最初は音楽の先生になるつもりで大学に行きましたので、ピアノは幼少期からずっと続けていました。
私はピアノ専攻ではなかったのでとっても下手でしたが、ピアノ専攻の同級生の超絶技巧を見て「すっごいな〜!」と思っていたものでした。
実は、脳科学や心理学の研究分野でも、「ピアノ」は研究テーマとして昔から注目されていて、論文などもとても多いんです!
そうやって、科学者たちが研究したいと思うほど、ピアノを弾くことには高い認知能力が関わっており、ピアノを習うことでその能力が鍛えられると考えられます。
ピアノを習うことは、発達障害を持つ子どもたちの能力をアップさせることができるんです。
2. ピアノでこんな能力が育つ!!発達障害・グレーゾーンの子どもにとってのピアノのメリットとは?
それでは、ピアノでトレーニングできそうな認知能力を挙げていきますね。
◆その1 手先の器用さ
ピアノと言えば、指の器用さが何より大切です。子どもの手は、まだ十分に発達していないので、ピアノで器用さを磨くことはおすすめです。
発達障害の1つの特徴は、運動発達も遅れがちになるということ。
そして、それが重度であるほど、全身運動が遅れてきますし、軽度であれば、全身運動は問題なくても指先の不器用さが目立つ場合もあります。
これからの時代、パソコンのキーボード入力は必須能力になります。
ですから、両手10本の指を使いこなす機会は作っておきたいですね。
パソコンとピアノの違うところは、打鍵の深さももちろんありますが、それより腕の位置が動くかどうか?という点。
パソコンは腕をほとんど動かすことなく打てますが、ピアノは腕の移動が必要ですから、パソコンよりもピアノの方がより複雑な能力を使うことになります。
今の子どもたちが成人する頃には、両手10本の指を使用してのキーボード入力は、今以上に必須となることは間違いありません。
人差し指だけでパソコン入力をしていては、就職のチャンスを逃してしまう時代になるかもしれませんね。
誰でも動かしやすい親指・人差し指・中指だけでなく、薬指や小指を使う経験をさせておきたいものです。
ピアノは、10本の指をまんべんなく使用できる数少ない活動ですからオススメですよ。
◆その2 聴覚の記憶
音楽と言えば、なんと言っても聴覚。同じ曲をなんども練習する中で、耳を使って「聞く記憶力」が高められる可能性があります。
発達障害の場合、全員とは言いませんが、聴覚よりも視覚が得意なお子さんが多く、「聞く力」や「聞く記憶力」が弱い場合もありますよね。
聞く力が弱いと、普段の会話や授業でも話を聞く力が弱くなってしまうものですが、ピアノで聴覚に集中する機会があると、聞く力を養うチャンスになります。
聞く力を養いたい場合には、本人が弾くことよりも、先生のお手本を間近で聞く時間を増やすといいかもしれませんね。
先生の指の動き(視覚)を使いながら聞けるので、音だけを聞くよりも聞くことに集中しやすくなります。
◆その3 リズム感
その1でも触れたように、発達が遅れ気味だと、運動の発達にもアンバランスさが見え隠れするのですが、その中の1つに「リズム感」があります。
脳の働きで言うと、リズム感を発揮するときには動きをスタートするときが1番難しいのです。
例えば、大縄跳びでタイミングよく入れない、スキップのはじめの2〜3歩が安定しない、など、リズム感が苦手な場合、活動の「はじめ」が難しいということです。
リズム感がない人は、カラオケや合奏などでも「入りのタイミング」を逃してしまうんですよね。
それは「聴覚と運動を繋ぐ働きの発達」が十分ではないからです。
ピアノは、まさに聴覚と運動の合わせ技ですから、リズム感を養うのにも有効です!
◆その4 ながら作業
「ながら作業」と聞くと、悪い印象があるかもしれませんが、実は、「ながら作業」はとても高度な認知能力です。
ワーキングメモリという、複数のことに注意(意識)を配分する能力(並行作業をこなす能力)が子どもではまた十分に発達していません。
発達が遅れていると、この並行作業をこなす能力が苦手な子は多いのです。
例えば、
歩きながら話せない(話し出すと足が止まる)、
話しながら書けない(書いていると話せない)、
何かに集中していると別のことができない、
などなどです。
ピアノは、右手と左手を同時に動かすというかなり高度な並行作業です。
右手と左手の同時のコントロールは、並行作業の中でも、かなりレベルの高いものだからです。
ですから最初は誰でもとても苦労しますが、できるようになってくると「要領の良さ」を手に入れることになります!
ピアノを習うことは、これらのような能力をアップさせるきっかけになる可能性がありますから、お子さんに興味があるならぜひチャレンジしてみてくださいね!
3. ピアノで認知機能アップ!!発達障害・グレーゾーンの子どもの苦手を発達させよう。
ピアノで獲得できる認知能力はこれだけではありませんが、発達の遅れがあると苦手になりやすいものに絡めて考えると、上記の4つの効果が期待できるのです。
ただし、苦手な能力を克服する目的だけで行う習い事はただ辛いだけです。
本人が楽しく続けられるような工夫をしながらやっていけると1番いいですね。
ピアノと言えば、楽譜を読むという難関がありますが、楽譜がなかなか理解できない場合、視覚が得意ならば楽譜を読むことは後回しにして、先生の指を見て覚える弾き方でもいいんですよ。
プロのピアニストになるのでないなら、形式に縛られすぎることなく、子どもの能力アップに1番いい方法をとりたいですね!
習い事につながる発達の知識を求める方に。
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)