ダウン症の子育てに将来の不安を抱えているお母さんはいませんか?わが子の子育てを通して「ダウン症キッズを働く人に育てるママになる!」ことを決め、同じ子育てで悩んでいるお母さんたちをサポートしたいと活動をしているトレーナーにお話を伺いました。
【目次】
1.私も子育てに悩む苦しい毎日を過ごしていました…
2.発コミュ初のダウン症の子育ての専門家が誕生!「この子らしい幸せとは何?将来働く人に育てたい!」という思いとは
3.子どもの成長が喜べない…ダウン症の子どもを持つお母さんの悩みとは?
4.ダウン症の息子が将来働く人になるための方法とは? ~ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッドについて~
私も子育てに悩む苦しい毎日を過ごしていました…
わが子との出会いを楽しみにしていたのに、「ダウン症」という告知を受け、子育てに悩んでいるお母さんはいませんか?
「ダウン症は頑固で切り替えが苦手」という世間一般的な事だけを言われて、自分がいなくなったら生きていくことはできるのだろうか…と将来に不安を抱いている方は多いのではないでしょうか。
自分の子どもが周りの子どもと違うことで育てづらさを感じ始めると、自分の子育てがうまくできていないからなのではないかと思い、自信をなくしてしまっているお母さんがたくさんいます。
「どうしてうちの子は周りの子のように普通にできないのか…」
「こんなにいろいろしているのにどうして上手くいかないのだろう…」
「発達相談をしても様子をみましょうと言われて何も変わらない」
「母親の自分のせい?」
などと、お母さんが一人で苦しい思いを抱え込んでしまい、ますます子育てが苦痛になって親子ともに苦しい思いをすることになってしまいます。
パステル総研の発達科学コミュニケーションで活動しているトレーナーやリサーチャーも同じように自分の子育てに悩み、苦しい思いをしてきたお母さんたちです。
その苦しい子育てを乗り越えて、今は自分の子どもの専門家となって子どもの発達をお家で伸ばしながら日々研究と実践をかさねて活動をしています。
その活動の思いは様々で
・子育てで悩むお母さんを一人にしたくない
・子どもひとりひとりの個性を伸ばすお母さんの発達支援方法を伝えたい
・子どもの数ほどパステルカラーがあり一人一人がキラキラ輝く未来を作りたい
・自分と同じ思いのお母さんを救いたい
・お母さんはお母さんの人生を歩んでほしい
など、たくさんの思いがあります。
そんなたくさんの思いを抱いて活明るい未来を見つめつつ、新たな挑戦をしながら活動している発達科学コミュニケーション(発コミュ)トレーナーをご紹介します。
今回インタビューをさせていただいたのは、発コミュ初のダウン症の子育ての専門家として活動をしている発コミュトレーナーの松下かよさんです。
2.発コミュ初のダウン症の子育ての専門家が誕生!「この子らしい幸せとは何?将来働く人に育てたい!」という思いとは
ご自身もダウン症の男の子の子育てをされている松下さん。ダウン症の子育ての将来の不安から抜け出して明るい未来を描けるようになり、どのような思いで発コミュでの活動をしているのかについてお話を伺っていきます。
ーーーでは最初に松下さんについて教えていただきたいので、簡単に自己紹介をお願いします。
「はい、私は親子のコミュニケーションをスムーズにしてダウン症キッズを働く人に育てるママになる発達科学コミュニケーショントレーナーの松下かよです 。
私は 、ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッドで、なかなか動かない頑固なダウン症のお子さんに自分から動き出す力を育てる専門家です。
私自身も、5歳のダウン症の男の子を育てています。
生後1ヶ月で次男がダウン症であることを告知されたとき、医師から『この子にはこの子らしい幸せがあるから』と告げられました。
しかし、『この子らしさの幸せとは何か?私たちは違うのか?』ということに悩み続けた子育てでした。
そして、自分の子どもが不幸な障害者であるという自分の価値観に苦しみました。
そんな私が発コミュトレーナーとして起業し、ダウン症の子どもが生まれる前に描いた未来よりたくさんチャレンジできる豊かな世界にいます。
発コミュには、自分の人生を豊かにするチャンスが潜んでいると私は思っています。ダウン症の子どももママも今の社会のあたりまえの10倍の収入を得られるコミュニティを作りたいという夢を持ち活動しています。」
◆ポイント解説
妊娠中は誰もが「こんな風に子育てをしたいな!」と色々と夢が膨らむもの。生まれた子どもに障害の診断を受けたお母さんは、本当に地獄に突き落とされたような気分になると思います。
しかし、今もう、そこから妊娠中よりも豊かな人生を自ら切り開いている松下さんが本当に素晴らしいと感じました。
ダウン症の子どもの発達をお家で伸ばして「働く人に育てる」ためにママのサポートをして、子どもだけではなくお母さん自身が今よりも豊かな人生を生きていくチャンスをつかんでほしい!
そのために、同じ悩みを抱えるお母さんに発コミュを届けていきたいという思いが伝わってきました。
3.子どもの成長が喜べない…ダウン症の子どもを持つお母さんの悩みとは?
発コミュ初のダウン症の専門家として活動されている松下さん。
しかし、世の中にはまだ、ダウン症のことを知らない方や、ダウン症の子育ては一体どういうところに困っているのかを知らない方の方が多いと思います。
実際にダウン症のわが子を育てている松下さんだからこそわかる、ダウン症キッズの子育てについて伺いたいと思います。
ーーーダウン症のお子さんを育てるにあたって、お母さんたちは一番どんなことに困っているんですか?
「個別相談でお母さんからのお話をお聞きしたり、ダウン症の子どもを持つお母さんのお友達と話をしたりしてきて一番感じているのが、お母さんが孤独になっていることです。
同じ子育てをしている人が圧倒的に少ないですし、人目も気になりますし、社会の中でどうしても孤立していってしまうんです。
例えば、1歳半検診に行った時もダウン症なのはうちの子だけでした。道でお散歩してても、公園に遊びに行ってもうちの子だけなんです。
『なんで私だけなんだろう。なんでうちだけなんだろう』と思いながら過ごしていました。
さらに、ダウン症の子どもを持つお母さんは、未来にずっと不安を抱えたまま子育てをしています。
子どもが成長していくにつれて他の子どもとの違いが目立つようになって、本当だったら嬉しいはずの成長も喜べないお母さんもいます。
お母さんたちが孤独や子どもの将来に不安を感じながら、日々発生する問題にも対応して必死に子育てをしています。私もずっとこの状態でした。」
ーーー松下さん自身も孤独や子どもの将来に不安を感じ、日々発生する問題に対応しながら必死に子育てをしていたとのことですが、今の松下さんに変化したきっかけについて教えてください!
「私が孤独や不安を感じながらも必死に子育てをしていた状態から抜け出すためにしたことは、まず発コミュで自分も子どもも肯定していくことです。
そうすることで、『ダウン症でいい、もうダウン症の子がいてもいい、そのままでいい』と認めることにしました。
それは諦めることとは違って、今までの自分の価値観を捨てて、新しいダウン症のわが子専用の価値観を作っていくという事でした。
子ども自身も周りに理解されない孤独を沢山感じています。
だからこそ、お母さんが自分一人で解決しようと思うのではなくて、たくさんの人に助けてもらいながら子育てをして欲しいと思います。」
◆ポイント解説
1歳半検診や公園に遊びに行っても『どうして家だけなんだろう…』と感じ、辛い経験をしてきた松下さん。
本当は嬉しいはずの子どもの成長が喜べないお母さんがいるという言葉が心に刺さりました。
ダウン症に限らず、発達障害のお子さんでも同じだと思いますが、特に障害が重ければ重いほど未来に対して不安を感じているお母さんはたくさんいます。
そういう子どもの未来に不安を抱えたお母さんが『お子さんを働く人にする』という目標に向かっていることに希望を感じました。
働くということは自立の象徴です。育てにくい子に悩むお母さんなら誰もが、子どもが自分で自分の人生切り開いて、働いて食べていけることに魅力を感じるのではないでしょうか?
4.ダウン症の息子が将来働く人になるための方法とは? ~ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッドについて~
松下さんのお子さんはまだ5歳。これからもまだまだ子育てが続きます。
そこでダウン症の息子さんが将来働ける人になるために、日々の子育ての中で松下さんが大切にしていることや「ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッド」について伺っていきます。
ーーー息子さんをダウン症でも働ける人にするために、今どのようなことを大事にして子育てしていらっしゃいますか?
「まずは、働く時に必要な物っていうのはお金とか対価ではなく、『人の役に立たっていうことを嬉しい』と感じられるその気持ちが大切だと思ってます。
そこで、子どもに少しずつお手伝いをしてもらっています。
『ありがとう助かったよ』
『いてくれて助けてくれてありがとう』
という気持ちをいつも伝えています。
このような言葉かけをすることで、
『役に立つって嬉しいんだ』
『何かすると周りの人が喜んでくれるんだ』
という気持ちを大切に育てています。」
ーーー働く人になるにはやはり「誰かのために自分が動く、結果喜びを感じる」というのはすごく大事ですよね!では、次に松下さんの『ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッド』についてお伺いしていきたいと思います。まず、どういったメソッドなのでしょうか?
100回言っても聞かない頑固なお子さんに自分から動く力を育てるメソッドです。私は発コミュ講座で「ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッド」をお伝えしています。
ーーー メソッドを具体的に説明していただけませんか?メソッドを開発した背景には何があったのでしょうか?
一般的に2,3歳で終わると言われるイヤイヤ期が、ダウン症の子どもの場合4歳になっても、5歳になっても 永遠に続くのでなないかと思われるほど、何を言ってもイヤっていうんです。
これはダウン症の子の脳の特性が関係しています。
自分からは動かない、言っても動かない、だからおかあさんがイライラして無理矢理やらせたり、 代わりにやってあげたりします。
そうすると子どもが必死に抵抗するという悪循環になるんです。我が家もそうだったんです。
ーーー 子どものイヤイヤ期は親として理解していても難しい時期ですが、それが長く続くとなるとつらいですね。辛い時期をどう乗り越えられたのですか?
次男があまりにイヤイヤ言うので何にイヤイヤ言うのか書き出してみました。ほとんどに共通していたのが「自分が思っていたのと違った」という次男の想いでした。
それが、イヤイヤという言葉や、態度に現れていることに気づきました。
ワガママや、お母さんを困らせようとしてイヤイヤ言っているわけではないんです。
ーーー 辛い時期にストレスをため込むのではなく、どうかして次男さんを理解しようと努力した松下さんがいらっしゃったのですね。そこから得たものはありますか?
私は、この経験から、
①気持ちを受け止める
②行動を促す
という2ステップの切り替え上達メソッドを開発したんです。
ーーー そのメソッドが「ダウン症キッズの脳を育てる切り替え上達メソッド」なのですね。そのメソッドを実践すると、息子さんはそれからどのように変化したのでしょうか?
次男の「思っていたのと違った」という気持ちをしっかり肯定するこのワンクッションをいれるだけで、彼はそれまで嫌がっていた指示などに従えるようになったんです。
生活面でも、嫌ということを無理やりやらせることなく、歯磨きや、トイレも嫌と言ったら、いったん気持ちを受け止めます。嫌という気持ちのままではやらせません。
「嫌だよね、思っていたのと違ったね」と子どもの気持ちを肯定して代わりに言葉にしてこどもに伝えます。
気持が切り替わったら、今度は行動です。
「自分で歯磨きする?お母さんと歯磨きする?」などと、子どもに選択肢をあたえ、行動につなげていくのです。
続けていくことで、今は、歯磨きも、トイレも、お風呂も状況をみて自分で動けるようになりました。
ーーー お子さんの気持ちをまず肯定すること、これが大事なのですね。子育てをする中で、他に松下さんが大事にされていることはありますか?
「現在、障害者を雇用している企業などに話をお伺いして、どういう人が社会で障害を持ちながらも活躍しているかという事をお聞きしています。
今はこういう ITの時代ですが、みなさん、『一番大切なのは純粋さや周りの人を明るくする力』だとおっしゃっているですよね。
ですから、 そういう部分を失わずに育てていこうと思っています。」
◆ポイント解説
イヤイヤ期の子育ては、お母さんにとって難しい時期の一つだと思います。
成長の証、いつかは終わるものだと思って、皆さん子育てされると思うのですが、それが脳の特性とはいえ、予想よりも長く続くとなるとお母さん自身が疲れてきてしまいますね。
松下さんはその状況を改善するべく、息子さんの行動を分析される努力をされたところが、メソッドの開発へ結びついたのだと思います。
このメソッドで対応していくと、息子さんの落ちついていくことができて、長かったイヤイヤ期を卒業できたところが素晴らしいと思いました。
イヤイヤ期によって、お母さん自身の余裕がなくなっている方には、ぜひ試していただきたいと思いました。
また、息子さんがまだ年中さんの段階で、会社に話を聞くという行動力が本当に素晴らしいなと思いました。
逆に言うと、それくらい将来に対して不安を抱えていらっしゃって、松下さんご自身がそれを払拭するために自ら動かれているんですね。
将来が不安なのはみんな同じ。ですが、松下さんほど自ら行動することで不安を払しょくしているママはごくわずかではないでしょうか?
松下さんのトレーナーとしての思いや子育てに対する思い、実際の子育て方法をお話ししていただきました。
素晴らしい行動力に同じダウン症の子育てをしているお母さんにとってとても心強い存在であると感じました。
次回は、松下さんが発コミュと出会ったキッカケや現在に至るまでの松下さん自身のことについてお話を伺っていきます。お楽しみに!
ダウン症キッズの子育ての悩みをまるっと解決します!