子どもの発達支援は「急がば回れ!」です。発達障害・グレーゾーンの子どもの脳タイプを脳の上下で分けて捉え、行動と言葉に着目します。強みを先にサポートすれば、不得意な面の成長も加速していくんですよ! |
【目次】
1.発達障害&グレーゾーンの子どもの発達支援のヒントになる脳タイプの捉え方
2.言葉より行動が先行するタイプの子どもの支援の考え方
3.知識は多いけど行動力がないアスペルガータイプの子どもの支援の考え方
1.発達障害&グレーゾーンの子どもの発達支援のヒントになる脳タイプの捉え方
脳といえば、右脳・左脳の分け方がよく知られていますね。
ところが脳には色々な捉え方があります。発達サポートについて考えるとき、私はあまり右脳・左脳は重視しません。
脳の左右ももちろん考えますが、前後や上下など、脳をざっくりと切り分けて考えると子どもの様子がよく分かります!
子どもの支援の方針を考えるときには、脳の上下で考えると優先順位が見えやすくなります。
ざっくりした分け方ですが、 脳の上は行動に関係し、脳の下は言葉に関係します。
ですから、子どもの接し方を考えるときは、脳の上側が強みの子なのか?脳の下側が強みの子なのか?を考えます。
この考え方は、実はとても簡単です! お母さんもすぐ分かりますのでお教えしますね。 そして、発達支援のヒントが得られますので、ぜひ参考にして欲しいと思います。
2.言葉より行動が先行するタイプの子どもの支援の考え方
まず、行動の発達と言葉の発達のどちらがより発達しているかを考えます。
言葉の発達がゆっくりで行動することで意思を表現する子や、説明はできないけど動ける子は脳の上側が得意なタイプ。
言葉の発達が早くて、よく喋る子や知識や理屈をよく喋る子は脳の下側が得意なタイプ。(もちろん推定です)
つまり言葉が遅い子は、考えたら→動くことが得意なので行動を先に支援した方が得策です!
言語発達が気になるからと言って、言葉の支援ばかりしていても一向に成果が上がらない…。そうなる理由は、言葉より行動が先行するタイプなのに行動の支援をおろそかにしているから!です。
このタイプは、自分が行動したことを「言葉ではこう言うんだな」と、理解したり言葉を習得していったりします。ですから、行動のバリエーションが増えないと言葉の理解や表現も増えないのです。
言葉が遅いかも…と気になっているならば、思い切って行動を支援してください! 発達支援の極意は急がば回れ!です。
3.知識は多いけど行動力がないアスペルガータイプの子どもの支援の考え方
では、もう1つのタイプはどんな特性があって、どういう支援がいいのか?
専門家であればあるほどちょっと違和感があるかもしれません。 なぜなら、言語発達がゆっくりだからって言語の支援をすればいいってものじゃない!ということを書いたからです。
もちろん、言葉が遅れているならそこを支援したくなるのが親心ってものです。
ところが、子ども目線で考えれば苦手なことばかりつつかれるような支援になります。 「な〜んだかな…」そんな子どもの顔が浮かんできますね。
そこで考えたいのが脳の発達のメカニズム。もう一度お伝えしますが、脳を上下で分けると、上側が行動に関係し、下側が言葉に関係します。
脳の下側が得意ということは、言葉のストックがたくさんある、知識のストックがたくさんある、ということです。
ですから、こういうお子さんは経験がないことでもペラペラとお話しができます。 テレビで見た話、本で読んだ話、見聞きした話などなど言葉の情報を持っています。
例えばアスペルガー傾向のお子さんは、経験したことがなくてもウンチクを語ることができます。しかし、「じゃあ、自分でもやってみたら?」と差し向けると行動することに躊躇する場合があります。
これが、脳の下側(言葉の情報)は得意だけど、脳の上側(自分で動く)は苦手な子の特徴です。
このようなお子さんの場合、行動する前に情報分析させることが大切!情報を充分与えずに実践を積ませようとしても緊張や不安をあおるばかり。抵抗されたり反発されたりして、なかなか成果があらわれにくい。
だから、このようなお子さんには行動も大事ですが、事前情報をしっかり与えることが支援として大切です!
もちろん、すべての子どもがこの2タイプに分かれる訳ではありません。 ただ、もしこの話でピンと来る方がいらしたら、支援の視点を見直してみてくださいね!
一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー 学術博士,臨床発達心理士)
(発達科学コミュニケーショントレーナー 学術博士,臨床発達心理士)