中学不登校の子どもの進路はどうする?中学卒業後の進路を決める大切なポイント

中学で不登校が続き、中学生活が残り少なくなってくると、卒業できるのかな?卒業後はどうしたらいいのかな?と、いろいろな不安が押し寄せてきませんか?不登校の子どもが増えている今は、不登校でも、発達障害でも、卒業後に選べる進路は増えています。
 

【目次】

 

1.中2は中学不登校でも進路を考える時期?

 
 
「中2の夏は高校合格への第1歩!」ある通信教育の勧誘チラシにこう書いてありました。
 
 
わが家には不登校で中学2年生の息子がいます。小学6年生の秋から不登校になり、中学は入学式以外は行っていません。
 
 
毎日ほぼYouTubeを見たり、ゲームをしたりして過ごしています。そんな状態なので、「中2の夏は高校合格への第1歩!」と言われても、そもそも中学に行けていないのだから、高校合格なんて考えられないと思っていました。
 
 
しかしふと、たとえ不登校だとしても、3年生の春には、最初の進路希望を出さなければいけないことに気づいたんです。
 
 
 
 
そこで、たまたま通信制高校の合同説明会があると知り、息子に「通信制高校の説明会があるんだって。一緒に行かない?」と聞いたところ、「進路を考えるのはまだ早い」と断られてしまいました。
 
 
息子はほとんど家から出ない時期もありましたが、最近は買い物に一緒についてきたりして、1週間に1回ぐらいは外に出られるようになっていますし、朝はきちんと起きて、夜もしっかり寝ています。
 
 
一方で、まだ進路については考えられないようでした。私としては、少しずつ進路について考え始めた方がいいかなとも思いましたが、息子には息子のペースがあるので、それ以上は何も言いませんでした。
 
 

2.そもそも中学不登校でも卒業できる?

 
 
私が少しずつ進路についても考えないといけないなと思っていたところ、先日親戚のおじさんから、息子について、「全然中学校に通っていないみたいだけど、卒業できるの?」と聞かれました。
 
 
私はその時は、「卒業できるに決まってるでしょ」と答えましたが、少し不安もあったので、調べてみました。
 
 
結論から言うと、中学校は不登校でも卒業できます。小中学校は義務教育です。
 
 
 
 
「義務」ということは、学校へ行っていないと卒業できないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 
 
この義務教育の「義務」は、子どもが学校に行く義務ではなく、保護者が子どもに教育を受けさせる義務なのです。
 
 
中学校は高校と違って、出席日数は進級や卒業に必要な条件ではありません。出席日数が少ないからといって、中学2年生や3年生に進めなかったり、卒業できなかったりするということはありません。
 
 
特に、公立の中学校では出席日数は問題ありません。たまに、学校側から留年するかどうかの確認がある場合もあるようですが、形式的な確認というだけで、留年することはありません。
 
 
ただし、私立の中学校の場合は学校ごとに決まりがあり、公立と同じというわけではないようです。実際、不登校になると、私立の中学校から公立の中学校に転校する方もいるようです。
 
 
つまり、公立の場合は、中学に入学してから3年間が過ぎれば、不登校でも卒業できるということです。私は、卒業できるという確信が持てて、安心できました。
 
 
しかし、卒業したらどうすればいいのでしょうか?息子はまだ進路については考えられないと言っていましたが、親としてはどんな進路があるのか気になります。
 
 
そこで、卒業後のいろいろなケースを調べてみました。
 
 
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3.できれば中卒は避けた方がいい理由

 
 
中学を不登校のまま卒業した場合、子どもが「高校に行きたくない」と言う場合もあるかもしれません。高校は義務教育ではないので、行かなければいけないわけではありません。
 
 
一方で、今の日本ではほとんどの人が高校に進学しています。
 
 
2020年3月の中学校から高等学校等への進学率は、98.8%(文部科学省「高等学校教育の現状について」)。ということは、不登校でも多くの人が進学を選んでいるということになります。
 
 
また、学歴が中卒だと、高卒以上の人に比べて働く上でも不利になってしまいます。求人の数や種類が少ないですし、非正規雇用の割合も高くなります
 
 
実際、中学の進路指導の先生からは、中卒での求人はほとんどないと言われました。
 
 
 
 
もちろん中卒でも自分の才能を生かして輝いている方もいますし、起業して稼いでいる方もいますが、ごく一部に限られます。
 
 
お子さんが「高校に行きたくない」と言った場合には、このような現実を伝えた上で、将来のことを話し合ってみる方が良さそうです。
 
 
卒業後すぐに進学をする気力がなくても、人生の選択肢を広げるためにも、意欲が出てきた時に、改めて高校や大学への進学を考えることもできます。
 
 

4.中学卒業後の進路は何がある?

 
 
では、中学を卒業したら、どんな進路があるでしょうか?調べてみると、不登校だった生徒や発達障害のある生徒でも通いやすそうなところがありました。
 
 
むしろ、選択肢の少なかった中学校よりも、ずっと選択肢が広がるので、子どもの特性や興味に合わせて選ぶことができそうです。
 
 

全日制高校

 
 
皆さんが一番なじみのある一般的な高校です。中学と同じように、朝から夕方まで授業があります。普通高校の他に、学びたい分野によって、商業高校、工業高校、農業高校、水産高校などがあります。
 
 
受験では、内申書が重視されるところが多く、出席日数が足りなかったり、中学で定期テストが受けられなくて内申点が低い不登校生徒にとっては、ハードルが高いかもしれません。
 
 

定時制高校

 
 
定時制高校は、1日4コマの授業がある高校です。夜に授業がある高校が一般的ですが、午前や午後に授業がある学校もあります。全日制と同じ学年制の学校や単位制の学校があります。
 
 
4年で卒業することが多いですが、条件を満たせば3年で卒業することもできます。不登校経験のある方、高校を中退した方、働いている方といった、いろいろな状況や年齢の方が在籍していることが特徴です。
 
 
受験には、一般的に内申点はほとんど関係なく、試験も比較的簡単ですので、不登校の生徒にも入学しやすい学校です。
 
 
 
 

通信制高校

 
 
通信制高校は、全日制や定時制のように毎日登校する必要はありません。テキストやオンラインで勉強し、レポート、試験、スクーリング(対面指導)などによって単位を修得する学校です。
 
 
オンラインだけでなく、週に何日か登校することを選べる学校もあります。
 
 
学校によっては、「IT」「ゲーム」「アニメ」「ファッション」などを学べるコースもありますし、不登校経験のある方や発達障害の方に配慮をしてくれるところもあります
 
 
自宅でひとりで勉強する自信がない場合は、サポート校という通信制高校の学習面や精神面などを助けてくれる塾のような場所もあります。
 
 

高等専修学校

 
 
この学校は、中学卒業資格で入学できる専門学校のような学校です。工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養の8分野に分かれた職業教育を受けることができます。
 
 
卒業後は、調理師のように国家資格を得られたり、高卒資格や大学受験資格を得られるものもあります。コースによって、卒業までに最短で1年、最長で5年かかります。
 
 
学校によっては、不登校経験のある方や発達障害の方に配慮をしてくれるところもあります。
 
 
以上の4つが中学で不登校だった生徒の主な進学先になります。
 
 
その他にも、高等専門学校、特別支援学校高等部への進学や、フリースクールに通う、留学する、高校は行かずに高卒認定試験を受けて大学に行くという進路もあります。
 
 
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5.進路を決めるために大切なポイントとは?

 
 
不登校でもいろいろな進路があることがわかりましたが、そのさまざまな選択肢の中からどうやって進路を選んだらよいのでしょうか?
 
 
大切にしたいポイントをお伝えします。
 
 

◆子どもの意志を尊重すること

 
 
親は、子どもがなかなか動かないとつい不安になってしまいますが、一番大切なことは、子どもの意志を尊重することです。親が焦って、子どもに無理矢理何かをやらせようとしても、親子の関係が悪化するだけです。
 
 
子どもの進路について親子で話し合っていかなければならない時に、コミュニケーションが取れなくなるようなことだけは避けてほしいのです。
 
 
本当はまだ外に出ていく気力がないのに、親の無言のプレッシャーや世間の目を気にして進学した場合、再び学校に行けなくなってしまう場合があります。
 
 
一方、子どもが自分の意志でやりたいと思ったことなら、みんなより遅れたとしても頑張れる可能性が高くなります。
 
 
 
 

◆親として情報収集だけはしておくこと

 
 
子どもの意志を尊重するとは言っても、親として何もしないわけではありません。子どもはいつ動き出すかわかりません。子どもが急に進路について考え始めたときに、親が情報を持っていれば、それを提供することができます。
 
 
子どもがまだ不登校になりたてで悩んでいたり、昼夜逆転しているような時期には、親が勝手に情報収集をしていることが知れると、プレッシャーになってしまいます。気づかれないように情報収集をした方が望ましいです。
 
 
また、子どもが外に目を向け始めているような時期には、いろいろな進路があるということが分かるように、さりげなくパンフレットを置いておいたり、説明会に行ってくる話をしておくことは問題ありません
 
 
私は息子に説明会へ行ったことは伝えていますし、さりげなくパンフレットも置いておきました。でも、息子は親が読んでほしいと思って置いておいても、見向きもしません。
 
 
やはり、本人がそろそろ進路を考えようと自分から思わない限り、見たくはないようです。わが家はこんな感じです。
 
 
いかがでしたか?中学不登校でも卒業はできますし、進路はいろいろとあります。
 
 
親は「偏差値の高い高校に行ってほしい」「有名大学に入ってほしい」「大企業に就職してほしい」という今までの考え方を手放し、子どもがイキイキと過ごせる進路を一緒に探したいですね。
 
 
 
 
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執筆者:佐藤とも子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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