娘は現在、幼稚園の年長です。かんもく傾向があります。幼稚園では話せるときと話せないときがあります。その違いを娘へ聞いてもいまいち伝わってきません。子どもが自己理解を深められ、自分の気持ちを伝えられる良い方法はありませんか?
4歳・女の子のママ
幼少期ですと、自己理解をさせるには難しいことがあります。お子さんが、自分の心の中の状況を親近感が感じられるものに置き換えてあげることが効果的なんですよ!
発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵
【目次】
1.かんもく傾向の子への対応は至難の技
「かんもく」という言葉を聞いたことはありますか?昔から教育現場においてはある言葉ですが、未だなかなか認知が低い不安障害の一つ。
今では、特別支援の対象となっていますが、専門医も理解のある学校の教師も少ないのが現状です。
理解されずに過ごしてしまうと、精神的に苦痛を強いられることが増え、二次障害を発症してしまう原因にもなりかねないのです。
しかし、かんもく傾向のあるお子さんへの対応って、とても難しいのです。
対応方法によっては不安を増殖し、症状を長引かせてしまうことも。また、本人の状況に合わせて負荷をかけるタイミングを逃すと話す機会を奪うことに。
とても繊細な対応が求められる、かんもく傾向への関わり。
本人が、いつ・どこで・どのような状況なら話すことができるのか?をしっかり理解できていれば、一気に症状の緩和に向けて進むことがあります。
しかし、それを把握し見つけることは一筋縄ではいきません。
きっとどこに相談しても「まだ小さいですし様子見ましょうか!」の連続で疲弊されているかもしれません。
けれど、子どもの成長は待ったなし!数ヶ月様子を見るのと、何か対策をするのではその予後は全く違う結果になることもあります。年単位で考えたら尚更です。
あのときこうしておけば…と思っても時間は元には戻ってくれません。
とても繊細で少々面倒な対応を強いられることもありますが、スモールステップであっても、一歩ずつ積み上げていった土台は簡単には崩れることはありません。
今回は、幼少期から取り入れることができ、自己理解を深められ改善に向けて効果がある方法をお伝えします。
2.右往左往して疲弊した日々
ここで我が家の娘の話しをさせてください。娘は現在、小学生になりました。しかし、幼稚園の頃は正真正銘の「かんもくっ子」でした。
月日が経っても担任の先生と話せない!
先生のことは大好きだけど慣れることはない!
返事はできない!
慣れたお友達以外は話さない!
みんなの前で何かをすることは娘にとっては拷問に近い!
といった幼稚園生活でした。
クラスが同じ子であっても、幼稚園以外で偶然会おうものなら、固まって声もでない!けれど、そのお友達とは幼稚園では話せている…
親の私からしたら、話せるときと、話せないときの違いは何?と疑問の連続でした。
その違いをはっきりさせたくて、聞き出そうと娘を質問攻めにした過去があります。
しかし、その気持ちを娘の語彙力で説明するにはとても難しく、最後には泣き出してしまうこともありました。
当時は、娘の周りで起こっている状況も、娘の心情も全く掴むことができず、右往左往する日々が続きました。
そんなときに、とても良いヒントに出会うことができ、娘の状況や心情が把握しやすくなったのです。
これにより、一気に娘自身も自己理解が進んだようで、改善に向けて状況が変わっていきました。
次項で説明していきますので、今日からぜひお子さんとのやりとりに取り入れてみてくださいね。
3.親近感が子どもの自己理解を促す
いつ話せる?どんな状況なら話せる?どうしてここでは話せないの?と、とても複雑なかんもくっ子の心の中はなかなか言葉では説明できません。
そんなときに、とても良い効果があったのが、子どもの気持ち(心の中)をキャラクターに置き換えて表現していく方法です。
キャラクターに置き換えて表現するとは、
・恥ずかしい気持ちなら「恥ずっち」
・怖さを感じる気持ちなら「こわっち」
・不安を覚える気持ちなら「ふあっち」
・ドキドキ緊張する気持ちなら「ドキッち」
などとすることです。
一見、似たような感情の表現ではありますが、緊張と恥ずかしい、不安と怖さというのは掘り下げていくと違う特徴があります。細かに知るためには、キャラクターはいくつか用意した方が効果的です。
実際の我が家の例ですが、子どもが話せなかった…と伝えてきたときには、場面を確認した上で、「恥ずっち」が出てきたの?などと聞いていました。
お礼が伝えられない…と伝えてきたときには、「ペコリッチ」を登場させよう!と伝え、頭を軽くペコッと下げるよう伝えました。
前者の「恥ずっち」ですが、その恥ずかしいと思う気持ちの度合いを確認するため、恥ずっちの大きさなども一緒に確認していました。
巨大ならとても恥ずかしい!小さいならそこまで恥ずかしいと感じてはいない!など。
これを繰り返すことにより、子どもがどんな場面を苦手としているのか?をよりわかりやすく理解することができるようになりました。
子ども自身も、「今日は恥ずっちがいつもより小さかったの!」などと、同じ場面であっても自分の気持ちの変化や状態を伝えてきてくれるようになります。
いずれ、キャラクターで表現した心の中を本人がしっかり認識するようになります。そして話したり、気持ちを整理することができるようになっていきます。
また、親の私たちが医師や先生などに状況を説明するときにとても役に立ちます。場面かんもくは、先生とのやりとりができないことが多いので、親が子どもの気持ちを代弁したりする必要があるためです。
幼稚園時代、我が家では特に年長のときにキャラクターを用いた自己理解をしていくことで、小学校入学と同時にみんなの前での自己紹介や、発言、先生とのやりとりがとてもスムーズにできるようになりました。
実際、娘は小学校入学した直後の自己紹介では、「恥ずっちが出てきたけど、小さかったから頑張ったら言えちゃった!」と伝えてくれました。これも自己理解をしたことが良い結果を生み出したのだと思っています。
人によっては、自己理解をさせることで余計な緊張を強いられるから逆効果とおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに一理あります。
しかし、本人が一番困っているのですから、自分自身で自己理解を深め、不安や緊張とうまく付き合うことを早期から身につけさせてあげることも大切だと感じています。
かんもくは、はっきり言って周りからしたら扱いづらい症状の一つです。しかし、心の中はとても素敵な想いを強く持っているお子さんがたくさんいます。
お子さんの内に秘める素晴らしい部分を、適切に引き出し支援につながる道が見つかりますよう、心より祈っております!
かんもく症状で悩む方が、一人でも少なくなりますように…。
かんもくで悩む親御さんに向けて、対策を発信しています。あわせてこちらの記事も読んでみてくださいね!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)