発達障害・グレーゾーンの不登校児の通知表、その内容に親子共々動揺するのは当たり前。不登校問題の解決のためにも、その子どもの特性を考慮した対応が必要です。子どものショックを和らげ自己肯定感とやる気をUPさせるお母さんのテクニックを紹介します。 |
【目次】
1.不登校の子どもに渡す「通知表」。子どもに渡す前に、お母さんに考えてほしいこと
2.斜線だらけの通知表。息子の場合…
3.発達障害・グレーゾーンの子ども対応で考慮すべきこととは?
4.子どもショックを防ぎ、子どもの自己肯定感とやる気をUPさせるテクニック
①子どもに通知表を見せない方がよい場合
②通知表を見るかどうかの選択は、子どもに委ねましょう
③子どもが通知表をみてショックを隠しきれない場合のお母さんの言葉かけ
④ちょっと準備が必要。だけど究極のマル秘テクニック
1.不登校の子どもに渡す「通知表」。子どもに渡す前に、お母さんに考えてほしいこと
1学期が終わり、夏休みが始まります。不登校の子どもにとって夏休みは、不登校ストレスから解放される時間!
しかし、その前に、お決まりの「通知表」。不登校児の通知表はお母さんが見慣れた通知表ではありません。
「あゆみ」「のびゆくすがた」などなど、さまざまな名前のついている「通知表」ですが、実は各学校の校長の裁量に委ねられた非公式の文書です。(※通知表のない公立小学校も存在します。)
そのため、不登校の子どもの成績表には基準がありません。評価の欄が斜線だらけだったり、「未」と書かれていたり…学校によっても先生によっても対応も書式も異なります。
発達障害・グレーゾーンの子どもの中には、ストレスに弱く気持ちの切り替えが苦手な子どもがたくさんいます。
学校に「行きたい自分」と「行けない自分」の葛藤から解放されたと思った途端に、この通知表が子どもを傷つけ、せっかくの夏休みのスタートを台無しにしてしまう…そんな危険性はないでしょうか。
だからこそ、子どもが夏休みを満喫できるようにこの通知表を慎重に取り扱うことが大切なのです。お母さんのちょっとした工夫で、子どもの自己肯定感UP、やる気UPにつなげましょう。
通知表を子どもに見せる前に、考えてほしいことがあります。
①子どもの反応を想像してみる。
冷静に受け止められそうですか?それとも、ショックを受けそうですか?
冷静に受け止められそうですか?それとも、ショックを受けそうですか?
②子どもの反応に対して、お母さんがどんな対応をするか。
お母さんは落ち着いて対応できますか?
お母さんは落ち着いて対応できますか?
通知表を見せる前にこれらの子どもの反応について想像し、子どもがストレスにならないように対応していくことが重要です。
2.斜線だらけの通知表。息子の場合…
不登校だった小4の息子の通知表は、その評価欄はすべて斜線。「通信欄」には、誰にでも書ける紋切り型の登校を促すパソコン文字。
覚悟はしていました。しかしながら、斜線だらけの成績表を手にしたとき、息子は絶句!固まってしまいました。
「こんなもの、見ない方が良かった。」
なぜなら、学校から求められた提出物はほぼ提出し、たまに登校した際に単元テストを受け、その点数は十分なものだったのです。努力は評価されていると信じていました。
当時、息子は教室とは別棟の専用ルームでカウンセリングを受けた後、学校の管理職の勧めで短い時間図書室で過ごせるようになっていました。
本を貸し出してもらい、図書室を訪れてくれる先生とおしゃべりをしたり、大好きな読書をしたりして過ごす…。楽しかったと思います。
やがて、担任から膨大な「授業プリント」や「単元テスト」を短い時間にこなすように指示されるようになりました。その場にいた先生がすぐさま採点して返却してくれることが続きました。
採点くださった先生たちからは「すごいね。」「勉強が好きなんだね。」と褒めてもらい、本人は悪い気はしていなかったと思います。
そんな中での斜線だらけの通知表でした。不登校になる前の通知表とは全く別物です。
私の本音は、
「これをもらった子どもの気持ちを考えて欲しい。」
「これをもらった子どもの気持ちを考えて欲しい。」
「『学校へいってもいいかな』と子どもに思わせるような通知表は書けないのかしら…。」
学校の立場は、
「授業を受けていないので、評価できませんから。」
「授業を受けていないので、評価できませんから。」
埋められない平行線に、子どもだけでなく母である私もイライラしたことを今でもはっきり覚えています。
3.発達障害・グレーゾーンの子ども対応で考慮すべきこととは?
ストレスいっぱいの特性のある子どもに「通知表」を見せるとき、子どものショックを減らしてあげたいと思うのはあたりまえのことです。「できればこの経験を糧に成長して欲しい」と思うのが親心ですよね。
その通知表の扱いについて考慮してあげて欲しいことがあります。
① 子どもの発達特性と性格
② 子どもの今の心身の状態(不登校の段階)
③ 学校の状況(サポート)や関係
④ 人的資源(子どもが、現在信頼している人がどの程度いるか。すぐにコンタクトが可能か。
これらのすべてのことを考慮して即座に行動できるのは、お医者さんでも、学校の先生でもカウンセラーでもありません。世界中でただひとり!お母さんしかいないのです。
4.子どもショックを防ぎ、子どもの自己肯定感とやる気をUPさせるテクニック
通知表の扱いについて、子どもの自己肯定感とやる気をUPさせるテクニックがあります。
◆①子どもに通知表を見せない方がよい場合
子どもが、今「学校へ行けない」「教室で学んでいない」というストレスが大きすぎる場合、子どもの自尊心はボロボロになっています。この段階では、いまだ体調が優れず、笑顔が少なく、家族間の会話を楽しめないことがほとんど。
このような場合には、「通知表」という不意の「学校からの登校刺激」に対して、過剰に反応してしまう可能性を考慮しなければなりません。
パニックを起こすと、パニックを起こしたことも含めてネガティブな記憶となり、また子どもを苦しめてしまいます。こうなると、不登校の解決までの時間がさらに長くなってしまいます。
こんな場合、兄弟姉妹・テレビなどのメディアから「通知表」があることに気づき、子どもが自分から「通知表は?」と尋ねてくるまでそっとしてあげる方が良いように思います。
◆②通知表を見るかどうかの選択は、お子さんに委ねましょう
通知表は、お母さんが見せるのではなく、子どもが見たいという子どもの意思を尊重することが大切です。「見せられた」のではなく、子ども自らが「見ることを選択」することが重要なのです。
これがお子さんの心の準備です。
お母さんは、深呼吸で呼吸を整えてから笑顔で一言。「通知表あるけど、見る?」で話を切り出しましょう。
子どもが「うん」と言ったら、そこで手渡し。
「いらない」答えたら、「あっ、そう。」で、通知表は見せません。
「いらない」答えたら、「あっ、そう。」で、通知表は見せません。
子どもが通知表を手にしたら、お母さんは子どもの反応を見て、言葉を続けます。
◆③子どもが通知表をみてショックを隠しきれない場合のお母さんの言葉かけ
子どもが、ショックを受けている場合には、
「評価なんて、気にしなくていいよ。今の評価なんてたいしたことじゃないから。あなたはまずゆっくり身体を休めて元気になることが一番だよ。」
「評価なんて、気にしなくていいよ。今の評価なんてたいしたことじゃないから。あなたはまずゆっくり身体を休めて元気になることが一番だよ。」
子どもが「こんなものいらないや」など、否定的な言葉を口にしたときや、破いてしまったときなどには、決して叱ったりせず、一旦子どもの気持ちを受け止めてあげることが大切です。
「そうだね。あなたがんばっているものね。」
低学年のお子さんであれば、やさしくハグをしてあげてください。
「私は、あなたのことが大好きなのよ。」
「あなたはあなたのままでいいんだよ。それが一番大事なこと。」
ちなみに私の場合、自分のショックを隠し、笑い飛ばしたように記憶しています。(顔は引きつっていたかもしれませんが・・・)
「学校があなたのことを分からないのね。気にしなくていいよ。」
今から思えば、「あなたの苦しさもがんばっていることも、お母さんが一番よく知ってるよ。」と付け加えてあげればよかったとちょっと自省しています。
◆④ちょっと準備が必要。だけど究極のマル秘テクニック
究極のマル秘テクニックをご紹介しましょう。
まず、あらかじめ通知表のコピーを取っておきます。子どもに見せるのは、このコピーした通知表の方です。
次に、斜線や「未」などと記入してあるところに、お母さんが、赤ペンですごくいい評価を記入します。全部、「最高評価:よくできる」で良いのです。「所見欄(気がついたところ)」などには、お子さんの良いところや頑張っているところを付箋紙などに書いて貼りましょう。
子どもには満面の笑顔で手渡してあげてください。
「あなたは学校に行っていないから、お母さんが先生のかわりに『通知表』作ってあげたよ。」
「あなたは学校に行っていないから、お母さんが先生のかわりに『通知表』作ってあげたよ。」
お子さんがその通知表を見ているときに、 「〇〇(子どもの名前)、毎日本当にがんばっているもんね。お母さん、よく知っているよ。」と言ってあげてください。
このタイミングで、子どもの大好きなおやつや飲み物が出てきたら、本当に最高ですよね。
いかがでしたか?子どもは、「お母さんは自分を見ていてくれている。」そう信じることができるだけで、自己肯定感もやる気もUPするのです。
お母さんのいるところが子どもの一番の「安心・安全な場」。そうであり続けることが何よりも大切なことなのです。
執筆者:青山 明生
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)