登校渋りを繰り返す子どもに、毎日のように休ませることを許していいものなのか、判断に悩み困ることはありませんか。繰り返す登校渋りから見出した、子どもの行動から学校休ませる判断基準と、休んだ日の過ごし方をご紹介します。
1.学校行かせる?休ませる?の判断に苦しんでいませんか。
子どもの登校渋りが頻繁に起こると、なんとか学校へ行かせるか、それとも休ませるか…。
判断に悩む時はありませんか。
無理をさせるのは良くないと分かっていても、欠席が続くことで学力の遅れが心配になったり、休むことをOKしてしまうと「休み癖が付いて不登校になってしまうのではないか」と、不安になりますよね。
我が家でも、大人の心配や不安な気持ちが先走って、「学校休んで良いよ」となかなか言ってあげられなかったり、子どもがハッキリ意思表示をしない様子にイライラしてしまうなど、辛い経験がたくさんありました。
できれば学校へ行ってほしいと思ってしまうものですが、子ども自身は限界になっていることがあります。
子どもにこんな様子が表れたら休ませよう!と、繰り返される登校渋りの経験から私が見出した『学校を休む基準』を決めたことと、休んでしまった日の過ごし方を見直したことで、登校できる日が増えていった記録をご紹介します。

2.「学校行く」と言いながらの登校渋りに、イライラしていました
小5の娘は、進級してからお友達と待ち合わせをして登校していました。
順調に感じていた1学期の半ば頃、だんだんと支度が遅くなり、気付くとお友達の家まで送って行く日々になっていました。
それでもしばらくは学校へ行けていたのですが、次第に家を出る時間になると更に支度のスピードが落ち、遅刻して行くようになっていきました。
「学校どうする?」と聞くと、「行く!」と答える。
その言葉を信じて支度を手伝い、一緒に玄関まで行く。
ところがそこで急に靴を履かなかったり、ランドセルを持とうとしなかったり、後ずさりをすることもありました。
再度、「学校行くんだよね?」と聞けば、「行く!」と答える。
でも行動は真逆で、私はついイライラしてしまい、 「学校行きたくないならハッキリ行きたくない!って言えばいいじゃない!!」と怒ってしまうこともありました。
こうなると結局は、学校に欠席の連絡をします。
学校を休むことになって一息付くとき、「今日も学校へ行けなかった」という悲しい気持ちや、このまま不登校になってしまうのではないかとういう不安と、それまでの子どもの対応の疲れに襲われ、朝からヘトヘトになっていました。

3.子どもの様子からは分かりづらい登校渋りの原因
「学校行く」と言うのに、なぜ登校渋りが増えていくのか。
子どもの表面的な言葉や行動だけではわからないことは多くあります。
子どもの言葉に振り回されるのではなく、発達障害グレーゾーンの特性を理解していく必要があります。
①学校に行くだけで疲れている
学校は、ただ勉強してくる場所ではありません。
お友達や先生との関わり合い、高学年になるとクラブや委員会など、学校の中でも役割が増え、学校生活は常に刺激を受けています。
発達障害グレーゾーンの子どもは、様々なことを敏感に感じ取りやすい特性があるので、その一つ一つに脳が反応をし、気づかないうちに脳が疲れてしまうこともあります。
脳が限界に達すると、「これ以上のストレスを受けると危険だ」と、行動にブレーキがかかってしまうのです。
その結果が行き渋りとして現れます。
②本当は学校に行かなければいけないと思うからこそ苦しい
「学校は行かなきゃいけないところ」ということも分かっているし、みんなと同じように学校へ行きたいのに、行きたくない気持ちの方が大きくなってしまう。
はっきりした理由が分からないまま、登校渋りが現れる場合は、子ども自身もとても苦しんでいます。
そこで叱られてしまうと、「学校へ行けない自分はダメな子ども」と、更に自己肯定感を下げてしまい、登校渋りからの回復を遠ざけてしまいます。
➂子ども自身も、行きたくない理由がわからない
子ども自身も理由がわからなかったり、または言葉にすることができずに苦しんでいることがあります。
自分自身の中で整理がついていなかったり、親に心配をかけたくないという思いもあったりするかもしれません。
経験が少ない子どもにとっては、自分の気持ちを整理して言語化するのはとても難しいことなのです。
大人でも、本当の自分の思いが分からなくなる時もありますよね。
その結果、学校へ行きたくない理由を聞いても、はっきりとしないことも多いのです。

4.学校を休ませる判断の基準を決めました
発達障害グレーゾーンの子どもの特性を学んだ私は、子どもの登校渋りの行動を観察し『休ませる基準』を決めることにしました。
たとえば、朝の支度がスムーズにいかなくても、声掛けによって自分で靴を履いたり、家を出るようであれば、母子登校しました。
しかし家を出るときになって動けなくなってしまったり、後ずさりしたときは、「脳もストップしている状態」と考え、学校を休む判断をするようにしました。
「学校に行かなくて済むことを学んでしまうのではないか…」と不安になるものですが、まずは子どもが元気になることが大切!と考えましょう。
この時、学校を休む事をOKすることに加え、それまでの行動をしっかり肯定することがポイントです。
「学校頑張って行こうとしてたんだね」
「朝の支度までちゃんとできたね」
「玄関まで行けたね」
行けなかったけど、自分の行動は認めてもらえたんだという安心に繋がり、その先の休み癖を防ぐことに繋がります。
次に、学校を休んだ日は、できるだけ「ストレスゼロ」で過ごせるようにしました。
行かなければいけない学校を休んだのだから、
「ゲームはダメ」
「学校でやるところを家でやろう」
「学校へ行けなかった分勉強しなさい!」
などと責め立てるのではなく、ゲームをしたり、工作に没頭したり、一緒に会話をしながらお手伝いをしてみたり、子どもが「楽しい」と思って過ごせるように心がけました。
また、学校へ行けない理由は追及しないようにしました。
子ども自身が整理できず言葉にできないこともあるし、理由を追及することで、ネガティブなことを考えることにもなります。
少し聞いてわからない時は、「行きたくないんだね」と共感しておきます。
何かのきっかけで、学校へ行きたくない理由を少し話してくることもあるかもしません。
その時は、「そうなんだね」と聞き入れ、「他にはある?」と聞いてみます。
自分の気持ちを外へ出すことで整理ができてくるのか、少しずつ話してくることもあります。
肯定と共感の繰り返しで、子どもの脳のストレスを無くし、心が回復することに重点を置きました。

5.母子登校しながら、登校できる日が増えていきました
「子どもの行動がストップしてしまった日は学校を休む」、
「休んだ日は楽しく過ごす」
ことを繰り返すことで、母子登校でありつつも登校できる日が増えていきました。
「学校好きじゃないけど行く」
「行きたくはないけど行く」
嫌なことが完全に解消できたわけではありませんが、自分の気持ちを整理しながら登校できるようになったのだと思います。
自分の気持ちを言葉にしたり、行動に移すということには、実はとても脳を使う作業です。
これは将来にもつながるとても大切なスキルなのです。
学校に行けないことは、決して悪いことばかりではありません。
おうちで脳を発達させるチャンスでもあります。
脳のストレスが減り、心が回復すると、また学校へ行けるようになります!
登校渋りが続いてしまう時は親も不安になってしまいますが、そんな時こそ「学校を休ませる」という判断をあまり恐れずに。
肯定の声掛けをし、おうちでストレスフリーに過ごして、元気を取り戻してあげてください。

執筆者: 野口 れいこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー