片付けができない子どもに悩むママへ。実行機能・見通し・視覚化の視点から片付けが苦手な理由を解説し、小学校低学年でも楽しみながら取り組めるお家療育遊びを実体験と専門家視点で紹介します。
1.「片付けて」って、今日何回言っただろう…。
「ちゃんと片付けて!」
気づけば、毎日同じ言葉を繰り返していませんか?
- ランドセルは玄関に置きっぱなし。
- 脱いだ服は床の上。
- 学校のプリントは机の中でぐちゃぐちゃ…。
親としては「もう小学生なんだからちゃんとしてほしい」と思ってしまいますよね。
私はこれまで、発達科学コミュニケーション(発コミュ)を通して、多くの保護者の方から「何度言っても片付けてくれないんです」という相談を受けてきました。
そして、様子を一緒に見ていく中で気づいたのは、片付けが苦手な子は「やる気がない」のではなく、「片付けるために必要な力」がまだ育っている途中であることが少なくない、ということです。
この記事では、お家療育シリーズ第1弾として、片付けが苦手な子どもの背景を専門的な視点から解説するとともに、実際のご家庭での体験談も交えながら、親子で楽しく取り組めるお家療育遊びをご紹介します。

2.何度言っても片付けられない…それは「やる気」の問題ではないかもしれません
片付けが苦手な子を見ていると「だらしがない」と思ってしまうことがあります。
でも、実際には子ども自身も
「どこから始めればいいのか分からない」
「途中で何をしていたか分からなくなる」
「最後までできない」
と困っていることが少なくありません。
特に発達障害グレーゾーンや自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある子どもは、片付けに必要な力がまだ十分に育っていないことがあります。
大切なのは、「できない子」と決めつけるのではなく、「どんな力が育つ途中なのかな?」という視点で見てあげることです。

3.体験談|毎日「片付けて!」と怒っていたママが気づいたこと
ある生徒さんの体験談をご紹介します。
Aさんは、小学生のお子さんがなかなか片付けられないことに、ずっと悩んでいました。
- ランドセルは玄関に置きっぱなし。
- 脱いだ服は床に置いたまま。
- 学校のプリントは机の中でぐちゃぐちゃ。
何度「片付けて」と声をかけても、その場では少し動くだけで、翌日にはまた元通りだったそうです。
そのたびにAさんは、つい感情的になってしまっていました。
しかし、その言葉でお子さんが片付けられるようになることはありませんでした。
それどころか、片付けそのものを嫌がるようになり、親子で言い合いになる日も増えていったそうです。
そんな時に発コミュを学び、子どもの発達特性について理解を深めていく中で、お子さんは「片付けたくない」のではなく、「何から始めればいいのか分からなかった」のだと気づいたそうです。
それからAさんは、「全部片付けて!」と伝えるのではなく、「まずランドセルを棚に置こう」「次はプリントだけ片付けよう」と、一つずつ分かりやすく伝えるようにしました。
さらに、収納場所に写真やラベルを貼ったり、「お片付けミッション」としてゲーム感覚で取り組んだりと、お子さんが見通しを持ちやすい工夫も取り入れていきました。
すると少しずつ、「ランドセルはここだよね。」「次はこれを戻す!」と、自分から動き始める姿が増えていったそうです。
Aさんは、「片付けられない子」と考えるのではなく、「片付ける力を育てている途中なんだ」と見られるようになり、肩の力がすっと軽くなったと話してくださいました。
この経験を通してAさんは、子どもに必要だったのは、「もっと頑張らせること」ではなく、「片付けやすい環境と、小さな成功体験を積み重ねること」だったのだと実感したそうです。

4.片付けには「実行機能」「見通し」「視覚化」の力が必要です
親からすると、「片付ける」という行動は簡単なことに思えます。
でも子どもにとっては、実はたくさんの力を同時に使う、とても複雑な作業です。
例えば、おもちゃを片付けるだけでも
- 何から片付けるか決める
- 使う物と使わない物を分ける
- 元の場所を思い出す
- 最後までやり切る
という流れがあります。
これらをコントロールしているのが「実行機能」と呼ばれる力です。
実行機能は、よく「脳の司令塔」に例えられます。
司令塔が育っている途中の子は、「片付けて」と言われても
「何から始めればいいの?」
「途中で違う物が気になった」
「あと少しで終わるのに集中が切れた」
ということが起こりやすいのです。
また、「部屋を片付けてね」という言葉だけでは、
- どこから始める?
- どこまでやれば終わり?
- 何分くらいかかる?
という見通しを持つことが難しい子もいます。
そんな時に役立つのが「視覚化」です。
例えば
- ランドセルを置く場所を決める
- 収納ケースに写真やラベルを貼る
- 学校の準備リストを見える場所に貼る
など、「目で見て分かる」工夫をすることで、子どもは安心して行動しやすくなります。

5.親子で楽しみながらできる|片付ける力を育てるお家療育遊び5選
ここでご紹介するのは、実際に小学生でも楽しみながら取り組める遊びです。
「片付けの練習」をするのではなく、片付けに必要な『実行機能』を遊びの中で自然と育てていきましょう。
① お片付けミッションゲーム
「青い物を5個片付けよう!」
「机の上にある文房具だけ戻そう!」
など、一つずつミッションを出します。
一度に「全部片付けて」と伝えるよりも、やることが明確になるため、取り組みやすくなります。
(育つ力)
- 実行機能
- 見通し
- 最後までやり切る力
(関わり方のポイント)
「全部終わったね!」ではなく、「1つ目クリア〜!」と、小さな成功をたくさん褒めてあげましょう。
② タイマー片付けチャレンジ
タイマーを3〜5分にセットして「何個元の場所へ戻せるかな?」とゲーム感覚で取り組みます。
時間が見えることで、「あとどれくらいがんばれば終わるか」が分かり、見通しを持ちやすくなります。
砂時計を使用するなど、子どもが視覚的に残り時間がわかりやすい工夫をしてもいいと思います。
(育つ力)
- 時間の見通し
- 集中力
- 実行機能
(関わり方のポイント)
競争ではなく、「昨日より2個多く片付けられたね」と成長に目を向けてあげることが大切です。
③ お買い物&収納ミッション
買い物から帰ったら「牛乳は冷蔵庫」「お菓子は引き出し」など、決まった場所へ戻すお手伝いをしてもらいます。
生活の中で自然に「物には戻る場所がある」という感覚を育てられます。
(育つ力)
- 整理整頓
- 分類
- 実行機能
(関わり方のポイント)
日常生活そのものが、お家療育になります。
いろんな面で『ミッション』を発令し、生活を遊びに変えてしまいましょう!
日常生活の中にも片付ける力を育てる遊びはたくさんあります。
大切なのは、「片付けの練習」をさせることではありません。
遊びや生活を通して、「考える」「順番を決める」「最後までやり切る」という経験を積み重ねることです。
親が「この遊びではどんな力が育っているのかな?」という視点を持つだけで、何気ない日常も立派なお家療育になります。
ぜひ親子で楽しみながら、「片付ける力」を育てるお家療育に取り組んでみてください。
次回のお家療育シリーズでは、『何度言っても忘れてしまう子』について、実体験を交えながらご紹介します。
お楽しみに!






