不安が強い子どもが付き添い登校から抜け出すためには、どんなに言ってもママの言葉が一番!影響します。不安が強い子どもを育てるのにどんな声かけが必要なのか?迷っているママはポジティブワードへの変換テクニックを学んで活用してみてくださいね。
1.分離不安で付き添い登校の経験者です
わが家の息子は元々、繊細で不安が強いタイプでした。小2の冬にその不安が爆発し、一人で登校できなくなりました。
当時仕事をしていた私は、一日中、学校で付き添うという選択ができず、朝は息子を教室まで送り届け、先生にバトンタッチしてから仕事に向かうようになりました。
不安が強い息子は、午前中を学校で過ごすだけで精一杯だったので、いつも昼頃には早退します。
その時間に合わせ、会社の昼休みの1時間を使って学校まで息子を迎えに行き、家に連れ帰って昼食を出し、それから午後の仕事に間に合うように会社に戻る…そんな毎日を、数ヶ月送っていました。
私の昼食は、送迎中の車の中で済ませることがほとんど…。
本当は私だって、会社の昼休みに同僚とランチに行きたい!
朝は、子供を送り出したら少しゆっくり自分の時間が欲しい!
しかし当時は常に時間に追われていて、そんなことは叶いませんでした。
毎日疲れていて、子どもに対する言葉も強くなってしまうことも多くありました。
子どもはママのそんな姿をよく見ていて、ママのイライラや態度に敏感に反応します。
特に、繊細な分離不安っ子は相手の気持ちを感じやすいので、ママがイライラして疲れていると
「ぼくが一人で学校に行けないせいだ」
「私が悪いんだ」
自分自身を責めてしまうのです。こうなると、ママもぴりぴり、子どもはしょんぼり、ますます悪循環になってしまいます。
2.不安が強い子に育ってしまう要因とは?
子どもの持つ不安感は、実は生きていくうえではとても大事な感情なんです。
不安感があるお子さんはケガをしそうな危険な場所には行かないし、また見知らぬ人には警戒し付いて行ったり関わることはしません。
そうやって自分の危険を回避することができます。
なので決して悪いものではないのですが、周りを心配させてしまうくらい度が過ぎたものや、本人も不安があるが故に常に緊張状態でストレスを抱えてしまうようでしたら生き辛さに繋がってしまいます。
ではどこからその不安感は起こってしまうのでしょうか?
それにはいくつかの要因が考えられます。
1つは、生まれ持った気質によるもの
これは遺伝などにより不安体質で生まれてしまうことがあるようです。
2つ目は、環境が影響してしまっていること。
失敗体験や大きなショックを受けたことでトラウマになってしまったり、引っ越しや進級進学などの生活環境が一変したり、または親のネガティブ思考が強く、その口ぐせなどから子どもに影響を与えてしまうなどが考えられます。
このように自分の意思とは関係ないところで、ほとんどが無意識のうちにそうなってしまっている、ということを理解してあげてください。
子どものうちは困っている、という感覚はあまりないかもしれませんが、そのままにしていると大人になった時に困りごとへと発展していく可能性はあります。
このように不安の強い子どもたちは新学期が始まった頃や、徐々に学校生活に慣れていった頃に不安やストレスを抱えやすく疲れてしまいます。
それは他の子たちよりもたくさん努力して学校生活に馴染もうと頑張っているからです。そのため様々な影響が他の子たちよりも出てしまいます。
不安の強さから一人で登校できず、ママが学校まで付き添っている家庭もあるでしょう。
毎日の付き添い登校、子どものためとは分かっていても、本当に大変です。
朝から子どもの様子に気を配り
「今日は学校に行けるかな」
「時間通りに登校できるかな」
「一人で歩いて行けるかな」
「やっぱり今日も付き添いか」
いざ学校に着くと
「校門でバイバイできるかな」
「下駄箱まで?教室まで?」
「1時間目まで?午前中ずっと?」
「給食も一緒に食べるの」
「午後も付き添って結局下校まで一緒」
こうなると、仕事をしているママは休まないといけないし、一日中付き添うことで自分の時間も取れないので、 ママ達もの心も体も疲れ果ててしまいますよね。
毎日子どもの状態に気を配り、その日の様子で変わる付き添い状況。
「どうしてうちの子だけ」
「一人で行ける日はくるの?」
と、先が見えない現状を不安に思い、辛く感じてしまうママも多いと思いますが、そんな時こそ、ママ自身を見つめ直して欲しいのです。
子どもが迷走し行き詰まっている時は、親の言動に注目し、子どものエネルギーを削いでいないかどうか確認して欲しいと思います。
それはつまり逆に言うと、言葉の力で生きる力を与えることができる!とも言えるのです。
言葉の力については次で説明していきます!
3.子どもにかける言葉は「生きる力」になる
母子分離不安が強くいつも一緒にいると話す機会が多くあると思います(それがイライラの原因にもなってしまうのですが…)。そこで子どもにかける言葉を少し工夫して変換して欲しいと思います。
なぜならば言葉には子どもが「生きるための力」=「生きる力」を伸ばす力があるからです!
子どもが嬉しいと感じる言葉をくり返し伝えることで生きる力を伸ばす効果があると言われています。それは時々言われてもあまり効果はなく、日々のコミュニケーションの中で多くあればあるほど培われるのです。
どうしても私たち親は、子どもの行動の結果について「褒める」ことはできても、その過程を褒めることは意識しないとできません。
それはどういうことかと言うと、絵画コンクールで入賞したとします。その時に「入賞してすごいね!」は結果を褒めていることになります。
子どもに生きる力を授けたいと思うならば、結果ではなくその過程を褒めてあげるのがとても重要です!
結果だけを褒めても子どもに自信はつかない!ということが分かっていますので、子ども自身の能力や行動のプロセスを褒めることが生きる力を授けるキーとなります。
また、普段の親子の会話の中で
✓子どもに考える余地を与えているか?
✓子どもの気持ちを満たせすことができているか?
✓子どもに決定権を与えているか?
なども大切なポイントになります。矢継ぎ早に次から次に質問をしたり、先回りして親が決めてしまうようなことはしていませんか?
子どもに選択肢を与えて決めてもらったり、どうしたいか考えて決めてもらうことをしていますか。
子どもに「ありがとう」「大好きだよ」「助かるよ」「うれしいな」などの気持ちを満たせるような言葉かけをしていますか。
子どもにかける言葉としてはこのようなことを意識し、会話をすることで子どもは自己肯定感も高まり自信もついてきます。
日々の声かけを通して、分離不安っ子に、自信や一歩踏みだす勇気をつけてあげましょう。
では、具体的にどのように声かけの変換をすれば良いのか、ご紹介しますね。
4.子どもに安心感を与えるポジティブワードに変換!
不安の強い子どもにかける言葉を意識して、わが子に一歩踏み出す勇気を与えられるようなポジティブワードへの変換の仕方をご紹介します。
実際にポジティブ変換をどうやってしていくのかお伝えしていきますね!
♦①変換の仕方
難しく考えることはなく、子どもに合った伝わりやすい声かけを見つけたり、ママのものの見方を少し変えてみて、親子のコミュニケーションを実践すれば良いのです。
いくつか、変換の例を紹介します。
・今日も付き添い登校か→「いい運動になるね。一緒に歩こう!」
・付き添い授業に疲れる→「貴重な経験をありがとう。一緒に勉強しちゃおう!」
・給食まで一緒→「ママもクラスの子と仲良くなったよ!」
・子どもがベッタリ→「親子の時間を楽しもうね!」
・でもさ〜→「うんうん。そっか~、そう思うんだね。」
・こうしなさい!→「ママはこう思うんだけど、どう思う?」
・今日は学校行くの?→「行く、遅刻、早退、休む、どれにしようか?」
・できて当たり前→「よく頑張っているね!」
・ここができていないよ→「ここまでできたね!」
・もっと自信を持って→「ほら、こんなにできているよ!」
いかがですか?
ここに挙げたのはほんの一例ですが、このようにものの見方を少し変えることで、ママ自身の気持ちも、子どもにかける言葉も変えることができます。
例えば、子どもがテストで80点をとったとき、できなかった20点に注目するのと、とれた80点に注目するのとでは、かける言葉が全く違いますよね。
ポジティブな変換は、できていることにフォーカスして、プラスの部分を見ることです。
すると、声かけの内容も、自然と肯定的なものが増えていきます。それが、子どもの自信を伸ばすことにつながります。
♦②子どもの意見を尊重する
また、子どもの行動を促したい時は「〜しなさい」ではなく
「〜しよう」
「〜した方がいいと思うんだけど、どう?」
など、子どもの意見を尊重して、子どもに考える時間を与えることが大切です。
親が自分の意見を押し付けるのではなく、子どもの気持ちを尊重することで、子どもは次第に自分で考えて動けるようになり、それが一歩踏みだす勇気となります。
私も、子どもの付き添い登校が続き、毎日しんどい時に、この声かけの変換を親子の日々の会話に取り入れました。すると、私自身の気持ちも前向きになり、息子にも余裕を持って接することができるようになりました。
自分の頑張りも、息子の頑張りも認められるようになったのです。
私の思考の変化から、息子に対する言葉かけが変わり、それに伴い、息子の気持ちも安定してくるのが目に見えて分かりました。不安感が少なくなり、付き添わなくても登校できる日が増えていきました。
プラスにフォーカスした言葉が、分離不安の息子の背中を押すことにつながったのです。
これは、付き添い登校だけでなく、これからの長い人生を子どもが自分の足で、自分の力で歩んでいくときの基盤にもなります。
ぜひこのポジティブ変換を実践し、親子でものの見方を変えることにチャレンジしてみてください。ママの前向きな変換は、必ず子どもに届きます!
付き添い登校を頑張る親子が、その時間を親子の成長に変えて、笑顔で過ごせる毎日になりますように。
執筆者:長谷川 まこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)