朝だけ「学校行きたくない」「園に行きたくない」と泣くお子さんを持つ方へ。なぜ子どもは、行けば楽しそうなのに朝だけ嫌がるのでしょうか?登園・登校しぶりの裏にある子どもの『本当の気持ち』と、親子が少し楽になる4つのステップをお伝えします。
1.朝だけ行きしぶる、『行けば楽しい』は本当?
毎朝、子どもが「学校行きたくない」「園に行きたくない」と泣き叫ぶ。
何とか説得して、あるいは強引に背中を押して送り届け、ようやくホッと一息つく毎日…。
そんな時、先生から
「学校に来ちゃえば元気ですよ!」
「園に来ちゃえば楽しく遊んでいますよ!」
「他の子と変わらず普通に過ごしていますよ」
と言われると、あんなに朝行きたくないと言っていたのは何だったんだろう?と不思議に思いながらも、どこか安心しますよね。
「うちの子、大丈夫だったんだ、そのうち朝も平気になるかな」と。
しかし、その安心は本当に大丈夫でしょうか?
実は、先生の言葉をそのまま受け取ってしまうのは、とても危険なんです。
なぜなら、先生が言う「元気で楽しんでいる姿」の裏には、子どもが『頑張って、我慢して、無理に元気に振る舞っている』だけという可能性があるからです。
子どもが登校・登園を嫌がるのは、単なる甘えではありません。
それは、子どもからの大切なSOSだと知っておいてほしいのです。

2.「行けば楽しい」を鵜呑みにして見過ごした息子のSOS
私も子どものSOSに気づかずに無理やり行かせてしまった経験があります。
息子が5歳の頃、毎朝「幼稚園行きたくない!」と泣いて家の中を逃げ回り、お着替えを拒んでいました。
私は、共感したりなだめたりしながら、なんとか着替えさせ、半ば強制的に園バスに乗せていました。
しかしお迎えに行くと、笑顔でお友達とおしゃべりしている姿。
先生に「朝はとても行きしぶっている」と相談してみても、
「来てからは楽しそうにしていますよ。」
「お友達とも元気に遊んでいます!お母さん、頑張って連れてきてくださいね。」
そんな風に言われると「園では楽しく過ごせてるんだ」と私は少し安心していました。
でも同時に
「じゃあ、どうしてあんなに朝は嫌がるの?このまま無理やり連れて行ってて、本当に大丈夫なの?」
と先生との感じ方の温度差にモヤモヤしていました。
そうやって様子を見ているうちに、行きしぶりは悪化していきました。
以前は「○○ちゃんがこんなことしてた!」とか「○○ちゃんはこのアニメが好きらしい」など幼稚園のことをたくさん話してくれていた息子が、あまり話さなくなりました。
家でも笑顔が少なくなり、朝の嫌がり方はどんどん激しくなっていきました。
こんな息子の様子を見て私は、「これは普通じゃない!このまま行かせてはいけない!」とようやく息子のSOSに気がついたのです。

3.学校や園で楽しそうに見える本当の理由:過剰適応とは
では、なぜ「行きたくない」と言っていた子どもが、一度学校や園に入ってしまえば「元気に」見えるのでしょうか。
◆我慢して頑張りすぎてしまう「良い子」
実は、子どもが『行けば楽しい』のに朝だけ行きたくないと嫌がるのは、過剰適応のサインかもしれません。
過剰適応とは、本当は不安や緊張を感じているのに、それを周りに悟られまいと頑張って笑顔を作ったり、元気に振る舞ったりすること。
子どもがまだ小さい場合は、子ども自身も自分の気持ちに気づかないまま無意識にそう振舞っている場合もあります。
真面目で頑張り屋の子、繊細な子ほどなりやすい傾向があります。
短期的には「安心しているように見える」かもしれませんが、長期的には心にも体にも大きな負担がかかります。
そして、そのストレスが「朝の時間」に爆発するのです。
「行きたくない」「お腹が痛い」というサインは、子どもなりに「もう限界かも」と伝えようとしているSOS。
◆見逃してはいけない子どものこんなSOSに注意
・サイン1:朝、学校や園の話題になるとお腹や頭が痛くなる
「頭が痛い」「お腹が痛い」など身体の不調を訴えるのは、心で抱えた不安が身体に現れている証拠です。
特に朝だけ起こる場合は要注意です。
・サイン2:いつもより言葉数が少ない、元気がない
帰宅後や週末など家で過ごしている時に、口数が減ったり、ぼーっとしている時間が増えたりしていませんか?
学校や園で張りつめていた緊張の糸が、家でようやく緩んでいるのかもしれません。
・サイン3:週末や長期休み明けの朝が特に辛そう
休みが続いた後は、特に不安が強まりやすいタイミングです。
もし週明けや休み明けの行きしぶりがひどい場合は、学校や園という場所に対する根本的な不安が潜んでいる可能性があります。
これらのサインを「朝だけだから大丈夫」「行ってしまえば楽しそうだから安心」と片付けてしまうと、子どもはますます無理を重ねます。
やがてエネルギーが尽きて、動けなくなってしまうこともあるのです。

4.親ができること!朝だけ登校・登園しぶりの子どもに寄り添う4ステップ
もし、お子さんが「行きたくない」というSOSを出したら、無理やり連れて行く前に、ぜひこれからお伝えする4つのステップを試してみてください。
ステップ1:まずは「聞くこと」から始める
子どもが「行きたくない」と訴えた時、親は「何で行きたくないのか?」などの原因追及をしたくなりますが、正直何で行きたくないか分からないという子どももいます。
まずはその気持ちをただ受け止めてあげることが何より大切です。
「そっか、行きたくないんだね」「そういう気持ちになんだね」とひたすら相槌を打ち、オウム返しを心掛けましょう。
子どもが話すことに対して「それは違うよ」「こうしたらいいよ」などと言わず、聞き役に徹することが原則。
「ママに気持ちを受け止めてもらえた」という安心感が、子どもの心を解きほぐします。
ステップ2:正しい答えより「楽しい答え」を一緒に探す
子どもの気持ちを十分に聞いた後は、次にどうすればいいかを一緒に考えてみましょう。
「どうしたら少し楽になるかな?」と作戦会議をしてみてください。
ここで大事なのは「正しい答え」ではなく「楽しい答え」を一緒に探すことです。
例えば——
「今日は玄関まで“ほふく前進レース”で行ってみる?」
「今日は学校まで全部“さかさ言葉”でしゃべるルールにしよう!」
「今日は“スパイ任務”。誰にも気づかれずに教室まで行けるかな?」
「アザラシを地球温暖化から救うために、理科の授業だけ受けに行く?」
こんな風に、ちょっと非常識なくらいふざけた提案でも大丈夫。
大切なのは「やってみようかな」と子どもが少し笑顔になれる工夫です。
結果的に「今日はお休みする」となっても問題ありません。
その時は思い切って休んで、親子で楽しいことをして一緒に過ごすのも立派な選択肢です。
ステップ3:朝のルーティンを整える
朝の準備をゲーム感覚にする、朝食に子どもの好きなごはんを用意するなど、親子で「朝=楽しい時間」に変える工夫も有効です。
ステップ4:必要に応じて専門家の力も視野に
「行ってしまえば楽しんでいる」ように見える子どもの裏側には、実は大きなストレスが隠されています。
もし、親だけで抱えきれないと感じたら、無理をせず専門家の力を借りることも視野に入れてみましょう。
親だけで抱え込まず、スクールカウンセラーや児童相談所、小児科医などの専門家に相談することも大切です。
似た経験を持つ親のコミュニティで話すのも支えになります。

まとめ:小さなSOSに気づいてあげよう
「朝だけ登校しぶり」は、子どもの心が精一杯頑張っている証拠です。
「行けば楽しんでいるから大丈夫」という言葉に安心するのではなく、その裏にある本当の気持ちを受け止めてあげましょう。
親に気持ちを受け止めてもらえた安心感は、子どもに「また少し頑張ってみよう」という力を与えます。
無理に元気にさせる必要はありません。
小さなSOSを見逃さず、親子で一歩ずつ歩むことで、「行きたくない」と言っていた朝も、やがて「今日は少し挑戦してみようかな」と言える日がやってきますよ。
