学校行事を嫌いにさせない!不安を感じやすい子どもに母がかける勇気づけの言葉

どんなに練習しても学校行事などが苦手で運動会の当日は見学に…。わが子の事がもどかしく行事が嫌いでしたが、発コミュを始めてから、背中を押せる言葉をかけられるようになりました。勇気を与える言葉のかけ方をお伝えします。
 
 

1.「運動会こわい…」学校行事が苦手なわが子にとって運動会は地獄でした

 
 
うちの子は、母子分離不安があり、大人数の場所や学校での行事が得意ではありません。
 
 
そんな息子にとって、小さな頃から運動会は一大イベントでした。
 
 
当日までの練習は一生懸命取り組み、みんなと同じように上手にできるのに、いざ本番になると「こわい…行きたくない」と不安が爆発してしまうのです。
 
 
当日の朝、学校までは行くものの、いつもと違う運動会仕様のグランドを見ると校門から先に進めなくなってしまう。
 
 
なんとか校庭に入っても、みんなの輪に入れない。
 
 
クラスの列に並べない。
 
 
校庭の隅っこから、隠れるようにして、みんなが活躍する姿をじっと見ている。
 
 
そんな子でした。
 
 
「できるのにどうして行かないの?」
 
 
「みんな普通に参加しているのに、どうしてうちの子だけできないの?
 
 
以前の私には、息子のその行動が理解できませんでした。
 
 
いつも、そんな息子の姿を見ては、悲しみと怒りの感情でいっぱいになっていました。
 
 
運動会だけでなく、音楽会や学習発表会、学校の行事を迎えるたびに、できるのに行けない息子と、それをどうしてあげたらいいのか分からない私
 
 
だから私は学校の行事が嫌いでした。
 
 
息子にはきっとできないから…そんなふうに思っていました。
 
 
だけど、私が発達を学ぶことによって、息子のとっていた行動の理由や気持ちが、だんだんと分かるようになってきたのです。
 
 
 
 

2.分離不安っ子が大人数のイベントが苦手な理由

 
 
息子の困りごとを、私の手で何とかしてあげたい!私が息子の発達の専門家になりたい!
 
 
そんな想いから、発コミュ(発達科学コミュニケーション)を学び始めました。そして、息子の様々な行動の理由がよく分かるようになりました。
 
 
息子が大人数のイベント事を嫌がるのには、理由があったのです。それは、発達の特性によるものでした。
 
 
息子が持つ、母子分離不安について少し説明をします。
 
 
母子分離不安とは、子どもが母親など愛着対象から離れることに対し、不安を感じることです。
 
 
発達段階で誰でも経験するものですが、不安が長期間続き、腹痛・頭痛などの身体的症状や、精神的症状、さらに通園・通学拒否などが見られる場合、「分離不安症」と診断されることがあります。
 
 
母子分離不安の子の特性として、他の子に比べて過度な不安を感じやすいことがあります。
 
 
その特性から、日常生活において様々なことが大きな壁となっているのです。
 
 
・初めてのことが苦手
・急な予定変更が苦手
・見通しが立たないことが苦手
・大人数が苦手
・人前で何かをすることが苦手
・過去のネガティブな記憶を引きずりやすい
・感覚が過敏
・繊細で小さなことでも気になる
・人の目を過度に気にしてしまう
 
 
このような場面に遭遇すると、途端に大きな不安を感じてしまい、いつもならできていることでも、怖くなりできなくなってしまいます。
 
 
息子は、その特性と本人の気質から、運動会などの行事を「こわい」と感じていたのです。
 
 
 
 
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3.環境調整と勇気づけの言葉で後押しをする!

 
 
不安の強い息子が行事などのイベントに少しでも不安を減らして当日を迎えるには大きく分けて2つの視点からサポートしていきました。
 
 
1つは環境調整です。もう1つはママだからできる勇気づけの言葉での力です。それについて説明していきます。
 
 

◆①不安軽減には環境調整

 
 
初めてが苦手な息子が、当日安心して参加できるよう、見通しを立てられるように準備をしました。
 
 
事前に一緒に会場を下見して座席の位置を確認する。
 
当日のプログラムと出番を確認する。
 
天気などの関係で延期になった場合の流れを確認する。
 
感覚過敏があるため、大きな音が出ることや、人が大勢参加することを事前にしっかり伝える。
 
 
これらの情報を息子と共有することで、当日の流れや、変更になった場合の動きなどを確認することを徹底しました。
 
 
それにより息子は、以前よりも不安感なく、行事当日を迎えられるようになっていきました。
 
 

◆②共感する

 
 
一方で、息子の持つ特性として、大人数の行事や、人前でのパフォーマンスが苦手であること自体が、変わったわけではありません。それは、これからも息子自身が付き合っていかなければならない気質です。
 
 
その上で、どうしたら息子の一歩踏み出す勇気を引き出せるのか。
 
 
それには、ママの言葉の力が必要です。
 
 
環境を整えた上で、ポンっと子どもの背中を押してあげられる“勇気づけの言葉”をかけてあげましょう。
 
 
「ドキドキするよね。分かるよ。そのドキドキは一生懸命な証拠だよ。」
 
 
まずは、子どもの不安な気持ちに共感して寄り添うことです。
 
 
ママが自分の気持ちを分かってくれている、と感じることは、分離不安っ子に大きな安心を与えます。
 
 

◆③本人の今までの取り組みを自覚させて肯定する

 
 
「今まで頑張って練習してきた姿、ちゃんと知っているよ。すごくいっぱい練習したよね。とっても上手になったよね。」
 
 
次に、その日までの頑張りを本人に自覚させてあげることです。
 
 
行事当日を迎えると、子どもはどうしても目の前のことでいっぱいになってしまいます。
 
 
「どうしよう」という不安の方が大きくなってしまいます。
 
 
そんな時に、ママから『今日まで頑張ってきた姿』を言葉にしてもらえることで、その日まで取り組んできたことを冷静に思い出すことができます。
 
 
「そうだ、ぼくはできるんだ」と、自信が湧いてきます。
 
 

◆④背中を押す一言で勇気を引き出す

 
 
「最初の一歩の勇気。その勇気を出してごらん。大丈夫。楽しもう!」
 
 
最後は、迷っている子どもの背中をポンっと押してあげる勇気づけの言葉です。ドキドキするけど、初めの一歩を踏み出して、安心して楽しんできてほしい。
 
 
ママのその正直な気持ちを、子どもに伝えてあげてください。
 
 
見守ってくれるママがいる。そのことが、分離不安っ子が一歩踏み出す勇気につながります。
 
 
もちろん、そのときの状況や子どもの調子によって、どうしても難しい日もあるでしょう。
 
 
例え行けなかったからといって、子どものそれまでの頑張りがなくなる訳ではありません。
 
 
だけど、もし子どもが「行きたいのに一歩の勇気が出ない」「あと少しの自信が持てない」ようであれば、ママの声かけの力で子どもの背中を押してあげてください。
 
 
ママの後押しが、子どもの心を軽くしてくれます。
 
 
私の息子も運動会は、この”勇気づけの言葉”で走り出すことができました。
 
 
朝一番は、運動会独特の雰囲気と人の多さから少し不安が出て、クラスに合流するまでは時間がかかりました。
 
 
でも、背中を押す一言のおかげで、息子は自分で気持ちを整え、心の準備をして、自分の足で皆の列まで走っていきました。その後ろ姿の頼もしいこと! その後は、笑顔で全行程参加することができました。
 
 
私は、息子の楽しそうで誇らしげな様子が、何より嬉しかったです。息子の成長と勇気と底力を見れた一日でした。
 
 
息子の一歩は、私たち親子にとって大きな大きな一歩となりました。
 
 
ママの言葉で、踏み出せることがある。
 
ママの言葉が勇気になる。
 
ママの言葉ってすごいんです。
 
ママの言葉って偉大なんです。
 
 
ここぞというときに、わが子の背中をポンっと押してあげられる、そんな声かけの参考にしてみてください。
 
 
 
 
執筆者
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ
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