給食が食べられない娘!元々少食だけど学校で食べれないのは謎…。体は小さいけれど三姉妹みんな小さいし、遺伝⁈成長曲線内に入っているからと様子をみていましたが、学校給食が巨大な壁となって娘に立ちはだかりました。好き嫌いとは違う気がする。かといって、説明できないから先生にも納得してもらえない。八方塞がりの次女が無理なく給食が食べられるようになった声かけをご紹介します。
1.何も理由を言わず、「給食が嫌!」の一点張りで登校拒否をしているお子さんの対応に困っているママはいませんか?
『給食がかなり苦手』な子は1クラスに4人いる統計があります。
*(株)日本教育資料が2020年12月、全国の男女1000人に対してインターネット上で行ったライフスタイルに関する調査
それだけ給食で困っている子どもたちが全国にはたくさんいるということです。
子どもが学校給食を苦手と感じる理由はさまざまで、食べられる量や食べるスピードも一人一人違います。
過去に無理やり食べさせられた経験や食べ切ることを強要させられたり、緊張感のある給食時間だったなど辛い経験があると苦手と感じやすくなります。
また、担任の先生の指導が大きく左右することがあります。
最近では給食を完食させる指導は無くなっているとは思いますが、それでもまだ先生によっては、残食を許さなかったり、最後まで1人残してでも食べることを強要する方もいらっしゃるようです。
学校でそんな給食の指導があっているようであれば、繊細な子は特に、先生の態度やクラスの雰囲気を敏感に感じとってしまうため、給食の時間が苦痛で仕方がないことでしょう。
また、低学年や思いを伝えることが苦手な子は、給食の時に感じているその苦痛をママや先生に説明することができません。
そのため、学校に行きたくない理由を「給食が嫌」としか言えないのかもしれません。
「給食が嫌!」の一点張りで登校拒否をしているお子さんがいるようであれば、ママが本当は何に困っているかをしっかりと考えてあげることが大切です。
2.給食が原因で不登校になった次女のこと、何にも分かっていませんでした
私には3人の娘がおり、育児休暇明けからフルタイムで働いていました。
帰宅してからの食事準備は時間との戦い。
食事は大皿で出していたので、子どもたちには各々好きなだけ食べさせていました。
また、食事中の癇癪を避けるために1品は子どもの好きなおかずにしていたので、何にも食べないことはなく、みんなお腹いっぱいにはなっていました。
三姉妹の中で次女は、小さい頃より少食でした。
しかし、保育園や小学校の給食は嫌々ながら何とか食べていましたし、成長曲線内にいたので、私もそこまで気にしてはいませんでした。
しかし、小3で担任の先生が変わってから給食のルールが厳しくなり、突然の登校拒否。
詳しい理由が分からぬまま、次女は不登校になってしまいました。
不登校の理由も「給食が嫌!」としか話してくれません。
何が嫌なのか聞き出すことができず、どうしたら解決するのか途方にくれました。
不登校になってから、私は次女が何に苦しんでいるのか知りたいと思い、注意深く観察することにしました。
すると
✔︎今まで食べたことのあるものしか食べない
✔︎同じ物ばかり食べる
✔︎食わず嫌いが多い
そして、嫌なものには独特の感性で伝えてくれることを発見しました。
「カレーのヌルヌルしてるのが嫌!」
「揚げ物食べると口の中がたくさんの針で刺されてるみたいじゃない?」
「カレーの甘口でも香辛料入ってると匂いですぐわかるし、口の中痛いよね⁈」
娘に独特の感性があることに私が気づいたことで、娘も今までは「これ嫌!」「いらない」としか言いませんでしたが、なぜ嫌なのかという理由を詳しく教えてくれるようになりました。
娘が言うには、これまで家族が美味しそうにいろんなものを食べている様子を見て「自分の感覚と違うな」と感じていたようです。
調べていくと次女は自閉症スペクトラム(ASD)の可能性が出てきました。
診断がついたわけではありませんが、感覚過敏(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)と言われるもので、全て敏感な特性があると次女を見ていて思います。
感覚過敏のことを知ってから「もしかして給食を嫌がるのは感覚過敏のせい⁈」と思うようになりました。
感覚過敏は根性論でどうにかなるものではなく、無理矢理食べて食事に対して苦手感が増したり、恐怖心やトラウマとして残ってしまうと今後食事の選択肢が狭まってしまう恐れもあります。
なので感覚過敏が原因なら無理してはいけないので自然な流れで克服してほしいと思うようになりました。
3.給食が嫌な子どもが味見大作戦にTRY!
そこで私たち親子が挑戦したのが『味見大作戦』です!
食べる練習!となると、抵抗が出てしまうので、日常の自然な流れで娘に味見をしてもらうことで、いろんな食べ物に慣れてもらうことがねらいです。
◆①調理中の味見
「いただきます」の後では食べてくれないけれど、味見なら不思議と食べてみたくなりますよね!
味見だから初めからちょっとだけ!このちょっとだけがポイントです。
初めのトライはハードルを下げてあげることで、子どもの一歩が出やすくなります。
そして、ぜひ空腹を狙ってください!
「食べたら痛いかも、気持ち悪かったら嫌だな」と躊躇する気持ちがあっても、「お腹すいた〜食べたいな〜」と思わせてくれるのは空腹です。
子どもに躊躇している様子があったら、「ちょっとだけ食べてみる?」「嫌だったらやめてもいいよ」とママが選択肢を与えてあげるとハードルが下がりますよ。
◆②どんな些細なことでも褒める
自分が食べると思って想像してみてください。
『毒だったらどうしよう』と思いながら食べるとしたらどうでしょうか?
周りが「美味しいよ!」と言っていても、口の中が痛くなったり酸味や塩味が強く感じて食べられなかった経験が今まで何度もあるとしたらどうですか?
いくら勧められたとしてもガードが固くなりますよね。
そんな体験をしている子が、調理している所を見に来てくれたらそれだけでハナマルです。
匂いを嗅いだだけでもOK!
舐めただけでもOK!
味見でちょっとでも食べたら褒めてあげましょう。
もし食べるのに躊躇してしまって食べれなかったとしても、「食べようとしてくれたんだね!」「頑張ったね!」と声をかけてあげてくださいね。
食べれなかったことはスルーでOKです。
◆③味覚過敏をポジティブに変換!
私は味覚が過敏なことを、娘の苦手と捉えず「特技=いいこと!」として娘に接するようにしました。
今まで給食が食べれないことばかりに目を向けていましたが、味覚が敏感なことに気づいてからは味見係に任命し、味付け担当になってもらいました。
私が作る卵焼きと祖母が作る卵焼きを食べただけで何の調味料が入っているのかがわかり、「今日はママの卵焼きの味付けにしたよ!」と自分から調理してくれるようになりました。
味覚が敏感だから味付けも美味しいんです!
調味料の組み合わせでどんな味になるのか覚えていて料理の腕前は格段に上達しました。
自分で作って食べるようになったら、中に何が入っているか分かっているので食べれるメニューが増えました。
この家庭での味見作戦は大成功!
娘は食に対して自信を持つことができ、給食でも少しずつですが初めてのメニューにも挑戦できるようになり、今では完食できるようにもなりました!
食に対して過敏がある子が、給食を食べれるようになるまでには、いろいろな課題があるかもしれません。
しかし、周りの大人が過敏に対する理解を深め、子どもの成功体験を増やすことができれば、きっと状況は変わるはずです。
もし、給食が苦手で登校拒否をしているお子さんがいらっしゃいましたら、味見大作戦を試してみてくださいね!
執筆者
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 田中さくら