「保育園行きたくない…ママといたい」と泣く子に、どう向き合えばいい?休ませたら癖になる?無理に行かせるべき?登園しぶりに悩み、失敗から私がたどり着いた子どもの不安に寄り添いながら、親子で笑顔を取り戻すヒントをお届けします。
1.「保育園行きたくない…ママといたい…」休ませると癖になる?休ませたくないママの本音
「ママといたい!保育園行きたくない!」と毎朝泣くわが子。
そんな姿を見ると、胸がギュッと苦しくなるけれど……本音では「できれば毎日登園してほしい」と思っていませんか?
その気持ちの裏には、ママ自身の“ある不安”があるはずです。
たとえば、こんなふうに思ったことはありませんか?
✓ 一度休ませたら、ずっと行かなくなるんじゃないか
✓ 「行きたくない」が口ぐせになって、毎回休むようになるかも
この「癖になるかも…」という不安は、多くのママが感じているもの。
でも本当に、子どもを休ませたら保育園に行けなくなってしまうのでしょうか?
この記事では、実際に「保育園行きたくない」と登園しぶりをしていたわが子と向き合う中で見つけた『心がラクになる対応』を体験談をまじえて紹介していきます。

2.分離不安に気づかず、無理やり行かせていた私の失敗談
「とにかく毎日行かせれば、いつか慣れる」
「休んだ日はおもちゃやテレビはNG。楽しいことはさせない」
登園しぶりが続くと、ついこうした対応をしてしまいがちですよね。
私自身もそうでした。
病気じゃない限り、保育園には行くもの。仕事もあるし、行ってもらわないと困る…
だから、わが子が「保育園行きたくない!」と毎朝泣いたときも、「ただ甘えているだけ。甘えさせたらいけない」と自分に言い聞かせ、無理やり連れて行っていました。
「今日は行けた!」「また1日がんばったね」そうやって自分を励ましながら…。
もちろん、この方法でうまくいく場合もあります。
でも、実はこれが子どもの心をさらに追い詰めてしまうこともあるんです。
特に発達障害グレーゾーンや分離不安の強い子の場合、状況を悪化させてしまうことがあります。
こうした子どもは、もともと不安を感じやすく、安心できる場所=コンフォートゾーンを強く求める傾向があります。
そんな子どもが無理に保育園に行かされるということは――
安心できる唯一の場所、ママから引き離されること。
さらに、休んだ日も家でのんびり過ごせず、ママにも厳しくされる…
つまり、どこにも安心できる場所がない状態です。
これは、「最後の砦」を失ったようなものです。
分離不安の子どもは、心がますます不安でいっぱいになってしまいます。
「休むことを癖にしたくない」との思いから、
・無理やり行かせる
・休ませても家でのびのびと過ごさせない
こうした対応を続けていた私は、結果的に、息子の不安をさらに大きくしてしまっていたのです。
実際、息子は保育園に行ける日もあれば、大泣きして先生に引きはがされる日も…
次第に、園でもずっと泣き続ける日が増えていき、すぐに泣いたり怒ったりといった癇癪も増えていきました。
家では私にべったりで、一瞬でも私の姿が見えないとパニックになるほどに…
そしてようやく、私は気づきました。
わが子の「行きたくない」は、ただの甘えやわがままではなく、心からのSOSだったということに。
あのとき、「休むこと=逃げではない」と考え、子どもの心にもっと丁寧に向き合えていたら、ここまでつらい思いをさせずに済んだのかもしれません。
この失敗があったからこそ、今では「休むことにも意味がある」と思えるようになりました。
そして、子どもとの向き合い方を見直すきっかけにもなったのです。

3.分離不安ってなに?段階別にみる“登園しぶり”の進行サイン
「うちの子、そんなに繊細なタイプじゃないし…」
「どうして突然、「行きたくない」と言い出したんだろう?」
私も、そう思っていました。
でも今振り返ると、息子の「行きたくない」は、ある日突然起きたのではなく、じわじわと進行していく「心の不安の段階」がありました。
◆ そもそも「分離不安」って?
幼い子どもが「ママがいい!」「ママと一緒にいたい!」と感じるのは、ごく自然なこと。
でも、2歳を過ぎても「ママと離れること」に強い不安を示し、1か月以上つらそうな様子が続くようであれば、それは「分離不安」が強まっているサインかもしれません。
発達障害やグレーゾーンの子に特に多く見られる傾向があり、安心・安全な存在であるママと離れること自体が大きなストレスになります。
◆ 登園しぶりと分離不安の進み方には『段階』がある
登園しぶりも分離不安も、いきなり深刻になるわけではありません。
次のような段階を踏んで、少しずつ子どもの中で「不安」が強まっていきます。
🔸 【初期段階】
登園前は大泣き。でも教室に入れば元気に遊べている。
➡ この段階では、まだ心のエネルギーも回復力もあります。
十分に甘えさせたり、安心できる関わりを増やすことで落ち着くケースが多いです。
🔸 【中間段階】
登園はできるけれど、園で思い出して泣いたり、落ち込む姿が見られるように。
➡ 心の中の「不安」が膨らみ、感情の波が大きくなってきたサイン。
本人も「どうしたらいいのか分からない」状態です。
🔸 【進行段階】
園でもずっと泣いていたり、頭痛や腹痛などの身体症状が出るようになる。
➡ 不安が「心」を超えて「体」にまで現れている状態。
無理に登園させることで、状態がさらに悪化することもあります。
🔸 【悪化・長期化すると…】
「今日は行けた」「やっぱり無理」の“行ったり来たり”が続く【五月雨登園】に。
やがて不登園、そして小学校以降の不登校につながることも…。
また、家での癇癪・暴言・暴力などが激しくなる場合は、心が限界を超えたサイン=「二次障害」の可能性もあります。
だからこそ、早めの『気づき』がとても大切!
幼児期の脳は「発達の黄金期」。
この時期に「不安だったけど、安心できた」「自分の気持ちをわかってもらえた」と感じられる経験が、自己肯定感や『安心できる人間関係』の土台になります。
「うちの子、今どの段階かな…?」と見極めながら、 不安を受け止めてあげることこそが、分離不安をこじらせないいちばんの近道です。

4.分離不安の子への「登園しぶり」対応、やってよかった3つのこと
分離不安が進行すると、無理に登園させようとしても逆効果。
でも、「じゃあ、どうしたらいいの?」と悩むママも多いですよね。
ここでは、わが家で実際に試して「これはよかった!」と感じた対応を3つ紹介します。
すぐに取り入れられることばかりなので、参考になればうれしいです。
① 休む日は「心と体を回復させる日」と決める
以前の私は、「休んだ日は楽しいことはNG」と思い込んでいました。
でも、それでは子どもにとっては家も園も「安心できない場所」に…。
そこで思いきって、「今日はおやすみの日。ゆっくり休もうね」と伝え、親子でくつろげる時間を過ごすことを大切にするようにしました。
当時息子が大好きだったドラゴンボールのカードゲームをしに出かけたり、おひざに座って絵本を読んだり、一緒におやつを作ったり。
「笑顔で過ごせることが一番だよ」と伝えることで、子どもが少しずつ安心感を取り戻していきました。
また、登園しぶりが強くなってきたなというときは、早めに仕事の段取りをつけて有休を取り、 「明日ママお休みだから、1日デートしよう」と前もって特別な日を作るようにしました。
このように先手を打ってリフレッシュの機会を設けることで、息子の「行きたくない!」による突然の欠席を予防することができました。
②「行けた日」は、小さな成功体験として一緒に喜ぶ
無理やり送り出すのではなく、自分から「今日は行ってみようかな」と思えた日をとにかく褒めて、一緒にうんと喜びました。
「今日はがんばってみようって思えたんだね、すごい!」
「ママも嬉しかったよ、ありがとう!」
こんなふうに、「登園できたかどうか」ではなく「自分の気持ちで動けたこと」に注目して声をかけると、子どもの中に「やってみようと思えた自分、えらい!」という自信が芽生えていきます。
③ 保育園の先生と連携し、「園も安心できる場所」にしていく
家だけでなく、保育園も子どもにとっての『コンフォートゾーン』になることが、分離不安を和らげる大きなポイントです。
私は、先生に「今こんなふうに登園しぶりが続いています」とこまめに伝えるようにしました。
すると先生も、「朝はお母さんと離れるのがつらいんだよね」と共感しながら、登園後すぐに好きな遊びに誘ってくれたり、そっと寄り添ってくれたりと、子どもが安心できる関わりを工夫してくれました。
「先生も味方だよ」という感覚が育つことで、子どもにとって園が徐々に居心地のいい場所になっていきました。
小さなステップでも、「安心→挑戦→自信」を繰り返すことで、少しずつ登園のハードルが下がっていくんです。
焦らなくて大丈夫。
子どもの「心が整うタイミング」を信じて、そばで支えることが一番のサポートになりますよ。
