教室に入れなくなった原因は不安や緊張からくる嗅覚過敏だった⁈そんなことあるの⁈と疑ってしまった母ですが、不安や緊張が強い母子分離不安っ子が安心を手に入れて教室に入れるようになったワケをご紹介します。
1.においに敏感で教室に入れない子いませんか?
「教室くさいから入りたくない!」と言っているお子さんいませんか?
学校や教室って不特定多数の人がいますよね。
想像するだけで色んなにおいがするのわかりますか?
しかし、何にも気にならない人にしたら全然平気な空間なんですが、においに敏感に反応してしまう子がいるんです!
その子にとったら地獄ですよね…。
2.嗅覚過敏とは?
みなさん、『嗅覚過敏』をご存じでしょうか?
感覚過敏の中の1つである『嗅覚過敏』はにおいがあるものに対して過剰な状態を示すことを指します。
また、感覚過敏には嗅覚過敏以外にも、音に対して敏感な『聴覚過敏』や目に見えるものや色に対して敏感な『視覚過敏』、皮膚に触れるものに敏感な『触覚過敏』、味に対して敏感な『味覚過敏』など様々な種類があります。
原因は明らかになってはいませんが、発達障害やてんかん、片頭痛、化学物質への反応、精神的なストレスや不安が影響していたりすることがあります。
母子分離不安っ子のように不安や緊張が強い子は、場所が変われば平気になることもあります。
と言うのも、不安や緊張、精神的なストレスを抱えていたり、疲労が蓄積している場合、それらが脳に影響を及ぼし、嗅覚過敏の状態を引き起こす可能性があるからです。
リラックスできる家では平気だけど、緊張してしまう学校や教室では『過敏』になってしまうと言うことです。
3.母子分離不安っ子と嗅覚過敏の関係
・ 芳香剤や柔軟剤、洗剤
・飲食物、給食
・動物
・文房具、インクや鉛筆
・学校の床のワックス
・人の口臭や体臭、熱気
・日焼け止めや化粧品、整髪料
・車や電車などの乗り物のにおいなど
あげたらキリのないくらい、生活臭って様々ですよね。
母子分離不安っ子は、少しのきっかけで不安と恐怖を感じやすくなり、においとメンタル、場所によって困り事につながる可能性があります。
また、一度辛い経験をすると記憶に残りやすいために、嫌だった時に感じたにおいがするとまた同じ嫌なことが起こるのではないかと警戒心が増します。
においに敏感なせいで、このような困りごとが出てきます。
✔︎食べた時のにおいがきつく感じて食べ物の好き嫌いが激しく偏食気味になる。
✔︎人混みに行くと気分が悪くなる。様々なにおいで吐き気や頭痛を起こす。
✔︎様々なにおいで嫌なことが思い出され、集中力が低下してしまう。
そのために、人と会うことを苦手だと感じて人に会うのを避けてしまう可能性があります。
たかが『におい』されど『におい』
私自身、においには敏感な方で強い香りの柔軟剤や香水は苦手ですが、上記のようなことにはなったことがないので、『そんなことあるの⁈』と疑ってしまいました。
同じにおいでも人によって感じ方に大きく差があり、「そんなこと気にしなくていいよ」の友達の一言に傷ついて、本当は辛いことが言えなかったり…。
においで苦しんでいることを打ち明けれて、周囲の人の理解があれば不安も少なくなり嗅覚過敏も落ち着いてくると考えられますが、嗅覚過敏はまだまだ認知度が低いのが現状です。
4.教室に入るのを嫌がった母子分離不安の娘
私の娘は小3の時に学校での環境の変化、大きなストレスから母子分離不安症になり、小2まで通っていた教室に入れなくなってしまいました。
大きな声でしょっちゅう怒る先生が担任になってしまい、教室がいつもピリピリした雰囲気で、その空気に耐えられなくなった娘は不登校に…。
何度か教室に入ろうと挑戦しますが、先生のストレスから感覚が過敏になってしまい、学校の玄関のにおいやすれ違う人のにおいまで嫌悪感を示すようになってしまいました。
学校のにおいを感じただけで先生に何か言われるんじゃないか…と想像してしまって辛くなったと言います。
娘は元々おとなしい性格で、大きな声で友達が怒られていると自分が怒られているように感じてしまう子で、周りに「辛い」と言えず、わからないことがあっても「教えて」が言えない子でした。
授業中に困っていても自分から言えないのでスルーされてしまい辛い気持ちのままいることが多かったそうです。
困ってるんだけどSOSが出せないから誰にも気づいてもらえないし、わからないまま「どうしよう…違うことしたら先生に怒られる!」と思っていたそうです。
先生に話しかけられても、『先生は怖い』と思ってしまっているので緊張して固まってしまいます。
何も言わないからその場はスルーされておしまい…。
なんの解決もしないまま、教室には辛い記憶しかありませんでした。
5.嗅覚過敏の子どもが教室に入れるようになるために先生にお願いしたいこと
嫌なものは排除する…と聞いて、そんなの当たり前じゃないの?と思ったあなた!
不特定多数の人がいる学校生活でにおいを排除するってそう簡単じゃありませんでした。
単ににおいを排除したからといって元通り教室に戻れたわけではありません。
先生と情報を共有し、協力をお願いすることが大切です。
そして、嗅覚過敏によって子どもが困っていることを伝え、理解して頂いた上で、下記の点で配慮をしてもらえるように相談をしてみることをおすすめします。
①教室での配慮
自分からSOSを出すのがハードル高い子には、先生からも気づきやすく前の友達の動きを見て真似しやすい場所に配慮してもらえるといいと思います。
また、におい対策として、換気がしやすい窓側を希望するのもおすすめです。
今のご時世、感染症予防のために換気するのが当たり前になってはいると思いますが、別の教室に移動した際にもにおいがこもらないように換気をお願いしておくとよいでしょう。
②給食時間での配慮
多くの学校では給食当番は週替わりの当番制でエプロンを自宅で洗って次の人に渡します。
嗅覚が過敏になっている子どもにとっては、様々な家庭のにおいが嫌。強い洗剤、柔軟剤のにおいが嫌という子は多いようです。
気持ち悪くなったり頭痛がしてしまう子もいますので、先生にお願いして、給食当番のエプロンを個人持ちにしてもらうことをおすすめします。
また、不安や緊張の強い母子分離不安の子は、ネガティブな記憶が残りやすいため、嗅覚過敏のせいで給食時に気持ちが悪くなった…と記憶が給食=嫌なものと残ってしまいがちです。
そのため、無理して食べてネガティブなイメージを残すより、食べれなくても給食に対して持っている緊張や不安を緩和していくことが先決です。
食べられない今だけを見るのではなく、長い目で見てもらえるように先生に協力を仰いでくださいね。
最後に…
嗅覚過敏で教室に入れない母子分離不安の子どもに無理は禁物です!
母子分離不安っ子の嗅覚過敏はメンタル面と絡み合っているので、『苦手なことを克服させよう!』ではなくて『不安・緊張の原因は何か』『安心できる環境にどうやったらできるか』を考えてみてくださいね。
執筆者:
発達科学コミュニケーション リサーチャー
田中さくら