繊細で不安が強い子は『同じ』であることが安心なのですが、高学年になると役割が増えますよね。新しい事、わからないことに不安を感じるのでやろうと気持ちがあっても躊躇してしまいがちです。あと一歩なのに…とヤキモキしてしまうママが使える背中を押すテクニックをご紹介します。
1.あと一歩が出ない繊細で不安が強い子
繊細が故に不安が強く、何事にも消極的なお子さんはいませんか?
✔︎わからなくても周りに聞けない
✔︎やれば出来るはずなのに挑戦しない
✔︎不安が強い
など、躊躇してしまう理由は様々ですが…
あと一歩が出れば出来るのに!
なんで最初からやろうとしないんだろう…と思うことありませんか?
背中を押してもダメ、押さずに様子をみていてもダメ、あと一歩なのに躊躇してしまう子いますよね。
実は『私できるかも!』と思える背中の押し方があるんです!
同じように悩んでいるママの参考になれば幸いです。
2.挑戦を躊躇する原因
人間が失敗を恐れるのは、生きるために元々備わっている本能です。
人は、失敗を鮮明に記憶に残す習性を持っています。
これを「ツァイガルニク効果」と言いますが、この習性が失敗のイメージを頭に植え付け、失敗への恐怖をさらに強いものにします。
繊細で不安の強い子は、用心深さや警戒心が強く、失敗への恐怖を強く感じることがお子さんが多いようです。
繊細で不安な子にとっては、学校での生活においても、失敗への恐怖を強く感じる場面は多くあります。
・聴覚過敏な子が教室でみんなの大きな声を聞いてうるさい思いをした
・注目されるのを嫌う子が挙手、発表するようにすすめられた
・集団が苦手な子が無理やり集団に入るよう促された
・苦手な先生やお友達がいる
・否定されたり、怒られたことがある など
苦手ながらにせっかく挑戦したことも、「できなかった」というネガティブな記憶が残ってしまうので、注意が必要です。
3.あと一歩が踏み出せない娘
娘は繊細で不安が強く何事にも消極的でした。
高学年になると学校内の役割も増え、初めてやる仕事も多くなってきますよね。
私の娘は、高学年で担当する委員会の活動に参加することが苦手でした。
小6の前期までは委員会の仕事だけはどうにかできていましたが、みんなが集まる委員会には参加していませんでした。
集団が苦手なのが一番の要因でしたが、委員会ではみんなの前で挙手や発言、注目されることも多く、それも娘にとっては大きなハードルとなっていました。
わからないことがあっても、周りに聞くことができないので、不安だけが大きくなっている様子も見られました。
一人でできる仕事は責任を持ってしっかりとできるのですが…
私は娘と一緒に母子登校をしているので、そばで娘の「一歩」を踏み出せない状況にもどかしさを感じていました。
4.繊細で不安の強い子が背中を押されて苦手を克服できた!
そこで、私は学校に親が一緒にいる環境(母子登校中)をうまく利用して、委員会活動に興味はあるものの「一歩」を踏み出せない娘の背中を押すために、関わり方を工夫してみることにしました。
◆これでもか!というくらいに肯定する!
繊細な子は否定されたり怒られると割り増しに感じてしまいます。
逆に褒めや肯定は目減りして伝わってしまいます。
また、挑戦する前に否定されたり怒られるとやる気がなくなってしまいます。
どうすれば一歩踏み出せるでしょうか!
それは、うまくいった時だけに褒めるのではなく、やろうと行動を起こした時に一番褒めましょう!
あと一歩踏み出す時が一番心配で悩んでいますよね。
『できるかな…不安だな…やっぱりやめようかな…どうしようかな…』
この時に肯定されるとやってみようかなと思えてくるんです!
肯定の仕方は『実況中継』がおすすめです!
目で見たままを伝えます。
・委員会の紙を見ながら悩んでいたら「委員会の紙見てるんだね」
・教室の前で行くか行かないでおこうかウロウロしていたら「行こうと思って立ったんだね」
・筆記用具を準備してたら「委員会の準備してるんだね」
といった風に。
『すごい!』や『えらい!』だけが褒めではないので、実況中継が立派な肯定となります。
◆前置きを効果的に使う!
『できるかどうかは別として何にする?』
本心を聞きたい時や本来は「こうしてほしい」を伝えるときに使えます。
委員会を決める時に、『できるかどうかは別にとして給食委員会と保健委員会、どっちにする?』と聞きました。
「できなくてもいいから、〇〇ちゃんは何がしたい?」「例えばどんな仕事がしたい?」と聞かれている気がしますね。
そして実際に委員会に参加する時に躊躇していたら『〇〇ちゃんなら多分できると思うんだけど行ってみる?』と伝えます。
このように前置きをすると、特に不安の強い子は「私にも出来るかも⁈」と簡単に思えてきます。
勇気を出してほしい時や苦手なことにチャレンジしてほしい時に使えます。
この2つのポイントを抑え、声かけを工夫していくことで
繊細で不安の強い娘は、今まで躊躇していた『委員会の話し合いに参加すること』ができたのです!
私の娘の場合は「委員会に行きたくても行けない」と言う場面で「あと一歩」を後押しすることができた声かけテクニックですが
家で宿題をなかなかやらない時、学校に行き渋っている時、行事に参加することを怖がっている時など
「あともう一歩頑張れ!」「背中を押したらできるかもしれない!」「これを乗り越えたらできる!」と思える場面にもぜひ使える声かけテクニックです。
ぜひ、皆さんもお子さんの「あと一歩」を後押ししてあげてくださいね!
執筆者:
発達科学コミュニケーション リサーチャー
田中さくら