愛情表現で微笑ましく笑って褒めたのに、子どもには間違って伝わり、逆に「笑うな!」と怒らせてしまうことがあります。実はHSCタイプのお子さんはママの笑顔を勘違いして捉えてしまいます。詳しく解説していますので是非最後まで読んでみてくださいね。
1.「笑われるのが嫌い」な子どもの対応に困っていませんか?
子どものちょっとした仕草や、言葉に『かわいいなぁ』の意味を込めて、クスッと笑っちゃうことってよくありますよね?
愛情のこもった笑いは、子どもに愛情が伝わりますし、ママ自身もほっこりとした気持ちになりますよね。
しかし、中にはこの『愛情のこもった笑い』を快く受け取れないお子さんもいます。
親としては悪気があったわけではないのに、「笑うな!」とひどく怒り出してしまうのです。
「そんなつもりじゃないよ!」「え?こんなことで?!」と親は思ってしまいますが…
子どもにとっては『そんなつもり』も『こんなこと』も関係ありません(笑)
ただただ、笑われることが嫌なのです。
もしお子さんが『笑われることが嫌い』ですぐ怒り出してしまう子どもであれば、お子さんがなぜ怒ってしまうのかまずは『理由』を知ることから始めましょう。
2.HSCキッズの「笑われるのが嫌い」な理由
HSCは「Highly Sensitive Child」の略語です。
HSC=【ひといちばい敏感な子ども】は、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士によって提唱されました。
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最近はHSCに関する書籍も多く存在するようになり、ネットやSNSでも認知が広がっていますよね。
HSC(ひといちばい敏感な子ども)はその特性が故に「笑われるのが嫌い」なお子さんが多いようです。
HSCが「笑われるのが嫌い」なのには『理由』があります。
◆理由1:脳の特性
HSCは、感受性が高く、人がどのような表情や態度を取るのかを敏感に感じとります。
そして、その反応が自分にとって安全か安全ではないかを察知し、不安や怒りを感じてしまうのです。
これには、HSCの脳の特性が大きく関わっています。
「HSCは扁桃体の働きが強く、不安に対してセンサーが高い」と言われています。
扁桃体は不安や恐怖といった感情に大きくかかわっている器官です。
人に笑われる
↓
自分を傷つけられ、否定されているように感じ、バカにされたと勘違い
↓
怒る
この一連の行動は、扁桃体が強く反応しているためで、身を守ろうという行動の表れなのです。
◆理由2:成長している証拠!
他人から自分がどう見られているか?
このことを感じることができているということは、子どもの脳の発達が順調に進んでいる現れです。
周囲が自分をどう見ているのかを感じる力を心理学では「メタ認知」と言います。
このメタ認知は一般的には小学校3年生ぐらいから意識し始め、しっかり働くようになると言われています。
「恥ずかしい」と感じるのは、まさしく「メタ認知」の発達ですね。
『笑われて恥ずかしい』という感情があるのであれば、それはお子さんのメタ認知が発達している証拠。
まだ幼い子どもの場合は、「恥ずかしい」と感じても…
・その後どのように行動すれば良いのか
・どのように感情を表せば良いのか
思考を司る脳機能の発達が未熟なため「怒る」という行動に繋がってしまうのです。
3.息子の気持ちに気づいてあげられなかった過去
ここで少し我が家での出来事をご紹介しますね。
ある日、息子が「ママ、聴いて!」と私のところにやってきて、替え歌を歌ってくれたことがありました。
その時、私は息子のことをかわいいと思って、微笑ましくその様子を見ていました。
そして息子が喜ぶと思って「面白い歌ね!よく考えたね!」と笑いながら伝えました。
すると息子は急に機嫌が悪くなり「笑うな!」と怒り出したのです。
私は誤解を解くためにも「一生懸命作ったんだな!すごいな〜って思ったんだよ!」と伝えたのですが、息子のご機嫌は治らず…
しまいには「それでも、笑うな!」と泣いてしまいました。
「この子なりに何か感じているのだろうな」と息子がHSCであることを改めて感じた出来事でした。
4.自己肯定感を育み、感情を理解する
私は、息子がひといちばい敏感な子ども(HSC)であることを理解していたので、その時の対応として「なんでこんなことで怒るの?」と息子を責めることはせず、息子に寄り添う姿勢をとりました。
まずは笑ってしまったことを素直に謝りました。
そして、「笑うな!」と怒ったときに、まず息子の気持ちを代弁して、それに共感しました。
また、どうしたらよかったかを息子と一緒に考えました。
私:「ママが笑ったら嫌な気持ちだったんだね(代弁)。ごめんね。どんな気持ちになった?」
息子:「嫌だった」
私:「そうかぁ。嫌だったんだ(共感)。ごめんね。ママはかわいいなぁと思って笑ったんだよ。」
息子:「でも、嫌だったの」
私:「そうかぁ。ごめんね。じゃ、どうだったら良かった?(どうしたらいい?)」
息子:「かっこいいならいいかも」
私:「わかった。かっこいいね!で笑うのはいいんだね」
息子:「うん」
私:「そうなんだね。ママにとっては、かわいいもかっこいいも同じような気持ちだからね」
この会話の中で、息子はママに『かっこいい』と見られたかった。という息子が怒った本当の理由がわかりました。
他人から見た自分の評価が微妙に違うことに気づき、嫌悪感を感じてしまったのでしょう。
他人の評価と自分の評価に違いがあることに気づいていること自体、子どもにとっては大きな成長です。
しかし、今は発達が未熟であるため、その違いを肯定的に捉えことがきず、負の感情に繋がってしまっていますが、ゆくゆくは肯定的に捉えることができるようになってほしいと思います。
肯定的な捉え方をできるようになるためには、『自己肯定感』を育むことがとても大切です。
自己肯定感は一朝一夕に育まれるものではありませんが、幼児期は育みやすい時期でもあります。
日ごろから、共感することや肯定的な声かけを心がけると、子どもの自己肯定感をぐんぐん育てることができますよ!
笑われることを肯定的に捉えることができるようになると…HSCは笑われても怒らなくなります!
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
増満咲奈