発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、外での失敗経験や辛い体験をした時、ネガティブな記憶を強く残してしまい、「もう行きたくない」「やりたくない」と自信をなくしてしまいがちです。そんな子どもたちのネガティブ思考を自信に変えていく褒め方を本記事では、お伝えしていきます。
1.脳の発達の未熟さで起こる発達障害
発達障害とは脳のある部分が未熟だったりなんらかの理由で脳の発達が遅れ、得意なところと苦手なところの差が大きく、能力に凸凹がある状態のことをいいます。
発達障害には主に3つの種類があります。
●自閉スペクトラム症(ASD)
・対人関係が苦手
・コミュニケーションがうまくとれない
・こだわりの強さや感覚の偏りがある
●注意欠如・多動症(ADHD)
・不注意(気が散りやすい、ぼーっとしている、細かいことに注意を持続できない)
・多動性(じっとしていられない、しゃべりだすと止まらない、落ち着きがない)
・衝動性(順番を待てない、興味があれば飛びつく、融通がきかない)
●学習障害(LD)
・文科省の定義では「聞く、話す、読む、書く、計算、推論」の6領域のどれか1つか、複数の習得と使用に困難を示す状態
これらの特性は重複することがあります。
そのため、その子によって持っている特性はさまざまなのです。
さらに、発達障害・グレーゾーンとは発達障害の特性があるが、診断基準を満たさない状態を指す通称です。
発達障害かどうかは数値のような明確な基準がないので、はっきりと見極めづらい状態にあります。
そのため発達障害・グレーゾーンと呼ばれる子どもたちは、周りの理解や支援が得られにくく、環境によっては子どもの「鬱」などを発症したり、二次的な問題が起こってしまうことも少なくはありません。
2.発達障害・グレーゾーンの子どもたちの特性を知る
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは学校や習い事など、家庭の外での困難を感じやすく、また家でも特性ゆえに叱られることが多いのでネガティブ思考になりやすく、それが蓄積されると自信を失ってしまいます。
しかし、周りの理解や関わり方で日常生活での気になる行動を軽減でき、子どもが自信を失わずにいられます。
自信を失わずその子らしくいきいきと過ごしていくためには、まずは子どもの持つ特性を知ることが大切です。
まずは、子どもをよく観察し、その子の得意なことやがんばっているところを見つけてみましょう。
例えば…
外の景色に目が行ってしまい、教室で集中して授業を受けることができない子は、見る力が優れているのかもしれませんよ。
もし、そのようなお子さんがいたら、外の景色のどこに興味を持っているのか、本人に聞いてみましょう。
子どもがもし「校庭に落ちていく落ち葉の様子が気になる」などの理由を教えてくれたら、得意や興味を引き出すチャンスです!
落ち葉の数を一緒に数えて、数の概念を教えてあげてもいいでしょう。
木の種類によっては、葉が落ちる種類もあれば落ちない種類もあることを教えてあげてもいいですね!
一緒に図鑑を見て、校庭にどんな植物が育っているのかを観察するのもいいかもしれません。
このように子どもの問題行動ばかりに目を向けずに、子どもの得意なこと・興味のあることを見つけてあげることが脳を育てることに繋がり、さらに大きな自信につながっていくのです。
3.息子のできないことばかりに目を向けていた過去
私の息子(小3)は自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の特性を合わせ持っている発達障害・グレーゾーンの子どもです。
人との関わりが苦手だったり、落ち着きがなく融通がきかないところがあります。
息子の持つ特性に気づかなかった頃は、私は気になる行動を叱ってばかりいました。
直して欲しい行動ばかりに目が向いていたのです。
私からも周りからもいつも注意ばかりされていた息子。
「どうせ僕なんか…」息子は自信をなくしていくと同時に、どんどんネガティブ思考になっていきました。
学校でも余計問題行動ばかりが目立つようになり、先生にも注意されてばかり。
学校に行くことを嫌がるようにもなって、ついには不登校にまで発展してしまいました。
4、ネガティブ思考を自信に変える褒め方のポイント
どうにもできない状況に、「このままじゃいけない!」と勇気を出して受講し始めた発達科学コミュニケーション。
子どもの特性を学び、その子の脳に届く声かけや対応を実践していくうちに、ネガティブ思考だった息子に少しずつ自信がつき、徐々にいい方向に変わっていきました。
私が徹底して行った褒め方のたった2つ!とても効果のあった方法ですので、皆さんにもご紹介させていただきますね!
◆行動に移した時に一番大きく褒める
「はみがきしてるね」
「着替えてるね」
「片付けてるね」
行動できたことに子どもが気づくために、事実をそのまま伝えて褒めます。
当たり前にできていることほど褒めを見落としがちですが、結果を褒めるのではなく行動し始めた事実を大きく褒めます。
◆頑張っている途中に注目
「部屋がきれいになってきたね」
「ここの部分工夫してるね」
「あともう少しだね。ファイト!」
そして最後に「できたね」「がんばったね」と褒めて終わります。
行動の始まりと途中でこまめに褒めることで「自分はできている」「やればできるんだ」と結果を恐れずに挑戦してみようという自信も生まれてきます。
この2つの褒めを実践した結果、息子は肯定されたという嬉しさと「できた」という事実が自信となり明るさを取り戻してきました。
また、日常から親が意識的に「褒めよう!」とすることで、自然と子どものできていることや良いところに目を向ける習慣が付いてきます。
「うちの子、褒めるところがない」と思われている方も、子どもの行動を見ようとするだけでも何かしらの発見があるはずです。
もし、お子さんがネガティブ思考で自信がない状況なら、まずは親が変わること!
ぜひ、子どものできていることに目を向ける習慣を身につけて、褒めのポイントを意識しながら子どもの成功体験を増やしてあげてくださいね!
執筆者:たなだ りみ
発達科学コミュニケーション トレーナー