お子さんの登校拒否がはじまり、学校に行けなくなってしまった。そんなとき、親御さんが学校の先生に相談をするのはごく普通のことですよね。ですが、学校の先生は本当に多忙。一人ひとりの子どものために使ってもらえる時間はわずかです。学校の先生と円満な関係を築き、お子さんをサポートするためのポイントをご紹介します。
1.学校の先生は「登校拒否解消」の専門家じゃない
お子さんが登校拒否を起こし、学校に行けなくなると、親としては「何とかしなければ」「学校で何かあったのでは?」と考えますよね。
そんなとき、学校の先生に相談をされる方は多いはず。
学校へお子さんの状況を申し送ることや、先生へ相談をすることは大切です。
ですが、学校の先生は本当に多忙。
日中は勉強を教えながらクラスを運営し、トラブルが発生したらその対応も行わなければなりません。
登校拒否をしているお子さん1人だけに使ってもらえる時間はほんのわずかです。
そして先生の仕事は『学校で勉強を教えること』。
登校拒否の原因が明らかに学校や先生にある場合を除いて、それぞれの子どもの状態を立て直し、登校拒否を解消することは本来、先生の仕事ではありません。
先生に対して過度な期待はせず、こちらが希望することであっても、学校側として出来ないことがあることはあらかじめ心得ましょう。
2.息子の付き添い登校中、先生にお詫びをし続けた日々
わが家の息子は小2の春に登校拒否がはじまりました。
はじめは
「おなかがいたい・・・」
と腹痛を訴え、学校の手前まで付き添いをしていました。
ですが、登校拒否が本格化し
「学校に行きたくない・・・」
と息子が言い出してからは、校門をくぐるのも困難。
下駄箱で2時間立ち尽くす日もありました。
当時の私は
「学校にこんなに長時間親がいるなんて迷惑に違いない」
「毎日、時間をさいて息子の教室復帰をうながしてくれる先生に申し訳ない」
という気持ちから、とにかく謝ってばかり。
「これ以上、先生に迷惑をかけることはできない」
という思いもあり、こちらから先生に何かを依頼することはありませんでした。
3.親の要望ははっきり具体的に伝える
◆『やってほしいこと』『やってほしくないこと』は明確に伝える
付き添い登校をしながらも、申し訳なさと遠慮から、はじめは先生に声をかけることすらできなかった私。
息子に接してくださる際のお詫びとお礼、朝と下校時の挨拶だけをし続ける日々でした。
そんなとき、息子の個人面談があり、担任の先生からこんなお話をいただきました。
「息子さんの毎日の様子はもちろんですが、登校拒否や付き添い登校に関する情報は、私たちよりお母さんの方が詳しいと思います。
いろいろ情報収集されていらっしゃいますよね?できることは全力でサポートしますので、何か要望があれば教えてください。」
先生としても、不安が強い息子のことを気にかけてくださっていたものの、
「どのタイミングで背中を押してよいか迷う」
「自分の声かけや対応で嫌な思いをさせてしまうのではないかという不安がある」
とのことでした。
過去に不登校や登校拒否のお子さんを受け持った経験はあっても、子ども1人1人必要な対応は異なるため、常に対応は迷うそうです。
わが子であっても、親の私たちが日々悩み考えながら解決策を検討しているのですから、担任の先生が迷われるのは当然のことですよね。
お子さんの特性や状況をふまえ、『やってほしいこと』『やってほしくないこと』がある場合は、はっきり具体的に伝えるようにしましょう。
◆子どもの状況をこまめに伝える
登校拒否をしているお子さんは日々、成長や後退がみられるものです。
昨日までは『やってほしい』対応が、今日は『やってほしくない』対応に変わっていることも。
そのため、お子さんの状況はタイミングをみて先生にこまめに伝えておきましょう。
付き添い登校をされている場合は、登校時や下校時の挨拶に加えて、一言二言お話する程度であれば、先生の負担も少ないはずです。
子どもの状況を先生に知っていただくことで、家庭と学校が協力しあい、お子さんの登校しぶり解消につながるサポートができるようになります。
4.お詫びをお礼に言い換える
息子の付き添い登校をはじめたばかりの頃、担任の先生や副校長先生、スクールカウンセラーなど息子をサポートしてくださる先生方によく言われたことがあります。
それは
「お母さん、そんなに謝らないでください」
ということ。
お会いしたときにお詫びをしていたことはもちろん、息子の小学校では、遅刻や欠席の連絡をGoogleフォームで行うため、その備考欄にもお詫びを添えて連絡をしていました。
「遅刻の連絡でかしこまらなくていいですよ!『◯時間目から行きます』とだけお知らせいただければ十分です」
と個別に声をかけていただいたことも。
そして気づきました。
毎日謝られ続けると
「自分は謝られるようなことをされている」
という嫌な気持ちにもなる。
そして、過剰なお詫びは『本当に伝えるべき内容のポイントをわかりづらくしてしまう』ということ。
そして、息子は少なくとも息子の学校の先生方にとっては
『謝らなければいけないような悪いこと』
をしている訳ではない。
そこからはどんな状況でも、「お詫び」を「お礼」に変換することを意識しました。
謝る必要があること以外はすべてお礼に置き換える。
そうしたことで、お詫びばかりしていた頃よりも、先生方も笑顔で接してくださることが増えました。
そして、何よりも自分と息子の気持ちに変化がありました。
私たちは悪いことをしているんじゃない。
大丈夫。今、出来ることをしよう。
そう思えるようになったのです。
みなさんもぜひ、学校の先生へのお詫びをお礼に置き換えしてみてくださいね。
執筆者:永瀬 未歩
発達科学コミュニケーション トレーナー