行動をなかなか切り替えられない発達障害グレーゾーンのお子さんにイライラしたり、お互いにネガティブな感情を引き起こしてしまったり・・・何とか褒めて行動を促そうとするけど、効果がなく、褒め疲れしているママはいませんか?そんなママの声かけをお子さんに届ける秘密のテクニックをご紹介させてください!
1.「子どもは褒めて育てる」と言うけど・・・
「子どもは褒めて育てる」
よく聞く言葉ですが、褒めてもあまり効果がない!なかなか思い通りに育ってくれない!!とお嘆きのママはいませんか?
お子さんの年齢がだんだん年齢が上がってくると、「すごいね」「上手だね」と褒めはやしても、反応がない、むしろ不機嫌になるというお子さんもいるかもしれません。
特に、発達障害グレーゾーンのお子さんの場合、褒めても不機嫌、なかなか褒めが届かない、褒める言葉がマンネリ化してきていると感じていらっしゃるママもいらっしゃるかもしれません。
そうなると、行動をなかなか切り替えられない子どもにイライラしたり、お互いにネガティブな感情を引き起こしてしまったり・・・そんな状況になりやすいものですよね。
この記事は、何とか子どもを褒めて行動を促そうとするけど、効果がなく、褒め疲れしているママのお役に立てるかもしれません!
先回りの指示出しばかりしているママやその指示や要求が伝わらないと困っているママにも参考になれれば幸いです。
2.褒め言葉もなかなか届かなかった発達障害グレーゾーンの我が子
私はこれまで小学校6年生になる息子に、「褒める」よりも「ダメ出し」をし続ける子育てや「こうあるべき」の常識や正論をもとに、いわゆる「昭和の躾」をして育ててきました。
息子は、繊細さを持った発達障害グレーゾーンでもともと集団が苦手な上に、新しい環境に馴染めず苦しんでいました。
それでも、無理して学校に行き、そして心身ともに疲れ切ってしまう状況が続きました。
次第に、笑顔や笑い声がどんどんなくなり、いつもイライラして落ち着かない様子。
そうかと思えば何時間もYouTubeやゲームを見続け、行動を切り替えることもままならなくなってしまいました。
そして、今まで我が子のためと一生懸命しつけてきた早寝早起き、歯磨き、着替えなどの基本的な生活習慣にも乱れが出てしまい、これまでできていたこともできなくなってきました。
そんな息子に、今できていることを必死に褒めたり、認めたりした肯定的な言葉かけをしましたが、なかなか届いている実感がありませんでした。
3.ママの褒め言葉がなかなか発達障害グレーゾーンの子どもに届かない理由
なぜ、よいとされる褒め言葉が発達障害グレーゾーンの子どもに届いて行かないのか?
脳の仕組みからご説明します!
子どもの脳は、大人よりもたくさんの情報を処理するのが難しいため、その子にとってより必要な情報だけをキャッチします。
不安が強くいつもイライラしているお子さんは、脳の感情を司る部分が勝っていて落ち着いていないので、素直に、冷静に聞く耳ができていません。
せっかくの褒め言葉もスルーしてしまうのです。
今までダメ出しばかりしてくるママの言葉を、脳が勝手に必要ないと判断して「聞いていない」可能性が大なんです!
この状態で上部だけの褒め言葉を並べても、子どもの脳にはなかなか届かないのです。
その上、脳は言葉よりも非言語情報を先に処理する仕組みになっています。
特に我が子は視覚優位の特性があり、耳からの情報を処理するには時間がかかりました。
それに気づかず、私はいつも上部だけの褒め言葉を、早口で半信半疑で並べている褒め方をしていました。
そして、それを見透かすかのように我が子は褒め言葉を聞き流してしまっていました。
そんなお子さんの聞く耳を開かせて、脳に届かせるポイントが3つあります!
4.子どもの脳に届く褒め方のポイント!3Sとは?
お子さんの耳を開かせて、脳に届かせるためには、お子さんにとってママの言葉が「心地いいから聞いていたい!」と思える必要があるんです。
言葉の伝わりやすさは、提案の言い方に3つポイントがあります。
キーワードは3つのS
①SMILE(笑顔で)
子どもの脳は、言葉の中身よりも表情や雰囲気などの非言語情報の方が先に処理される傾向があります。
だから、何を言うかよりもどんな感じで話しかけるかの方が大事です。
ママとしては、注意や指示の声掛けをしたい場合であっても、 決してネガティブ感を出さないのがポイントです。
そこでまず大切なのは、ママの笑顔!
発達障害グレーゾーンのお子さんは、ママが話をしたときに、全く聞いていない。
または、自分の世界に入っていて耳がシャットダウンされている感じで反応しない場合などがあります。
私の場合、これまで先回りの指示やできてないところへのダメ出しなど、子どもにとって、耳が痛い指示のことが多かったので、子どもが無意識にシャットダウンしていた可能性があります。
そこで、まず、お子さんの耳を開くために、まずはママの笑顔!となるわけですね。
②SOFT(やさしく、穏やかな声で)
実は、ここぞという大事な時ほど、大声ではなく、優しく穏やかな声で話す方が、子どもの脳に伝えたいことをきちんと届けることができます。
大声などの強い刺激を与える言葉だと、脳の感情系が興奮し、集中的に働きます。すると、話をしっかり受け取るために必要な脳の理解系の働きが鈍くなるのです。
子どもとの会話は、「優しい声・トーン・声色で」を合言葉にしましょう!
ただ、わかっていても忙しい日常で指示が通らないとつい声を荒げてしまうことも少なくないですよね。
そんな方におすすめの方法があります!
それは、「息を吐いてから話し出す」ことです。
イライラしてつい声を荒げてしまう場合は、無意識のうちに息を思い切り吸ってから話し始めていることが多いそうです。
そうすると、どうしても勢いのある声が出ちゃいますよね。
息を吐いてから声を出すと、物理的に大きな声が出せません。
もともと声が大きいと言われた私でしたが、息を吐き、心を落ち着かせ、息を整えてから話し出すと、穏やかで優しい声で話せるようになりましたよ。
私のように地声の大きい方もぜひ試してみてくださいね。
③SLOW(ゆっくり・間をとって)
大人に比べ未熟な子どもの脳は、2つ以上の脳の機能を同時にうまく働かせることができません。
未熟な脳ほど1つの活動に集中しがちになるので、考えることに集中すれば相手の話を聞き逃すし、真剣に聞いていると、自分で考えることができなくなります。
だからこそ、上手に「間」を取って、子どもが脳の処理を順番に進めていく時間を確保しなければなりません。
子どもと話をするときは、「ひとつ話し、ふたつ待つ」というペースを心がけてみました。
このペースであれば、子どもは言われたことを頭の中でリフレインできます。
子どもが話を理解するための時間をしっかり確保する!
そのために、ゆっくり間を取ることが必要なのです。
私は、まず、子どもの名前を呼んで、一呼吸置いて話すことにも気を付けました。
お子さんが小さかったら、間を取るだけでなく話すスピードも、ゆっくりにすることもおすすめします。
5.褒めが届くようになった我が子の変化
最近、YouTubeを見ながら、息子が突然、ぽつりと言いました。
「お母さん、やさしくなったよね。前はいつもイライラしてこわかった。」
先にも述べましたが、私は「昭和の躾」で子育てをしてきた先回り・ダメ出しママでした。
それしか知りませんでした。
そんな私でも発達コミュニケーションの肯定の関わりを学び、少しずつ変わっていくことができたのかなと思います。
子どもを変えることばかり考えてきましたが、私の関わり方が変わることにより、子ども自身にも変化が見られるようになってきました。
夕方台所に立っていると、自分から「ぼく味噌汁作るね!」と言って、冷蔵庫からみそ汁の具を自分でチョイスしててきぱきと作ってくれたり、朝一度の声かけで自分で起きてきたり、提案したことを素直にやってくれたりすることが増えました。
以前の私のように、何とか子どもを褒めて行動を促そうとするけど、効果がなく、褒め疲れしているママの参考になればうれしいです。
執筆者:コムラ りさ
発達科学コミュニケーション リサーチャー