お子さんに新しいことに挑戦してほしいと思っているけどなかなか挑戦できない、なんとか挑戦してみても逃げ出してしまう、そんな経験したことのあるママはいませんか?それは脳が危機を感じている証拠。お子さんのストレスを軽減し新たなことに挑戦できるようになる…そんなママのテクニックをご紹介します。
1.新しいことに挑戦できない子どもにイライラ・モヤモヤ…
私たちは、新しいことに挑戦することで自分に自信がつき、体験することで楽しさや感動を味わえるものだと信じています。
挑戦や体験をすることで、実際に自信がつき感動を得ることが出来たという経験をしてきたからです。
そのため、我が子にも同じような経験をしてほしいと期待してしまいます。
しかし…
「いろんなことに挑戦してほしい…」「いろんな体験をさせてあげたい…」という親の思いとは裏腹に
「お子さんの気が進まない…」「体験教室に行っても逃走してしまう…」新しいことに挑戦できない子どもの様子にイライラ・モヤモヤしたことのあるママも多いかもしれませんね。
2.体験会で逃走してしまった息子
私もそんな経験をしたことがあります。
息子に何か体験させたいと思い「これに参加してみない?」と誘ってみても、「うーん…」としか言わず、良い返事が戻ってきたことはありませんでした。
また、誘っていたサッカー教室に「行ってみようかな…」と反応があったため、体験教室に申込みをしたことがありました。
しかし当日になり体験教室に行ったところ、なんと息子は始まる前に「逃走」したのです。
参加するどころかその場から逃げ出してしまい、結局体験することはできませんでした。
集合場所に向かう途中から表情が固くなりソワソワしはじめ、みんなが集まる場所まで行ったもののそこから走っていなくなってしまいました。
小さいころから恥ずかしがりやだと思っていましたが、まさか逃走するなんて…
その時はなぜそんな行動をするのか全く分かりませんでした。
3.新しいことに挑戦できない本当の理由
私の息子がなぜ
・新しいことに挑戦出来ないのか?
・その場から逃げ出してしまうのか?
この行動を脳科学的に紐解いていきたいと思います。
私の息子は自閉症スペクトラム症(ASD)の傾向がある子どもです。
一般的にASDの子どもは、定型発達の子よりも、脳の内側のエリアが敏感に働き、外側のエリアの働きが弱くなるという特性を持っていると言われています。
脳の内側のエリアは『動物脳』と言われており、意識や呼吸、ホルモンなど生命維持に関わる部分です。
自分の身に危険が迫ると、それを不安や恐怖と感じ身を守ることを優先します。
一方、脳の外側のエリアは高次機能を司るエリアで、考えたり行動したりする働きを持っています。
要するに、私の息子のようにASDの特性を持っている子どもは、新しいことに直面すると『不安・恐怖』の方が強く働いて、その後の思考まで繋がらない状態になってしまうのです。
そのため、新しいことに挑戦できなかったり、その場から逃げてしまったりするのです。
息子の行動を脳科学的に解明することで、その行動の裏にある本当の理由を見つけだすことができ、息子に合った対応を実践することができました。
4.新しいことに挑戦しようと思えるようになったママのテクニック
自分の身を守ることを優先している状態では、何か新しいことを体験したり挑戦することは難しい。
そのため、まず、私は息子の気が進まないことを無理強いすることはやめました。
親のきもちとしては様々な体験をしてほしいと思うところですが、そこをグッとこらえました。
息子が好きなこと、やりたいことを優先するようにし、息子が何かやりたいと思う時まで見守ることにしました。
ただ、やるかどうかは別として〇〇教室があるよ、△△体験ってあるよ、という情報提供はサラッと伝えていました。
元々スポーツが得意で、野球が好きな息子は大谷翔平選手に憧れています。
メジャーリーグ開催時期は、朝からメジャーリーグの試合を見て過ごしていました。
一緒に公園でキャッチボールをしたり、バッティングセンターには毎日のように行っていた時期もあります。
そんな中、私たちの住む地域でMLB主催の野球教室が開かれるという情報をキャッチしました。
場所も遠くない!
元メジャーリーガーが2人も来る!
野球初心者向けだし、低学年と高学年で実施時間が違う!
息子には、いつものようにサラッと「MLBの野球教室があって、テレビにも出てる元メジャーリーガーが教えてくれるんだって。申し込みが必要なんだけど…。」と伝えてみました。
良い返事は期待していませんでしたが、息子からは「申し込んでみてもいいよ」との返事が!
早速申し込みをしたところ、無事に参加できるとの返事が来ました。
ただ、私には1つ心配なことが…。
それは以前体験前に逃走したことです。
今回はどうだろう?と不安を抱えながら当日を迎えました。
受付の時点でたくさんの人がいます。
ここで逃げ出すのでは…と思っていましたが表情が固くなることもなく意気揚々と会場の中に入っていきました。
たくさんの親子がいましたが、その中に入って行くことができましたし、いざ練習が始まってからは他の子どもたちと一緒に行動し練習に参加してました。
あの逃げ出した息子が生き生きと野球を教えてもらっている姿から
・本当に好きなことをしているときは楽しいという感情が高まっていること
・脳の内側で危機を感じるよりも外側の脳が優位に働いている状況であること
・そのため、どうやって打つのか投げるのか走るのか…を考えながら練習出来ている
以前逃げ出したときの息子と今回の息子の違いを感じることが出来ました。
新しいことに挑戦できない、挑戦しようとしても逃走してしまうお子さんは弱いわけではありません。
それなりの理由があるのです。
そのようなお子さんがいたら、無理強いせず、やりたいと思うまで見守ってみませんか?
自分から本当にやりたい!と言える時期がきっと来るはずです。
執筆者:せがわ よしか
発達科学コミュニケーション トレーナー