子どもが登校しぶりを始めると、親はどう対応したらいいのか迷います。無理やり学校に行かせようとして登校しぶりから不登校になってしまった小学生の娘が、おうちで肯定の声掛けをすることで少しずつ登校できるようになったお話を紹介します。
1.子どもが登校しぶり!どう対応したらいいの?
学校へ行くのが憂鬱で朝の支度が進まない、子どもが毎朝「学校へ行きたくない!」と言う・・・。
こんなとき、どうしたらいいんだろう?どんな対応が正解なの?と悩みますよね。
こうした状況に直面したとき、「辛そうなわが子を見ているのは辛い、けど、学校にはちゃんと行って欲しい。」と考えるお母さんは多いと思います。
また、学校を嫌がる理由がはっきりしなかったりすると、ただのわがままに見えてしまうこともあります。
でも、それって本当にわがままなのでしょうか?
「学校に行きたくない」は、子どもからのSOSです。
無理に学校に行かせることで、状況が悪化してしまうこともあります。
一旦、お母さんの「学校に行って欲しい」という気持ちは置いておいて、お子さんをおうちでゆっくり休ませてあげませんか?
ただ学校を休ませるのではなく、お子さんが元気になるために、お母さんができるおうちでの対応のヒントをご紹介します!
2.小学生のわが子の登校しぶりを悪化させてしまった私の過去
うちの現在小学5年生の次女は、学校が苦手です。
今でこそ、ほぼ毎日登校していますが、登校しぶりをこじらせて不登校になってしまった過去があります。
次女は、不安が強く、初めての場所や人が苦手で、緊張して固まってしまうような子です。
小学校入学にあたり、慣れるまで少し時間はかかるだろうな、とは思っていましたが、まさか自分の子どもが登校しぶり・不登校を経験するなど、思いもよりませんでした。
娘に登校しぶりの兆候が出始めたのは、小学校に入学してすぐの頃です。
最初は、お腹が痛いとか気持ち悪い、というので体調不良かな、と休ませていましたが、学校に行かなくてよくなると急に元気になる娘を見て、「あれ?」と思うようになりました。
ただこの時は、担任の先生が上手に励ましてくださり、何とか1年生の間学校に行くことができました。
しかし、2年生になり、クラスも担任の先生も変わると、ゴールデンウィークが終わったころから、急に朝の支度が遅くなり、通学団でみんなと一緒に歩いて登校できなくなりました。
そこから、毎朝車で学校に娘を送り届ける日々が始まりました。
始めの頃こそ、送っていけばすんなり車から降りて自分で校舎に入って行っていましたが、段々と自分では車から降りなくなり、児童玄関まで付き添うようになっていました。
その足取りも段々と重くなり、始業ギリギリにしか登校できないようになりました。
そして、登校しぶりはどんどんとひどくなり、車から降りるのを断固拒否する、車から降りても動かなくなる、といったような状況となり、先生と一緒に子どもを引きずって校舎に放り込んでは逃げるように仕事に向かう、ということを毎日繰り返していました。
そして、3年生になると、朝起きられなくてなり、起きてきても中々服も着替えなくなってしまいました。
ついに学校に行かなくなってしまったのです。
当時の私は「何とか学校にだけは行って欲しい」という思いが強く
・無理に登校させないほうが良いとは言うけど、一度休み癖がついてしまったら、もう登校できなくなってしまうのでは?
・もし、このまま不登校になってしまったら、この子の将来はどうなるんだろう?
という不安から、「学校に行きたくない!」という娘の気持ちを無視して、無理にでも娘を学校に行かせようと必死になっていたのです。
3.登校しぶりの裏側には発達の凸凹があるかもしれません
学校を嫌がり始めた頃、その原因は何かがはっきりとはわかりませんでした。
子どもに「何が嫌なの?」と聞いても、「これだ」というものもなく、先生に学校での様子を聞いても問題はなさそうでした。
その後、不登校になってから発達の検査を受け、娘には発達の凸凹や聴覚に過敏性があることがわかり、これが、学校生活でのつまずきにつながっているのではないかとの指摘を受けました。
発達に凸凹のあるお子さんは学校生活で苦手なことが多く、小さな失敗や上手くいかない経験から自信を失くしがちです。
例えば、聴くことが苦手で指示を聞き逃してしまったり、理解に時間がかかって動作が遅くなってしまったり、と上手くいかないことが積み重なってストレスとなり、自信をなくしてしまいます。
また、不安の強いお子さんは、こうしたストレスが増えることで更に不安を感じやすくなって精神的に不安定になってしまうこともあります。
ただ、当の本人は一体何が原因で学校が嫌なのかかをはっきりと認識できていないことがほとんどなので、お母さんや先生に何に困っているかをはっきりと伝えることができないのです。
更に、娘の特性を理解していなかった私は、登校しぶりや不登校を「やる気がない」とか「わがまま」と捉えてしまっていたことから、厳しくしつけようと怒ることが多く、そうした対応が子どもの自信を奪ってしまっていました。
「ご飯だよ」と何度も声をかけても動かない娘にイライラ、最後には怒鳴る始末。
いつも「まだこれやってないの?」、「これ、ちゃんとやらないとだめでしょ!」など、ダメ出しばかり。
学校でも上手くいかない、家でも怒られてばっかり・・・。
娘の心は限界だったのです。
4.しっかりとおうちでエネルギーを充電しよう
まずは、お家でゆっくり過ごしてエネルギーを充電させてあげましょう!
そのためには、どんな小さなことでもいいので、「できていること」を伝えてあげることです。
「1人で起きてこれたね!」「お着換えしたんだね!」「ご飯の後、すぐに歯磨きできたね!」とできていることを認めてあげます。
何もすごいことをやったとか、上手くできたとかじゃなくていいのです。
普段できて当たり前のことでも、「できてるよ!」とこまめに声をかけてあげることで少しずつ元気が出てきます。
このとき、大切なのは、できていないことをいちいち指摘しないことです。
できていないことはスルーしても大丈夫です。
まずは、子どもをしっかり肯定することです。
できていることを伝える声掛けをして、できていないことはスルーする、これを実践すると我が家ではすぐに嬉しい変化がありました。
まず、朝の支度がスムーズになりました。
そして、ご飯やお風呂など、何度言っても動かず、時には癇癪を起こしていたのが切り替えられるようになりました。
こうして日常生活がスムーズに回り始めると、徐々に学校にも登校できる日が増えていきました。
登校しぶりはすぐに解決するものではありませんが、おうちでのこうした声掛けで子どもは行動できるように変わっていきます。
みなさんもぜひ、お子さんの「できていること」をたくさん見つけて、伝えてあげてくださいね。
執筆者:中川まさみ
発達科学コミュニケーション リサーチャー