自閉スペクトラム症(ASD)の子のこだわりの中でも、ありがちなのが服に対しての強いこだわりです。「服なんてなんでもいいじゃない!」と、このこだわりをやめさせようとしていませんか?どうしたらこだわりが和らぐのか、その方法をご紹介します!
1.理解できない!子どものこだわりが強すぎて悩んでるママへ
子どもの服に対するこだわりはありませんか?
自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンの小3の娘も服のこだわり多め女子です!
おしゃれ好きなのに、服は2着で着回しをしがち。
服に対してたくさんのこだわりがあるので、なんでもいいは通用せず。
お気に入りの服が汚れてしまったりすると、癇癪を起こしたりすることもありました。
こだわりと言っても、生活に支障がでないレベルだったら良いのですが、服はどうしても目につくので、親もどうにかならないかなぁと思ってしまいますよね。
2.「え?どうして?」こだわりをあげればキリがない!
娘の服のこだわりが炸裂したのは夏の始まり・・・
「Tシャツがない!」と言い出した娘に、去年のTシャツを出したら
「半袖は肘まであるものか長袖がいい!」と言って着るのを拒否!!
さらに、私はタイトなジーンズを履いてほしくて、ジーンズの良さを娘に勧めるも
「ジーンズはぴったりするし、ゴワゴワだから嫌!」
「靴下は膝が隠れるもの!」
「ショートパンツじゃないとやだ!」
とどんどんこだわりを出してきました。
気がついたら家にある去年の服はサイズ的には着れるのに、全然着ない状態に。
お店に行ってみても、色やデザインもこだわり、
「これは裾が長すぎる」
「生地感がいまいち」
と服を買うにもなかなかいい服が見つからない!
やっと見つけた気に入った服を、何着か購入しても着心地などから2着しか着なくなり、夏が終わるまで1日おきに気に入った服を着回していました。
他の服も着ればいいのに、と思いますが、こだわりからか娘の嫌ポイントがある服は、全然着られることなくタンスの肥やしになることに…
こだわりが強すぎて私も困り果ててしまいました。
季節の変わり目は新しい服を探さなきゃいけないので、毎年私には大きなストレスになっていました。
3.なぜ、こんなにもASDの子どもはこだわりが強いの?
ASDの子どもは、脳の特性からこだわりが強い傾向があります。
こだわりが強くなる原因として、感覚に対する過敏、鈍感さが挙げられます。
大人には感じない感覚が、感覚過敏、敏感な子にとってはとても不快に思ってしまいます。
服の生地感、肌触り、締め付け感、タグが当たるなど気になることは様々。
また暑さ、寒さに鈍感になると、
冬でも半袖を着てしまったり、夏でも肌の露出が少ない服を着てしまう…
など季節感のない服選びになってしまうこともあります。
この服が好きだから!というより
この服を着ていると脳が安心するから。
服のことが気にならずに他のことに集中できるから。
結果、いつもと同じ服がいい!となります。
さらに、ASDの子どもにはマイルールがある場合が多く、そのルールを守ることで安心します。
「いつもの同じ服」という習慣を変えてしまうとパニックになるケースもあるのです。
周りの大人が考える以上に、服の習慣を変えることがASDの子どもにはストレスで、本人も苦労しているのだなと見守ってあげましょう。
4.子どものこだわりに困っているママが今すぐできる3つの対応策
そんな感覚過敏・鈍感やマイルールのあるASDの子どもですが、ママが3つのことを意識するだけで、その強いこだわりを和らげてあげることができます。
①放っておくこと
ASDの子たちはストレスに弱いので、こだわりについて指摘すればするほどストレスがかかり、この行動はエスカレートしていきます。
あれこれ気になることもありますが、まずはスルーする方法をとってください。
脳が成長すれば、必ずそのこだわりは和らいでいきます。
②「まぁいいか」と親が言う
ASDの子たちは完璧主義で、失敗を許さない子もいます。
「まぁいいか」
「仕方ないよね」
を親がたくさん言ってあげることで、子どもも 「この服が乾いてないけど、まぁいいか」という考え方が身についていきます。
こだわりやマイルールはあっても、時には柔軟にしてもいいという考え方をたくさん経験させてあげましょう。
そうすることで子どももこだわりが薄らいでいきます。
③こだらわりが和らぐのはいつ?
こだわりが和らぐのは言葉が発達してきてからで、親子でいろんな会話をして、楽しめるようになってからです。
すると気がついたら「こだわりが減ってる?」と気づくことになるでしょう。
今も娘は、服に対するこだわりがあります。
しかし同じ服を着てくれた方が
「服代がかからないからいいね!」
「黒い服だと汚れても目立たないし、いいか!」
「服選びに時間かからなくていいね!」
と娘の強すぎるこだわりを前向きに捉えてあげています。
そうやって否定をしないことで、こだわりのいいところを見てあげられるし、声掛けも肯定的になっていることにも気づきました。
そうやってこれからも娘のこだわりを、長い目で見守って行きたいと思います。
執筆者:豊泉 えま
発達科学コミュニケーション リサーチャー