「悪いことをしたら謝るのが当たり前!」そんな風に子どもに伝えていませんか?アスペルガー傾向のある子はごめんなさいが言えないことで怒られやすいのですが、頭ごなしに叱ってもなかなか謝れるようにはなりません。特徴と原因を踏まえ、効果的な対応をお伝えします!
1.なかなか謝ることができない子どもへの対応の仕方に悩んでいませんか?
子どもが悪いことをしていたので指摘したり注意したりすると、
「だって〜だから!」
「僕は悪くない!!」
と反論してくるということはよくありますよね。
そんな時、どんな対応をされていますか?
なぜ悪かったのかを説明しようとしてもなかなか聞く耳を持ってくれず、悪い行いをしたことと謝れなかったことが重なって、ママがよりイライラしてしまうということもよくあるのではないでしょうか。
また、「こんなに自分が悪いというを認められないなんて、育て方が悪かったのかな」と悩んだり、
「お友達にも素直に謝ることができないのかな」と心配しているママもたくさんいらっしゃると思います。
子どもが自分の非を認めず、泣いたり怒ったりする姿を目の当たりにすると、性格の歪みに結びつけてしまい、改善が難しいのではと思ってしまうのですが、実はそんなことはありません。
適切に段階を踏んで対応していけば、比較的簡単に改善することができますよ!

2.アスペルガー症候群グレーゾーンの息子に「謝りなさい」と言うと癇癪が起きる…
アスペルガー症候群グレーゾーンの4歳の長男は、こだわりが強く、思い込みが激しいところがあるので、自分の中の正解や正義を弟に押し付けてしまい、よくきょうだい喧嘩を引き起こしてしまいます。
喧嘩の流れを見ていて明らかに長男に非がある時には、当然、「今の〇〇がよくなかったよ、謝って」と長男に声をかけるのですが、本人はそれをなかなか認められません。
それどころか、
「なんで!!!僕は悪くない!!」
「〇〇(弟)の方が悪かったよ!!」
と、すごい剣幕で怒ってしまいます。
そこから癇癪に発展することもあり、対応の難しさを日々感じていました。

3.ごめんなさいが言えない!行動の背景にある理由とアスペルガーの特徴
突然ですが、ここで、あなたご自身のことを振り返っていただきたいのです!
自分の非を認めるということ、ママはできていますか?
ドキッとされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、非を認めるということは、大人でも難しいんですよね。
だからこそ、子どもに教える時には工夫が必要なんです。
また、自分の非が認められないということの裏には、『自分のことをもっと認めてほしい!』という気持ちが隠れています。
つまり、自分の欲求が満たされていないため、相手のことを考える余裕が持てない状態になってしまっているのです。
さらに、アスペルガー症候群の子どもにはこだわりが強く、プライドが高いという特徴があるので、この欲求を満たしてあげることが特に重要です。
アスペルガー症候群の子どもは、頭がよく、プライドが高いので、一見自信があって頑固な性格に見えるかもしれませんが、実は逆なんです。
自分に自信がなく臆病だからこそ、「僕が正しいんだ!」と強く主張しているのです。

4.特別なことは必要なし!意外と簡単なのに効果抜群の対応とは
まずは、このような特徴をママが理解し、寄り添う姿勢を見せることが大切です。
具体的には、
「そんなこと知ってるんだ!すご〜い!」
という風に、子どもの興味や知識に対して関心を見せたり、
「〇〇くんが教えてくれたから△△できたよ!ありがとう!」
と、子どもがしてくれたことに対して感謝の気持ちを伝える、といった対応です。
「今日はちょっと疲れちゃったよね」
「頑張ったね!見てたよ〜!」
と言う具合に、『あなたのことちゃんと見てるよ』と伝えてあげるのも良いですね。
また、普段のコミュニケーションの中でアスペルガー症候群特有の感性や感覚を否定しないということも大切です。
ママにとっては悪気がない言葉でも、子どもが「否定された…」と傷ついてしまっていることも少なくないので、改めて自分の言動を振り返って「この言葉を言うのはやめよう」と決めるのも有効かもしれません。
これらの対応を心がけたところ、我が家の長男は全体的に人当たりが柔らかくなり…
なんと、なんと!!
「今のは僕がやっちゃったんだよ、ごめんね」と自ら言えるようになりました!!
最近は弟とも仲良く遊んでくれて、すっかりいいお兄ちゃんです。
ママは毎日忙しいので、どうしても子どもが問題行動を起こしてから「どういう風に対処しよう?」と考えることが多いと思うのですが、問題行動の原因は『問題が起こる前』にあります。
だからこそ、特別な対応よりもいつもの日常での対応が何よりも効果的なのです。
ママも力を抜いて、お子様との会話を楽しむ時間をつくってみてくださいね。

執筆者: 中谷 そら
発達科学コミュニケーション トレーナー