友達家族とのお出かけで、ASD特性のある子が疲れて癇癪を起こすのは「わがまま」ではなく刺激の限界サイン。「帰りたい」が始まる前にできる準備と声かけで、外出がラクになった方法を紹介します。
1.友達家族とのお出かけがしんどい…途中でグズる子に困っていませんか?
友達家族と出かけたのに、途中から子どもが不機嫌になってしまう。
急に遊べなくなる、地面に座り出す、帰りたいと言う…。
周りは楽しそうなのに、自分だけ気を使って疲れてしまう。
「うちの子だけ?」と焦ったり、「ちゃんとさせなきゃ」と思うほど空回りする。
そんな経験ありませんか?
この記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の特性のある子が友達家族とのお出かけでしんどくなる理由と、無理に合わせさせなくても一緒に過ごせる時間が伸びた我が家の工夫を紹介します。

2.無計画だった私が痛感…帰りたい連発と癇癪でぐったり
我が家の長女には、赤ん坊の頃からの友だちがいます。
うちの子の癇癪やじっと座っていられないこともわかってくれているママだったので、私も安心して一緒に遊ばせることができました。
その友だち家族と卒園の記念に、人気のテーマパークへ泊まりで行こうという計画が出て、「楽しそう」と思うのと同時に「大丈夫かな…?」と不安の方が大きくなりました。
それでも「なんとかなるでしょ」という私の楽観的な性格もあり、何の予防線もはらずに当日を迎えました。
最初はおそろいのドレスを着て楽しそうにしていたのに、時間が経つにつれて崩れていく我が子。
いつも遊んでいる時は順番にやりたいことを譲り合ってできているのに、それもできなくなり、「次はあれに乗りたい。他はやだ」と言い張り、希望が叶うまで座り出しました。
約束したことを守れない、
順番が待てない、
思い通りにならないと怒る、
急に帰りたがる。
私は友だちの手前「せっかく来たんだから」「友だちも待ってるよ」と言うと、子どもはさらに荒れていくばかり。
相手の家族にも申し訳なくて、雰囲気を壊さないように笑いながら、心の中は焦りでいっぱいでした。
宿泊後の翌日も予定を入れていたので、朝まだ寝ている娘を起こしてお出かけしましたが、朝から不機嫌モード全開。
日中のお出かけ中も「帰りたい」を連発し、私は友達家族への愛想笑いと、子どもへのイライラと、「どうして他の子みたいにできないんだろう」という想いで胸がズーンと重くなりました。

3.ASDの外出で癇癪が起きるのは刺激と疲れが限界を超えるから
ASDグレーの我が子にとって友達家族との外出は、刺激と判断の連続になりやすかったのです。
・場面が次々変わる
・乗ったことのないアトラクションが怖すぎる
・予定がズレる
・音や匂いが強い
・待ち時間がある
・やりたい遊びが自分のペースでできない
最初は頑張れても、このような刺激が重なって疲れてくると、癇癪が出るのには理由があります。
ASDの特性のある子は、刺激や予定変更が重なると、自分の気持ちを整理したり切り替えたりする処理が追いつかなくなることがあります。
また、ASD傾向の子は、環境刺激に敏感だともいわれています。
その結果、感情があふれる形で表に出やすくなるのです。
つまり、わがままになったのではなく、いつもと違う強い刺激が多すぎて脳がフリーズし、感情のコントロールができなくなっていただけだったんです。

4.崩れる前にできる3つの準備
そんなグレーゾーンキッズとのお出かけには、前もっての準備がとても大切でした。
ポイントは我慢させることではなく、崩れる前に脳の負荷を下げて、安心して過ごせる選択肢を持っておくことです。
具体的には、この3つです。
①見通しを伝える
・流れを説明する:「最初はこれに乗って、次はこれに乗って、ここで休憩するよ。」
・動画を見せて安心させる:「このアトラクションは、こんな感じだよ。」
動画を見せておくことでイメージができ、乗るか乗らないかを事前に相談しておくこともできます。
②子どもが安心できる休憩ポイントを決める
疲れてきたらすぐに休憩できるように、エリア内の休憩スペースを把握しておきます。
ベンチでも、静かな場所でも、日陰でもいいのでここに戻れば落ち着ける場所を、疲れている中でも歩き回らなくていいように何ヶ所か知っておくのがポイントです。
③途中で選べる選択肢を用意する
休んだり、見るだけでもOK。
友達と来ていても別行動もOKです。
一番守りたいのは子どもです。
「途中、別行動になるかもしれない」ということを相手のママに事前に伝えておけば、罪悪感を持たなくて済みます。
それでもグズってしまったら、「疲れたとか言わないの」と否定するのはやめましょう。
まずは「疲れたね」と気持ちを受け止めます。
その上で、「今は座ってアイスを食べよう」と『共感+子どもが喜ぶ提案』をしましょう。
喜ぶ提案を一緒にすることがポイントです。
ただ「休もう」だけでは、「遊びたいけど疲れている」という子どもの相反する気持ちが整理できず、切り替えられない子もいます。
疲れているけど休ませたらまた元気に遊べる、ということをママは知っていますよね。
だからこそ座ってできる子どもが好きなことを用意してあげてくださいね。
最後に、
「遊びたいけど休めたね」
「ちゃんと並べたね」
「自分で切り替えられたね」
と、できた行動をその場で具体的に伝えます。
具体的に褒められた行動は成功体験として残り、少しずつ次の行動につながっていきます。

5.友達家族とのお出かけが怖くなくなった 親子の変化
この半年後にまた友達家族と外泊つきでお出かけをしました。
この関わりを続けた結果、グズるまでの時間が伸び、「次はお友達のやりたいことを一緒にやろうか」に「わかった」と言えるようになりました。
以前は「もう無理!」で終わっていた場面で、「ちょっと休みたい」と言葉で伝えられることも増えてきました。
そして事前に「別行動になるかも」と伝えておくことで、子どもを第一優先で考えて行動できるようになった、ママである私自身の変化も大きかったです。
子どもが友達と遊ぶことは、親では与えられない大切な経験と刺激になります。
親の工夫で、その機会を失わずに済むこともたくさんあります。
友達とのお出かけが怖いと思っているママは、ぜひ試してみてください。

執筆者: 大森 あみ
発達科学コミュニケーション トレーナー




