「ありがとうが言えない」「ごめんねが言えない」わが子にイライラや不安を感じていませんか?実はそれは、まだ言葉にする力が育ち途中なだけかもしれません。年長の娘との実体験をもとに、焦らずに言葉を育てる具体的な関わり方をご紹介します。
1.ありがとう・ごめんねが言えない年長に悩むママへ
「ありがとう」や「ごめんね」
子どもに身につけてもらいたい言葉の代表ですよね。
でも、せっかく誰かに何かをしてもらったのに無言だったり、悪いことをしても「ごめんね」が出てこなかったりすると、ママとしてはイライラしてしまうこともあるのではないでしょうか。
「礼儀だから言わせたい」
「このまま小学校に上がったら大丈夫かな?」
そんな不安を抱えるママに向けて、今回は私の体験談と学びをお伝えします。

2.私も同じことで悩んだ母親の体験談
私の娘は言葉を話し始めるのも早く、語彙もたくさん知っている方でした。
ところが、自分の気持ちを相手に伝えることにムラがあり、特に「ありがとう」「ごめんね」が出てこないのです。
人から何かをもらったとき、友達にちょっとぶつかったとき。
私はすぐに「ありがとうは?」「ごめんねは?」と声をかけていました。
けれど娘は無言のまま。
私はそのたびに「なんで言わないの?」「ちゃんとしなきゃダメでしょ」と焦りと不安を募らせていました。
娘を責めるつもりはなくても、「普通なら言えるはず」という気持ちが心の奥にあったのです。

3.なぜ「ありがとう・ごめんね」が言えないのか?その背景
発達科学コミュニケーションを学ぶ中で、私はようやく腑に落ちました。
子どもによっては、社会性の発達がゆっくりな場合があります。
この場合、言葉を「場面に合わせて使う」ことが難しく、字義通りに受け止めてしまうのです。
例えば、
・「ありがとう」は知っているけど、“今この場で言うべき”と判断するのに時間がかかる
・「ごめんね」と言うと自分の非を認めることになり、プライドが邪魔をする
・恥ずかしさから声に出せない
・冗談や比喩、皮肉を字義通りに捉えてしまい、気持ちと表現の間にギャップが生じる
つまり、言えないのは「気持ちがないから」ではなく、まだ表し方が育っていないだけ。
これを理解したとき、私は娘を急かす必要はないんだと気づきました。

4.子どもが安心して言葉を出せるようになる親の関わり方
理解した上で、私が実際に取り入れた工夫は大きく3つです。
①親が手本を見せる
娘がおもちゃを貸してくれたときには、すぐに「ありがとう!貸してくれて嬉しい」と伝える。
私がぶつかったときには、しっかり目を見て「ごめんね」と謝る。
②代弁して安心をつくる
娘が無言だったとき、「今ね、ありがとうって思ってるんだよね」と私が代わりに言ってみました。
娘はホッとしたようにうなずき、「そうなの」と答えることもありました。
③遊びやごっこの中で練習する
ごっこ遊びの中で「ありがとう」「ごめんね」をセリフに取り入れると、遊び感覚で声に出せるようになりました。
こうした小さな工夫を日常の中で積み重ねると、娘にとって「ありがとう」「ごめんね」は“叱られて言わされるもの”ではなく、“自分で伝えられる言葉”に変わっていったのです。

5.実際に娘が変わっていったエピソードと気づき
ある日、お友だちからシールをもらったときのことです。
以前の娘なら無言で受け取って終わっていました。
でもその日は、少し間をおいてから小さな声で「ありがとう」と言えたのです。
お友だちがにっこり笑って「どういたしまして」と返してくれた瞬間、私は胸がいっぱいになりました。
また別の日には、私にうっかりぶつかってしまったとき、「ごめんね」とぽつりと口にした娘に、私は思わず「言えたね、ありがとう」と抱きしめました。
子どもは気持ちを持っていても、言葉にできないことがあります。
大切なのは「言わせる」ことではなく、安心できる関わりの中で“言いたい気持ち”を育てること。
この経験を通して私自身も、「親が焦らず、子どものペースを信じること」の大切さを学びました。
「ありがとう」「ごめんね」が言えない子どもにイライラしてしまうのは、親として自然な気持ちです。
でもそれは、気持ちがないのではなく、まだ言葉として出す準備が整っていないだけ。
親がモデルとなり、安心の中で少しずつ練習を重ねていくことで、子どもは自分のペースで言葉を育てていきます。
焦らず、信じて、寄り添うこと。
それが子どもの言葉を引き出す一番の近道だと、私は娘から教わりました。

執筆者:かさい さち
発達科学コミュニケーション トレーナー




