運動会のプレッシャーで動けない子に。「期待が重い」を軽くするママの声かけ

空に向かって笑顔の男の子
運動会が近づくと、周囲の期待や失敗への不安から動けなくなる子がいます。運動会前に落ち込んだ息子が、自分で一歩を選べた経験をもとに、結果ではなく「気持ちと過程」に注目する声かけを紹介します。
 
 

1.考えすぎて挑戦できなくなる子ども

 
 
運動会などの学校行事が近づくと、急に元気がなくなったり、「失敗したらどうしよう…」と考えすぎて、動けなくなる子がいます。
 
 
苦手なわけではない。
 
 
本当はやってみたい気持ちもある。
 
 
それでも、「失敗したらどうしよう」「期待に応えられなかったらどうしよう」と不安が大きくなり、一歩が踏み出せなくなることがあります。
 
 
特に、敏感で慎重な子は、まわりの言葉や空気を深く受け止めやすいことがあります。
 
 
「足が速いね」
「楽しみにしているよ」
「きっと活躍できるよ」
そんな何気ない言葉も、子どもによっては「期待に応えなきゃ」という重さになることがあります。
 
 
ママから見ると、「そんなに気にしなくていいのに」と思う場面でも、子どもの中では不安やプレッシャーが大きくふくらんでいるかもしれません
 
 
けれど、ママの声かけや関わり方によって、子どもは少しずつ「やってみようかな」という気持ちを取り戻していきます。
 
 
この記事では、運動会のプレッシャーで動けなくなる子に、家庭でできる声かけをご紹介します。
 
 
下を向く子ども
 
 

2.運動会で落ち込んだ息子

 
 
前回の運動会は、息子にとって転校後初めての運動会でした。
 
 
その運動会を控えていた時期、息子はクラスメイトからたびたび「足、速いね」と言われていました。
 
 
走ることが好きで、得意だと思っていた息子。
 
 
けれどその一方で、自分では「前より足が遅くなった」と感じていたようでした。
 
 
まわりからの「速いね」という言葉と、自分の中にある不安。
 
 
そのズレが、息子の中で少しずつプレッシャーになっていきました
 
 
そして本番で、一番になれなかった息子は深く落ち込みました。
 
 
その悔しさは息子の中に強く残り、次の挑戦がこわくなっていたようでした。
 
 
さらにこの頃は、家庭の事情で私が家を空けることが増え、息子の登校に付き添えない日が続いていました。
 
 
そのため、息子は運動会の練習にも思うように参加できていませんでした。
 
 
そして迎えた次の運動会。
 
 
息子は、ぽつりと本音を話してくれました。
 
 
「運動会には出たい。でも、練習もできてないし、また一番を取れないかもしれない…
 
 
出たい気持ちはある。
 
でも、また悔しい思いをするかもしれない。
 
期待に応えられないかもしれない。
 
そんな不安と葛藤の間で、息子は揺れていました。
 
 
私は、こちらから答えを出したり、急がせたりするのではなく、「どうするかは、自分で決めていいよ」とだけ伝え、静かに見守ることにしました。
 
 
俯く男の子
 
 

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3.挑戦をためらう理由

 
 
敏感で慎重な子が、やってみたい気持ちがあっても挑戦を前に立ち止まってしまうのには、理由があります。
 
 
ひとつは、過去のつらい経験を強く覚えていることです。
 
 
悔しかったこと、恥ずかしかったこと、思うようにできなかったこと。
 
 
その記憶が強く残っていると、「また同じ思いをしたくない」と感じて、慎重になることがあります。
 
 
次に、周囲の期待に敏感なことです。
 
 
「すごいね」「楽しみにしているよ」
 
そんな言葉も、子どもによってはプレッシャーとして受け取ることがあります。
 
 
期待されるほど、「ちゃんとやらなきゃ」「失敗できない」と感じてしまい、本来の力が出にくくなることがあります
 
 
さらに、結果で自分を評価しやすい子もいます。
 
 
一番になれたか。
成功したか。
ちゃんとできたか。
 
 
結果に目が向きすぎると、「できなかった自分はダメだ」と感じやすくなります。
 
 
運動会のように、勝ち負けや順位がはっきり見える場面では、こうした不安やプレッシャーが表に出やすくなります。
 
 
だからこそ、ママが結果だけではないところに目を向けて言葉をかけることが、子どもの安心につながることがあります。
 
 
結果ばかりが気になると、「失敗したくない」という気持ちが強くなることもあります。
 
 
そんな時に、気持ちやそこまでの過程を見てもらえると、子どもは「分かってもらえた」と感じやすくなります。
 
 
その安心感が、少しずつ「もう一度やってみようかな」という気持ちを支えていきます。
 
 
不安の文字と不安そうな人形
 
 

4.結果ではなく「気持ちと過程」を見る声かけ

 
 
子どもが挑戦しやすくなる土台は、日頃の小さな関わりの中で育っていきます。
 
 
その中で私が意識してきたことは結果ではなく、子どもの「気持ち」と「そこまでの過程」に注目して声をかけることでした。
 
 
運動会のように、順位や勝ち負けがはっきり見える場面では、子ども自身も結果に目が向きやすくなります。
 
 
「一番になれたか」「成功したか」「ちゃんとできたか」そこばかりを気にしていると、「できなかったらどうしよう」 という不安が大きくなってしまうことがあります。
 
 
だからこそ家庭では、結果ではなく、今できていることや、そこまでの過程に目を向けるようにしました。
 
 
たとえば、日常の中では、
 
「起きてきたね」
「お皿下げてくれて、ありがとう」
 
と、今できている小さな行動を言葉にして伝えました
 
 
特別なことができた時だけではなく、今できていることを伝えることで、子どもは
 
「見てもらえている」
「認めてもらえている」
 
と感じやすくなります。
 
 
また、挑戦を前に迷っている時には、
 
「出たい気持ちがあるんだね」
「不安な気持ちもあるんだね」
 
と、その子の中にある気持ちを言葉にしました
 
 
思うようにいかなかった時も、
 
「悔しかったよね」
「一番を取りたかったんだね」
 
と、まずは感じている気持ちを受け止めるようにしました
 
 
そうやってママに気持ちを受け止めてもらえると、子どもは「分かってもらえた」と感じ、少しずつ落ち着いていきます。
 
 
気持ちが少し落ち着いてくると、自分の中にある「本当はどうしたいのか」にも目を向けやすくなります。
 
 
だから私は、息子が迷っていた時も、「どうするかは、自分で決めていいよ」と伝えました。
 
 
大人が先に答えを出すのではなく、子どもが自分の気持ちに気づき、自分で選べるようにするための言葉でした。
 
 
こうした関わりを続ける中で、息子は少しずつ「一番を取れるかどうか」だけではなく、「自分はどうしたいのか」に目を向け始めていたのだと思います。
 
 
座って話している親子
 
 

5.自分で選べた経験が、次の勇気につながる

 
 
私は最後に、息子を見守ることを選びました。
 
 
「出たほうがいい」「やめたほうがいい」と言うのではなく、息子の気持ちを尊重して待つことにしました。
 
 
私にとって「見守る」とは、何も言わずに放っておくことではなく、子どもが自分で考える時間を邪魔しないことでした。
 
 
日頃から、結果ではなく気持ちや過程に注目する声かけを積み重ねた上で、最後の一歩を子どもに返すこと。
 
 
それが、この時の私にとっての「見守る」でした。
 
 
そして競技の直前、息子はこう言いました。
 
 
「一番じゃなくてもいい。今やらないと後悔する。」
 
 
それは、誰かに言わされた言葉ではありません。
 
 
息子が、自分の中から出した言葉でした。
 
 
以前は、失敗への不安で立ち止まっていた息子。
 
 
けれどこの時は、結果ではなく、自分の気持ちをもとに「後悔しない選択」をしようとしていました
 
 
大切なのは、運動会に出られたかどうかではありません。
 
 
一番になれたかどうかでもありません。
 
 
不安がありながらも自分の気持ちを見つめて、自分で選べたこと
 
 
そこに、子どもの大きな成長があります。
 
 
すぐに変わらなくても大丈夫です。
 
 
ママが結果ではなく、気持ちや過程を丁寧に認め続けることで、子どもは少しずつ「うまくいかなくても大丈夫」と感じられるようになります
 
 
そしてある日、自分のタイミングで「やってみよう」と一歩を選べるようになります。
 
 
笑顔の男の子
 
 

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執筆者:たかなし りら
発達科学コミュニケーション トレーナー
 
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