予定変更が苦手で、怒ったり泣いたりする我が子の対応に困っているママはいませんか?不安が強いお子さんには、事前に計画を伝えて対応をしているママも多いかもしれません。しかし、状況によっては、せっかくのママの対応が逆効果になってしまうことも…。そんな「予定変更」が苦手なお子さんには、事前説明をする時にあることをプラスして伝えておくことが大事です!
1.予定変更が苦手で癇癪を起こす子ども
私の息子は自閉症スペクトラム(ASD)の傾向があります。
特に見通しの立たないことに対して、強い不安を持つため、初めてのことが苦手です。
そのため、医師からは
「今後、初めてのことに対して強い不安を持つようであれば、事前に情報を得ることを心がけた方がいい」
とアドバイスをもらいました。
医師からアドバイスをいただいてからは、私はなるべく初めてのことに対してはわかり得る範囲で息子に事前に情報を伝えるようにしていました。
ちょうど入学を迎える息子にとっては、小学校生活は初めてのことばかりだったため
特に学校生活においては
・入学式の予行練習をさせてもらう。
・学校の行事の前には、前年度の様子を動画で見る。
・遠足の前は場所の下見に行く。
・毎日朝から時間割、連絡帳の確認を行う。
など、なるべく安心できるように家でできる事前の情報を伝えてきました。
事前に情報を伝えて、安心して学校生活は送れていたのですが…。
ある日、問題が起こったのです。
その日も朝から時間割を確認、連絡帳で持ち物のチェックはバッチリ。
準備万端で学校に行ったのですが
どうやら、その日、クラスの担任の先生が急遽お休みになり、全ての時間割が変更になり、加えて関わったことのない先生が授業を行うことに。
息子は、しばらくクラスにいれたようですが、中休みを境に泣いてクラスに入れなくなってしまったということでした。
そして、その日はとうとう、クラスの中に入れず、廊下で授業を受けたそうです。
帰宅してから、息子は私に対して怒りをぶつけました。
「ママが間違ってた!」と言って、泣く・叩く・怒る・・・。
しばらく癇癪は治りませんでした。
そこで初めて、私がよかれと思って事前に情報を伝えていたことが、逆に息子を困らせてしまったことがわかりました。
このこと以外でも息子は、よく予定変更で癇癪を起こしてしまうことがありました。
初めてのことが苦手な息子にとって、良かれと思ってやっていた私の事前説明。
しかし、予定変更があった時のことは事前説明には想定されておらず、逆に不安を大きくしてしまい、癇癪につながっていったのだと思います。
2.なぜ不安が強い子は予定変更が苦手なの??
我が子のように、ASD傾向のある子どもは、社会的想像力がまだ発展途上なので、自分が経験したことのない状況や場所、初めて関わる人とのやりとりにとても不安を感じます。
予定変更という状況になった時
「これから何が起こるんだろう?」という不安と恐怖でいっぱいの状態になっているのです。
不安を感じることは決して悪いことではありません。
なぜなら、不安や恐怖は人間の最大の本能「生存本能」であるからです。
不安や恐怖を感じる本能があるから、人間は命を保持できていると言っても過言ではありません。
では、なぜ不安や恐怖を強く感じる人とあまり感じない人がいるのでしょうか?
それは人の脳の働きに関係しています。
人は本能的に危険なものに出会った時、命を守るために「不安・恐怖」を感じることで、いち早くその状況が「危険か安全か」を判断しています。
「危険か安全か」を判断するのは、脳の扁桃体という部分。
扁桃体は「情動の脳」とも呼ばれ、怒り・悲しみ・恐れ・喜びと強い感情を発信する部分でもあります。
不安や恐怖を強く感じてしまう人はこの働きが強いというわけです。
不安が強いお子さんは、予定変更などの日常とは違う変化に対しても、脳の扁桃体が強く受信してしまうため、過度に不安・恐怖を感じたり、時には癇癪となって強い感情を表に出してしまうこともあります。
3.事前の計画を伝えるときにプラスの説明を!
私の息子のようにASDの傾向があるお子さんは、予定変更によって予め意識していた先の見通しが崩れてしまうことに強い不安を感じてしまう傾向があるため…
「急な予定変更はなるべく避けるように」とアドバイスを受けることが多いでしょう。
実際の生活では、すべて予定通りに進めることは難しく、予定変更がない生活なんてほとんどありません。
そもそも親が事前に説明をすることで、子どもの学校での生活をすべてフォローしてあげることはできないのです。
そこで、私は息子の事前説明には必ず
「変更することもある」ことを加えて伝えることにしました。
①変更することもある(Why)
②それはなぜか?(Why)
③変更があった時は、どうしたらいいのか。(How)
私は現在、息子に事前説明をする際、この3つを重点において話すようにしています。
例えば、時間割を確認の時は…
「今日はこの時間割だけど、学校の都合で時間割が変わることもあるよ。」
「雨になったら、水泳はないかもしれないよ」
「わからないことがあったら、〇〇先生に聞いてごらん。」
などの「変更することもある」ことをプラスして声かけをするようにしました。
特に、不安が強い子どもにとっては、予定変更があった際、わからないことや困っていることをママではない誰かに聞くことができるかが重要になってきます。
そのためには、学校の先生との信頼関係を築くことが必要になってきますが…
母子分離不安の子どもは、ママ以外の大人に対して信頼関係を作っていくのが苦手ですので、先生との信頼関係をどう築いていくかということも大きな課題の1つですよね。
母子分離不安の子どもが先生を頼ることができるようになるためには、どうすればよいかは
下記の記事に書いてありますので、参考にしてくださいね!
変更があることを前提として声かけをしていると、自然と息子からは自分が不安に思っていることを私に質問してくるようになりました。
学校生活に慣れたこともありますが、このようなやりとりを数ヶ月続けたおかげで、学校生活においての予定変更は事前の説明がなくても対応できるまでになりました。
これから生きていく中で、きっと予測不能なことばかり起こるでしょう。
そのような世の中で、生きていくためにも、ソーシャルスキルとして「予定変更」に対応できる力を身につけていって欲しいと思います。