話が突然始まったり、一言で終わったり、主語がなかったり…。会話のできない自閉スペクトラム症(ASD)の子どもとのコミュニケーションにお困りではありませんか?本記事では会話が苦手な子どもの本音を知るために有効な、話の聞き方のコツをご紹介します。
1.お子さんの話が分かりにくいことありませんか?
お子さんの話すこと、理解できてますか?分かりにくいことはありませんか?
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの会話の特徴として
・急に話し出す
・主語がないまま話しだす
・話にまとまりがない
・さっき終わった内容を話し出す
・抽象的すぎる
などなど、お子さんとの会話で困ることは多々あると思います。
理路整然と話すのは大人でも難しいことです。
ほとんどのお子さんは言いたいことを言いたいときに話してしまうのではないでしょうか。
その話を聞くママも大変ですよね。
2.自閉スペクトラム症(ASD)の子どもとの会話ができない…。
私の息子は自閉スペクトラム症(ASD)と場面緘黙症と診断されており、その特性として不安があるときは自分から話すのが難しいこともあります。
ストレスがかかっていない状況では普通に話すことができます。
しかし、不安や緊張している場面では一言話すのでも精一杯です。
その一言から何を言いたいか理解するのはとても難しい事です。
「ゲーム…」
「ご飯…」
「ゲームがどうしたの?」「ご飯がどうしたの?」と聞かなければなりません。
そして、主語がないまま急に話し出すこともよくあります。
主語がないと誰の何の話なのか良く分からないまま進んでしまうので、「誰(何)が?」と質問するところから始まります。
内容が分からないと返事することもできないので、次の質問次の質問…と繰り返すことになります。
そうすると、息子はイライラし始め「ママ、何で分からないの?もういい!」と言って会話が終了することが何回もありました。
3.チャンキングとは
脳の思考力は10歳以降に伸びると言われています。
そのため、10歳未満の子が考えてから順序よく話をすることは難しいことなのです。
だから思ったことを言いたいときに言ったり、一言で答えたつもりになることも不思議ではありません。
息子は、多くを話さないことが多いので、そこから何を話したいか推測していかなければなりませんでした。
息子の中の言葉をどうやって引き出そうか…。
そんな時チャンキングという言葉と出会いました。
チャンクとは「1つのかたまり」のことです。
会話の中の言葉から「チャンク(かたまり)」を見つけてほぐしていき、また「チャンク」を見つけてほぐしていくことを繰り返す方法をチャンキングと言います。
そうしていくことで、抽象的なだった大きな「かたまり」が小さく具体的なものになります。
例えば「果物」という1つのチャンクを具体的にすると「りんご、みかん、桃、ブドウ、梨、イチゴ、パイナップル…」と細かく分けることができます。
そしてその中の「りんご」という1つのチャンクから「つがる、ふじ、紅玉、サンふじ、シナノゴールド…」と種類を分けることができます。
逆にたくさんある情報を1つの「チャンク」にまとめることもできます。
私は、会話のできない自閉スペクトラム症(ASD)の息子の一言から話の内容を聞き出すのにチャンキングが有効だと感じました。
抽象的に話したり、一言で終わったり…。
その言葉から「チャンク」を見つけほぐしていく質問ができればよいのです。
そうすることで、子どもが本当に言いたかったことが分かるはず!と思いました。
4.会話のできない自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの本音が見えた!
ある日、息子が突然「犬を飼いたい!」と言ったことがありました。
急に何を言い出すのかと思いましたが、これは本音を聞くチャンス!と思い、言葉をほぐしていくことにしました。
「犬が欲しいの?どんな犬?」
→「カワイイ犬」
「カワイイワンちゃんと何がしたい?」
→「散歩したい」
「どうして散歩したいと思ったの?」
→「だって(学校から)帰ってきても暇なんだもん」
「暇だからワンちゃん飼いたいの?」
→「だってお姉ちゃんも遊んでくれないし、ママとゲームしてもつまらないから!」
「ママとゲームつまらないんだ…。お姉ちゃん忙しいしね。」
→「そうだよ、お姉ちゃんと一緒にゲームしたいのにしてくれない!」
という本音に辿りつくことが出来ました。
ただ犬がカワイイから飼いたいのではなく、下校後に相手をしてくれる人がいないから…という本音を垣間見ることができました。
結局、パパが犬が苦手だということが分かり、飼うまでには至っていません。
しかし、息子の本音が見えたことで下校後の息子の過ごし方や私の関わり方、お姉ちゃんとの関わり方を考える機会になりました。
不登校から再登校し始めた息子は現在短時間登校し、午前中には家に帰ってきます。
息子の帰宅後に私が一緒に関わる時間を増やすようにしました。
もし、会話ができないお子さんや話したくても話せないお子さんがいらっしゃいましたら、「チャンキング」で話を聞いてあげましょう!
お子さんの本音がきっと見えてくるはずですよ。
執筆者:せがわ よしか
発達科学コミュニケーション トレーナー