友達はいるように見える。だけど、なんだか馴染めていない…
小さい頃から、
「ちょっと落ち着きがないな」
「人との距離が近すぎるかも」
「自分の話ばかりしているな」
そんな風に、
「あれ?」
と思うことはありませんでしたか?
それでも、小さい頃は
自分からどんどん友達に話しかけていた。
一緒に遊ぶ子もいた。
だから、
「まだ小さいからかな」
「そのうち、人との関わり方も覚えていくよね」
と思っていた。
ところが、学年が上がるにつれて、
友達と話してはいるけれど、
なんだか輪の中で浮いている。
楽しそうに話していたと思ったら、
急に言い合いになっている。
自分の知っていることを一方的に話したり、
相手の間違いを指摘したりして、
友達を怒らせてしまう。
そして最近、
以前ほど自分から話しかけなくなってきた。
誘われても、
「別にいい」
と断る。
家では、
「友達なんていらない」
と言うこともある。
そんな姿を見て、
小さい頃から心のどこかにあった、
「この子、人とうまく関われるのかな?」
という不安が、
「このまま、本当に人と関われなくなったらどうしよう」
という現実の心配になっていませんか?
だけど、
話しかけなくなったからといって、
この子は本当に
人と関わりたくなくなったのでしょうか?
もしかすると、
友達が嫌いになったのではなく、
友達と関わることから、自分を守るようになった
のかもしれません。
なぜ、友達が好きだった子が、人を避けるようになるの?
小学校に入ると、
「今は座っていようね」
「先生の話を聞こうね」
「みんなと同じようにやろうね」
と、集団の中で求められることが増えていきます。
だけど、
興味を持ったらすぐに話したくなる。
「なんで?」と思ったら、
納得するまで聞きたくなる。
自分なりの考えがあるから、
「でも、こうじゃない?」と言いたくなる。
本人は困らせようとしているわけではありません。
それでも、
「今はやらないよ」
「またあなたなの?」
「どうしてみんなと同じようにできないの?」
と、注意されることが増えていくことがあります。
そして、学年が上がるにつれて、
今度は、友達からも、
「そういうこと言わなくていいじゃん」
「なんでそんなことするの?」
「また始まった」
と言われるようになる。
本人にとっては、
自分なりに考えて、
自分なりに一生懸命やっている。
なのに、人と関わるたびに、
「違う」
「やめて」
「そうじゃない」
と言われる。
そんな経験が重なると、
少しずつ、
「人と関わると、嫌な思いをする」
と感じるようになっても不思議ではありません。
「別にいい」は、本当にどうでもいいの?
だから、
友達に話しかけなくなる。
誘われても、
「行かない」
「別にいい」
と言う。
新しい集団にも
自分から入ろうとしない。
大人から見ると、
「一人が好きなんだな」
「人に興味がないのかな」
と思うかもしれません。
だけど、
「別にいい」は、
本当にどうでもいいとは限りません。
本当は一緒にやりたかった。
本当は仲間に入りたかった。
本当は友達が欲しかった。
だけど、
またうまくいかなかったら嫌だ。
また何か言われたら嫌だ。
また「自分だけ違う」と感じるのが嫌だ。
だったら、最初から、
「いらない」ことにしてしまう。
そうすれば、
傷つかなくて済むからです。
友達はいる。だけど「僕には友達がいない」
さらに、こんなこともあります。
学校では話している子がいる。
一緒に遊ぶ子もいる。
先生からも、
「ちゃんとお友達と過ごしていますよ」
と言われる。
なのに、本人は、
「僕には友達がいない」
と言う。
ママからしたら、
「え? ○○くんと仲いいじゃん」
と言いたくなりますよね。
だけど、
この子が求めている「友達」は、
ただ一緒に遊ぶ人ではないのかもしれません。
「僕のことを分かってくれる人」
なのかもしれないのです。
「僕はこういうつもりだった」
「本当はこうしたかった」
「これが嫌だった」
本人の中には、
たくさんの気持ちがあります。
だけど、それをうまく言葉にして
相手に伝えられていないことがあります。
それなのに、
「友達なら、僕のことを分かってくれるはず」
と思っている。
だから、
分かってもらえなかったとき、
ただの意見の違いではなく、
「僕のことを分かってくれる人はいない」
と感じてしまうことがあります。
人と一緒にいるのに、孤独。
友達はいるように見えるのに、
本人の中では、
「僕には友達がいない」
になってしまうのです。
「人と関わらない」は、自分を守る方法なのかもしれません
人と関わりたい。
だけど、関わると傷つく。
分かってほしい。
だけど、分かってもらえない。
この状態が続いたら、
人から離れることで
自分を守ろうとすることがあります。
話しかけない。
輪に入らない。
誘われても断る。
「別に一人でいい」と言う。
あるいは、
自分の知識を強く主張したり、
相手より上に立とうとしたりすることで、
自分を守ろうとすることもあります。
私は、
こうして自分を守ることに
力を使っている状態を、
「防衛モード」
と捉えています。
だから、
「もっと友達と遊んだら?」
「自分から話しかけなよ」
「そんな言い方したら嫌われるよ」
と、人との関わり方だけを直そうとしても、
うまくいかないことがあります。
必要なのは、
無理に人の輪へ戻すことではありません。
まず、
「自分の気持ちを出しても大丈夫」
と思える場所をつくることです。
最初の練習相手は、ママでいい
「本当は一緒にやりたかった」
「嫌われた気がして嫌だった」
「僕はこういう意味で言った」
「本当は分かってほしかった」
そんな気持ちを、
まずは、一番安心できるママに
話せるようになる。
そして、ママが、
すぐに正したり、
解決したりするのではなく、
「そう思っていたんだね」
と受け取る。
すると、子どもの中に、
「本当のことを言っても大丈夫だった」
という経験が増えていきます。
この経験が、
人と関わるための
小さな土台になります。
「分かってくれない」から、「伝えてみる」へ
ママに気持ちを話せるようになると、
少しずつ、
「僕はこう思った」
「それは嫌だった」
「本当はこうしたい」
と、自分の気持ちを
言葉にできるようになっていきます。
すると、
今までのように、
「なんで分かってくれないの!」
だけではなく、
「僕はこう思ってる」
と伝える方法が増えていきます。
そして、人と関わるためには、
もう一つ大切なことがあります。
相手にも、
「私はこう思う」
があることです。
自分の気持ちを我慢して
相手に合わせる必要はありません。
反対に、
自分の気持ちだけを
相手に押しつける必要もありません。
「僕はこうしたい」
「君はどうしたい?」
その両方を知って、
「じゃあ、どうしたら一緒にできる?」
を考える。
そうやって子どもは、
ただ「分かってくれる人」を待つのではなく、
分かり合える関係を、自分でつくれるようになっていきます。
この子に必要なのは、「みんなに馴染むこと」ではありません
私は、
みんなと同じように振る舞える子に
することがゴールだとは思っていません。
考え方が違ってもいい。
好きなものが違ってもいい。
「それって本当にそうなの?」
と疑問を持ってもいい。
大切なのは、
自分を隠さなければ
人と一緒にいられない
と思わなくていいこと。
そのために、
人との関わり方を
ただ教え込むのではなく、
毎日の親子のコミュニケーションの中で、
自分の気持ちに気づく。
言葉にして伝える。
相手の反応を見る。
相手の考えを聞く。
違っていたら、
どうしたらいいかを一緒に考える。
そんな経験を重ねながら、
人と関わるために必要な脳の働きを育てていきます。
すると、
「僕はこうしたい」
「君はどうしたい?」
「分からない」
「助けて」
が少しずつ使えるようになる。
そして、
人と安心して関われるようになると、
この子の世界には、
一人では出会えなかったものが入ってきます。
自分とは違う考え。
知らなかったこと。
思ってもみなかったやり方。
予想外を運んできてくれるのは、人だからです。
「え? なんで?」
「そんな考え方もあるの?」
「だったら、これはどうなる?」
人と関わることで、
自分一人では生まれなかった問いが生まれる。
だから私は、
人と関われるようになることを、
ただ「友達とうまくやれるようになるため」だけに
大切だとは思っていません。
人とつながることは、
この子の世界を広げ、
持っている力を未来に使っていくための土台にもなる。
一人ではできないことに出会ったときにも、
「僕には無理」
で終わらず、
誰かの力を借りながら、
「じゃあ、どうしたらできる?」
と考えられるようになっていきます。
この子に必要なのは、
無理に集団に馴染ませることではありません。
自分のままで、人と関わる方法を知ること。
その力を、
まずは一番安心できるママとの関わりの中で
育てていく。
それが、
「このまま人と関われなくなったらどうしよう」
という未来を変える
最初の一歩になります。
ここまで読んで、 「うちの子もそうかも」と思ったママへ
ここまで読んで、
「じゃあ、うちの子は、
なぜ人との間に一歩を踏み出せなくなったんだろう?」
と思ったかもしれません。
そして、もう一つ。
「本当なら人とつながり、
自分の世界を広げるために使える力を、
今は何に使っているんだろう?」
ここを見てみてほしいんです。
先を考える力?
納得するまで考える力?
自分なりの基準を持つ力?
周りをよく見る力?
一つのことを深く考える力?
同じように
「友達に馴染めていない」ように見えても、
何に困っているのか。
本当はどうしたいのか。
何を守っているのか。
どんな力を使っているのか。
は、一人ひとり違います。
なので、個別相談では、
お子さんの具体的な様子や
ママの関わり方をお聞きしながら、
「この子は今、何に困っている?」
「本当は、人とどう関わりたい?」
「持っている力を、今何のために使っている?」
を一緒に紐解いていきます。
そして、
困った行動の奥にある
「この子の力」を見つける。
傷つかないため。
否定されないため。
分かってもらえない思いをしないため。
自分を守ることに使っていた力を、
自分の気持ちを伝え、
人とつながり、
「どうしたらできる?」を考える力へ。
「どうしたら、この子を
みんなに馴染ませられる?」
ではなく、
「この子が自分のままで、
人と関われるようになるには?」
そして、
人との関わりの中で出会う
自分とは違う考えや、思いがけない出来事を、
「怖い」「避けたい」で終わらせず、
「なんで?」
「そんな考え方もあるんだ」
「じゃあ、どうしたらできる?」
と、自分の世界を広げる力に変えていく。
そんな風に、
わが子の「人とうまく関われない」を、
この子の未来を閉じる問題ではなく、
人とつながりながら力を発揮するための入り口
として見直すところから
始めてみませんか?
▼「分かってくれる人がいない」から
「自分のままで、人とつながれる」へ▼



