IQは高いのに、忘れ物が多かった息子。「もう入れた! 大丈夫!」と言うのに、必要なものが入っていないことがよくありました。ところが、息子の言動を観察してみると、単なる記憶力の問題では説明できないことも。IQとワーキングメモリの関係や、忘れ物への対応を、実体験から紹介します。
1 IQが高いのに忘れ物が多いのは、ワーキングメモリが弱いから?
IQが高い子は、物覚えもよく、何でも自分でできる。
そんなイメージはありませんか?
ところが、わが家の息子はIQが高いのに、忘れ物が多い子でした。
出かける前に持ち物を確認すると、
「もう入れた! 大丈夫!」
と言うのに、カバンを開けてみると、下着や靴下が入っていない。
必要なものは分かっているはずなのに、なぜか準備ができていないのです。
ワーキングメモリとは、必要な情報を一時的に覚えながら、作業を進めるための力。
例えば、先生から「明日は体育があるから、体操服とタオルを持ってきてね」と言われたとき、その情報を覚えておき、準備することにも関わります。
ただし、ワーキングメモリの数値が高ければ忘れ物をしない、低ければ必ず忘れ物をする、というわけではありません。
注意の向け方や行動の始めやすさ、本人の気持ちなども関係しています。
では、息子の場合は、なぜ必要なものが分かっているのに準備できなかったのでしょうか?

2 忘れ物が多いから、チェックリストを活用しましょうの落とし穴
わが家の息子も、以前は持ち物の準備が苦手でした。
ワーキングメモリが他よりも低いから、仕方がないのかな?
そんな風に考えたこともありました。
だから、チェックリストを作って……。対策を講じてみたんです。
だけど、チェックリストを渡しても、そもそも見ようとしない。
イラッとしながらも息子を観察していくと、
息子は必要なものを覚えていると思っている。
しかも、実際に何が必要なのかは覚えていることが多いのです。
だから、「これ入れた?」と聞くと、
「もう入れた!」
「大丈夫!」
そう返事が返ってきます。
だけど、確認すると必要なものが入っていない!
必要なものはわかっているのに、準備が完了していないのです。
さらに、学校の持ち物では、こんなこともありました。
先生から持ってくるように言われたものを、息子が準備しない。
私が気づいてカバンに入れておいても、先生に聞いてみると、持っていかなかったことになっている。
そんなことが繰り返されていたとき、気がついたんです。
嫌いな授業や行事には参加したくないから、持っていかなかったことになっていない?
つまり、忘れたのではなく、持っていきたくなかったのです。
ちなみに、この記事を書くために息子に確認したら、
「ちゃんと抜いて行ったもん」
と言われました(笑)
わざわざカバンから取り出していたんです。
同じ「忘れ物」に見えても、理由はまったく違う。
だから、忘れ物を減らそうとする前に、一度忘れ物をしているものに共通点がないかどうか、確認してみてください。

3 チェックリストを見ない息子が、自分で準備できるようになった方法
では、どうしたら自分で準備できるようになるのでしょうか。
前章で紹介したように、そもそも持っていきたくないもので準備の練習をすることは、難しいですよね。
じゃあ、いつ練習すればいいのか?
それは、子どもが自分から準備したくなるときです。
私は、お出かけが大好きな息子に、旅行の準備で練習させました。
このときも、子どもにチェックリストを確認させたわけではありません。
チェックリストを確認するのは私。準備するのは息子。
という役割分担です。
まず、息子が自分で荷物を準備します。
準備が終わったら、私がチェックリストを見ながら確認します。
下着がなければ、もう一度準備。
靴下がなければ、もう一度準備。
すべての項目に丸がついて、初めて私からOKが出る仕組みにしました。
もちろん、最初は、
「もう入れた!」
「大丈夫だって!」
と反発することもありました。
だけど、私は、
「お出かけの準備ができないと、ママは連れていけないよ」
と伝えていました。
旅行に行きたいのは息子自身です。
だったら、必要なものを準備することも、旅行に行くために必要なこと。
そして息子にとっては、ママに何度もあれこれ言われるより、さっさと準備してOKをもらった方が、自分の好きなことに時間を使えます。
準備を終わらせれば、自分のやりたいことができる^^
この仕組みの中で、息子は少しずつ準備の仕方を覚えていきました。

4 今では修学旅行の準備も、自分でできるようになりました
そんな息子も、今では修学旅行のしおりを自分で確認しながら、上手に準備できるようになりました。
最初は、チェックリストを見ようともしなかった息子です。
だけど、必要なものを準備して、確認して、足りないものを揃える。
その経験を繰り返すことで、自分で準備できるようになったのです。
私がやったのは、息子の代わりに準備することではありません。
かといって、最初から全部を息子任せにしたわけでもありません。
準備するのは子ども。できているか確認するのはママ。
できるようになるまで、その役割を分けただけです。

5 チェックリストを見ない子が、自分で準備するようになる3つのステップ
「うちの子も、チェックリストを見てくれない!」
そんなときは、子どもにチェックリストを見せる前に、次の3つを試してみてください。
① まず、忘れ物に共通点がないか観察する
何でも忘れるのか、それとも特定の授業や行事のものだけなのか。
必要なものを聞くと答えられるのか。
まずは、子どもが何を忘れているのか、どんなときに忘れるのかを確認してみましょう。
もし、持っていきたくない理由があるなら、準備の練習をする前に、その気持ちを聞くことが必要です。
② 子どもが「やりたい!」と思っていることを選ぶ
忘れ物が多いからといって、いきなり学校の準備を完璧にさせようとしなくても大丈夫。
旅行やお出かけ、習い事など、子どもが楽しみにしていることから始めてみてください。
「これに行くためには、何を準備したらいいかな?」
と、子ども自身に考えてもらいます。
③ 準備は子ども、チェックはママが担当する
必要なものを一緒に確認して、チェックリストを作ります。
そして、準備するのは子ども。
準備が終わったら、ママがチェックリストを見ながら確認します。
全部揃っていたら、
「OK! 準備できたね!」
足りないものがあれば、
「あと、これが必要だね」
と伝えて、子どもに準備してもらいます。
全部揃ったら準備完了。
何度も「早く準備しなさい!」と言う代わりに、準備ができたかどうかを確認する仕組みにするのです。
最初から一度でできなくても大丈夫。
大切なのは、子どもが自分で準備する経験を重ねること。
そして、準備が終わったら、あとは子どもの自由時間。
「準備を済ませると、自分のやりたいことに時間を使える!」
そんな経験を重ねることで、自分から準備するきっかけを作っていきましょう。

6 それでもうまくいかないときは?
「うちの子も、好きなお出かけの準備ならできるかも!」
そう思って試してみたけれど、
「嫌だ!」
「ママがやって!」
「どうせできない!」
と反発されてしまう。
そんなときは、無理に準備の練習を続けなくても大丈夫です。
もしかすると、お子さんは防衛モードに入っているのかもしれません。
防衛モードとは、失敗したり、怒られたり、否定されたりすることから、自分を守ろうとしている状態のこと。
この状態では、本当はやりたいことでも、失敗する不安やプレッシャーが先に立って、行動できなくなることがあります。
だから、そんなときに必要なのは、準備の仕方を教えることよりも、まず安心して挑戦できる状態を作ること。
「どうしてやらないの?」
と問い詰めるのではなく、
「どこが難しそう?」
「何か困っていることがある?」
と、子どもの気持ちを聞いてみてください。
ただし、うまくいかない理由が必ず防衛モードとは限りません。
疲れている、準備の手順が難しい、そもそも行きたくないなど、別の理由が隠れていることもあります。
大切なのは、「できない」の奥に何があるのかを知ること。
うちの子、もしかして防衛モード?
「好きなことなのに、なかなか動き出せない」
「失敗しそうになると、すぐに『無理!』と言う」
「手伝おうとすると、怒ってしまう」
そんな様子が気になるときは、まずお子さんの今の状態をチェックしてみませんか?
防衛モードチェックでは、お子さんがどんなときに自分を守ろうとしているのか、考えるヒントを見つけられます。
▶ 【防衛モードチェックはこちら】
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

